DVD from Sweden via Germany

スウェーデンからドイツ経由で日本着
スウェーデンからドイツ経由で日本着

ドイツに居る友人に頼んでDVDを送ってもらった。まだベルイマンもなにも知らない中学生のころに観たスウェーデン映画。原題は「Kungsleden」(王の道)という。

主人公の男性が元の恋人と10年前に交わした約束で、王の道と名付けられたトレッキング道をたどり先を行く彼女を追うが、その追憶と幻想がやがて妄想となり殺人を犯してしまう。半子共/半大人だった僕には難解な筋立てだった。日本では内容とはかけ離れた「太陽のかけら」という題だった。

性描写があるのに18歳規制はなく、毎朝鼻血を出すようなガキンチョだった僕は半分それが目的で行った。しかし見始めたら、色も明暗もネガ反転されて何がなんだか、、、なセックスシーンも、現実と妄想の区別が付かない複雑なストーリー展開もさておいて、舞台となった王の道の美しさに惹き込まれてしまった。山歩きが好きだった僕には、日本の山道とはまるで違うスウェーデン北部の岩と苔の大地の上を緩やかに延びるトレッキング道はまさに別世界だった。

以来ずっと、いつかスウェーデンに行かねば!王の道を歩かねば!と旅の幻想に耽ってきた。そして気がついたらいつまでも若いと思っていた自分が60代も半ばを過ぎようとしている。なのに若いころに映画の中で見た王の道の情景は半世紀を経た今も新鮮に蘇る。

それが新鮮なのは幾度となく思い返しては反芻してきたからかもしれない。記憶とはそうやって保たれるものだ。溜め込んだ思い出は、引き出しの奥で腐ちるのを免れたとしても、時とともに都合よく熟成されやがては変質するし、古びるのを防ごうと出し入れを繰り返せばその度に断片した記憶の再構築や美化がおきて、やはり変質する。ま、美化であろうが変質であろうが、記憶の精度を競う暗唱大会じゃないんだし、別にいいのだろうけど。。。

やがて歳を取り変質した思い出さえ失くしてしまう前にスウェーデンへ行き、王の道を歩き、映画で見たあの情景の中に身を置いて思春期の自分に会ってみたいと思う。子どもから大人への狭間に憧れた場所へ、成人から老人になりつつある今の自分が時空を超えて旅をするというのも悪くないタイミングだ。

北欧の短い夏が終わる前に、あの頃思い描いたシベリア鉄道に乗ってアジアとヨーロッパを横断して彼の地へたどり着くという夢を実現できたら、と思っている。そして先ず追憶の旅の手始めとしてあの映画「Kungsleden」を今一度観てみたかった。

日本で「太陽のかけら」のDVDやビデオテープのタイトルは出ていないようだ。英語圏では「My Love and I」という題名で公開された英語字幕版があったようだが見つからない。やっと探し当てたスウェーデン語のDVDは日本への出荷ができないという。そこで一旦ドイツの友人宅へ発送し、そこから日本へ転送してもらうことにした。友人はこの夏に日本へ一時帰国するので持って来てくれると言ってくれたが、とてもそれまで待てなかった。今、手元に届いたパケットを開封するのももどかしいくらいだ。一刻もはやく観たい!なのに、急ぎの仕事の真っ最中。ああ恨めしい!(しかし、これが我慢できる大人になったんだなあ、、、ふう)

今日明日にも仕事が一段落する。いや、させなくちゃ。そうすれば心置きなく映画に浸れる。せっかく大型プロジェクターを導入して150インチの大画面スクリーンを作ったのにせいぜいYoutubeしか観てなかった。本格的な映画(残念、ハイビジョン画質じゃないけど)を上映するのはこれが初めて。

(しかし、このダサいジャケットは何じゃ?せっかくの「美しい思い出」が台無しじゃん・・・ (@_@;)
間違えたかと思った。内容までこんな程度でないことを祈るばかり。。。)


今月10日(日)の参院選投票後、夕方から上映会をしたいと思います。一緒に観たい人があったら、どうぞ。無料です。著作権の問題で、たぶん不特定多数には公開できないと思うので小人数の「友人」に限りますが、、、(友人の定義は各自勝手に決めてください)。あと、ここ原谷は学校も郵便局すらもない僻地です。北大路ターミナルからのバスは日に5本しかありません。それでも来たいという希望者はこのメアド↓okaponkoji+kungsleden★gmail.com (★=@)
へ連絡ください。このブログコメントは不可、それにFacebookコメやTwitterもダメです。(Messengerは、、、まあ、OKかな)