空き家になった花背別所の家

入居してくれていた料理人Nさん一家が九州へ引っ越されたので、2年ぶりに空き家になってしまった。

夜に更に奥の友人ちに行くときと、帰り道に立ち寄ってみた。Nさんには保育園に行ってる元気な女の子とここに来てから生まれた妹がいて、本当にこの家を気に入ってもらっていた。古い割に保温性がよく、それに大きめのペレットストーブもあったので、以前の家よりずっと暖かく過ごせたとのこと。それより何より一家四人みんな人懐っこい人柄で、きっと明るく温かい家庭だっただろうなと思う。

中と外をグルッと見て回ったが、とてもきれい好きな奥さんだったので、台所をはじめ、家中汚れたりくたびれたところが全く無い。ペレットストーブも丁寧に使ったであろうことはひと目で判る。若干の風呂の戸の不具合や子供が破った襖は前もって聞いていたし問題ではない。。。次の人はまだ決まらない。Nさん一家のような人だといいな。

ここで育った息子が数年前に補修を手伝ってくれたとき、住みたいけどネットが来ないと仕事ができない、と残念がっていた。Nさんたちが住むようになってから別所にも光ファイバーのネット接続ができるようになったが、彼は帰ってくるつもりが有りや無しや、、、。

とか考えながら、ベランダに出てドアの鍵を締め、窓から屋内を見たら、35年も前にもここには明るい家庭があったんだな、とちょっとしんみりしてしまった。35年、、、それだけ年とった自分の姿が独りガラスに映って暗い部屋の中からこちらを見ていた。