冬のリヴィエラ

友人の嵯峨治彦さんが出した新CD『Nomadic V・A・C・A・T・I・O・N』が届いた。

やりかけの仕事をうっちゃって地下室に籠もり、気合を入れて聴いた。駆り立てるようなリズムの『さらばシベリア鉄道』に昨年秋のKungsleden行きで乗ったシベリア鉄道の列車旅を思い出して心が飛んだ状態になった。あの旅で、大滝詠一に対して掛かっていた僕の心のロックのような複雑な感情が外れたのを感じたんだった。今はなんと心地よく聴けることか。そして次の4曲目『探偵物語』の途中で、重厚にアレンジされた音の波に揺られているうちに不覚にも寝てしまった。。。

目が醒めたら次の『冬のリヴィエラ』の途中だった。CD聴き終わって、また最後の2曲を聴きなおした。そのあとインストゥルメンタルだった『冬の〜』の歌詞が気になって調べてみたら、、、読むうちに気が重くなった。

何十年か前、この曲が森進一に歌われて世に出た時、僕は特段気にも留めてなくて、松本隆による歌詞の内容も今日初めて知るようなものだった。そこに書かれていたのは、僕がexを残し家を出てアメリカへ行くことになるのを予言していたような身勝手な男のフレーズだった。そして彼女は歌のとおり僕には過ぎた人だった。

マズいことに、大滝詠一のファンだった彼女もきっと喜んでくれるだろうと、盛岡にいる彼女のところにもCDを送るように嵯峨さんに頼んでしまっていた。もう今頃は着いているにちがいない。嵯峨さんのカバーはインストゥルメンタルだけど、僕の100倍音楽を聴く彼女はおそらく『冬のリヴィエラ』の歌詞を知らないわけがない。だから身勝手で脳天気な僕からの贈り物に怒ってるだろうな。ただ呆れているのならいいんだけど。思い出さなくてもよいことを呼び覚まさせて傷つけてしまったかも。

「もう、まったくぅ、何を言い出すか、やりだすか判んない人だから面白いわ」と笑って僕の自由にさせてくれたあの頃のように今度も許して、、、とはいかないだろうしなぁ。

あぁあ、何にも手につかなくなっちゃった。。。