ちょっとヤンチャそうなアバルトが隣に、、、
FIAT 500

歯医者さんから出たら、チンクを駐車した隣に渋いグレーのボディーに赤いレース用トウフックが目立つ500のアバルトが停まっていた。かっけー! 深ーいおお元に同じデザインコンセプトを持つ歳の離れた姉妹車なのに性能的には天と地ほど全然違うクルマだなあ、、、当たり前だけど。(でも、血は争えない。そこはかとなく似ているのが好もしい。)と思いつつ写真を撮った。

Classic FIAT 500F(顔だけL)とABARTH

この手のリバイバルをやったのはもうディスコンになって久しいVWのニュービートルだった。だいたいこういう奴って最初は気合が入っていて先代へのリスペクトも十分だけど、それがフェイスリフトされるたびにだんだん薄れていく。ニュービートルもやっぱ最初のほうが元の古いBug(日本じゃカブトムシ)のイメージを色濃く残していた。ただ、ニューのあのボテーッとしたスタイルに、どうも触手は動かなかったなあ、、、。(ミネソタに居たころは古い’64年のBugに乗ってたので思い入れがないわけじゃないんだけど、、、)

次に出てきたのがミニ。しかしこれは中身がドイツ車だし、マイナーチェンジするたびに車体が大きくなり、3ナンバーの「ミニ」ってどうよ、と言いたくなる変貌ぶり。昔々、ミニではないが同系統のA seriesエンジンを積んだ昔のMG Midget Mk IIIに乗っていたので、あのすこし野暮ったいOHVエンジンをミニマルなフロントに押し込んだ旧ミニには愛着があったのに、、、。ニューミニは興味が湧かない点ではニュービートル以下だった。(ニュービートル同様、初期の5ナンバーの頃はまだそれなりに古いミニの面影にそつなく丸みを加えたデザインも悪くはなかったが、その後は「ミニ」を名乗る意味があるのか、と言いたい)

で、フランス人は2CVとか復活させないだろうけどイタリア人なら何かやりそう、と思っていた。そしたら自分が旧のFIAT 500に乗るずっと前に、欲しいなあと思わせるキュートなスタイルの新しい三代目FIAT 500をデビューさせよったわ。それもかれこれ15年も前の話。上記2車種と違い、マーケティング戦略でのデザイン上の企図変更に無理がない、というか売らんがなのためぎこちなさが目立たず、良いデザイン、テイストであれば市場は後からついて来る、という見本のようなケレン味のなさ。先代のイメージを崩さず上手にまとめてある。(が、最新のBEVはちょっとねえ、、、)

残念ながら新FIAT 500が出てきた当時は母が健在で彼女のホンダ・フィットを借りて使うことが多かった。しかしそれは弟が持っていってしまい、その後に自分用にホンダのビートに乗っていたが、やがて介護が必要になった母の車椅子などを運ぶことや経済性を考えたら、気がついたときには軽のトールバンがメインの車になっていて、母の世話で手一杯でFIAT 500はしばらく頭から消えていた。(観念して趣味車のビートを処分した3ヶ月後に母が逝ったんけど、それならそうともうちょっと早く言ってよ、とおかんに言いたかったなあ、、、W)

介護を卒業させてもらって、ふと我に返って手元にあるのは使い倒してボロくなったEZワゴン(ワゴンRのOEM)だけ、、、。ようやく自分の趣味に合うクルマに乗りたくなったとき、もうビートは無いし、思い出したのがFIAT 500だった。ところがひょんなことから改造しまくられたせいかお安く出されていた旧チンクを見つけてしまい、うっかりポチってしまったと、、、(老嬢に手を出したらどえらい苦労をするとも知らず W)。

なんで長々とチンクとの出会いプロセスを書いたかと言うと、三代目FIAT 500は自分の好きなクルマとして(Ford GT40とかAustin-Healey Spriteなど実用性皆無の夢クルマは別にして、現実に買うとなれば)いつも選択肢に挙がっていたからだ。しかも、もしもその時点で財布が許すならアバルト595*をおごりたかったわけ。ここまで読まされた方、ああしんど、、、ですね。すんません。(*追記参照のこと)

とまあ、素敵なアバルトに出会ったら、そんなこんなが歯医者さんの駐車場で頭をよぎった。待合室に戻って、そのオーナーの方に「写真を撮っちゃったたけど、ブログ(ここ)に掲載しても良いか」と尋ねたら快諾していただき、ご自身も僕の旧チンクには興味があるので写真を撮りたいと、わざわざ駐車場まで出てこられた。ちょっとの間だったけどリアルチャットを交わしたらなんと、ランチャのデルタにもお乗りだとか。アバルトでも結構とんがってるのに、、、ヤンチャなランチャとは。。。(オヤジダジャレかい?笑)。僕は特段ラリーに詳しくもないけど、今どきのヤリスはともかく、ランエボやデルタという名前を聞けばそれが何かくらいは判る。そういうマッチョ系のクルマに乗りながら、なのにイケイケ感のない素敵な女性だった。

(女性といえば、、、僕はまた「やっちまった」なのだった。常々、ジェンダー偏見について気をつけているつもりなのだが、歯医者の待合室に居た人の中で男性は一人だったので、アバルトのオーナーは男性だと決めてかかってその人に尋ねたのだった。そしたら人違い。振り向くと笑顔の女性が手を上げて「私のです」って。何食わぬ顔で「あ、そうですか」と言ったものの、その瞬間、僕はどんな顔をしていたのだろうか。恥ずかしいことだ。)


追記:初稿では本文中に件のアバルトを「595」と表記してしまったが、それは僕の思い込みだった。実際は「アバルトの500 esseesse(マ々)」であるとオーナーさんからご指摘をいただいた。訂正済み。自分の欲しい595(695でもいいんだけど)は初期にアバルト500と呼ばれていて、595に呼称統一されたのは5年ほど前のようだ。だから昔に見かけた(新しい500ベースの)アバルトたちは「595」ではなかったことになる。記憶を新しい呼称でレトロフィットしてしまっていたようだ。名前はともかく、好きなクルマに変わりはない。

ちなみに、、、、アバルトではないが、TwinAirという2気筒のエンジンを積んだ新500も嫌いじゃない。本文で書いたように、ビートル、ミニと比べて、500が最も上手く旧からデザインを引き継いでいて、車体サイズも小ぶりなまま。そこに(流石に空冷ではないけど)2気筒という現代の自動車には普通、思いつかないエンジンを持ってくるって、徹底したオマージュぶりじゃないか。同じエンジンを積んだPandaに乗った事があるが、独特の音と振動が心地よく、900ccでも十分元気だったから、500のツインエアもさぞ面白いことだろう。(ちなみに、のちなみに、、、Pandaの最初期型は旧500の最終型の2気筒エンジンの直系を積んでいたから、パンダのツインエアも、ちゃんと意味のあることなのだった。どうでもいいけど)


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

画像を添付 (JPEG only)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください