Day 17 text / 0905

テルナッヘォ→セルヴェ

テントを畳み朝飯に小屋へ行ってはなしをすると、昨夜のオーロラを見たのはカメラマンのスイス人と僕だけらしい。変な時間に起きていたので、眠い。小屋番のクルト-イーヴァンさんや他の客にさよならを言い、小屋を後にする。

しばらく行くと登りになるが、きつくはない。登りきったら高現状で、起伏の間に間に湖が点在している。ていうか、行けども行けども小さな湖が出てくる。昨日は大きい湖の中のしまじまをつなぐ橋をいくつも渡ったけど、今日は数え切れない数の、、、はおおげさか、、、始めから数えてないけど、、、起伏を超えるたびに、次から次に湖が出てくる。飽きることなく歩き続けられる。

後ろを振り返ると、昨日、雲で見えなかった南のスューテルトッペンが見えている。すぐ隣にはどっしりしたピラミッド状の北の峰も。

今日は15kmをカバーするのだけれど、大きい登りが(っても百数十m)2度あるので、焦せらずノンビリあるく。昼飯を食べ終わった途端、今朝さよならしたクルト-イーヴァンさんが歩いてくる。小屋番しなくていいの、と訊くと、朝と夕方以外は泊まり客が来ないので、休みなんだって。ちょっと先まで行って飯にしてるから、またあとで、、、と行っちゃう。しばらくして追いついて、また少し話し込む。彼はここで引き返し、僕はさきにすすまないと、、、。今頃?って感じだけどメアド交換して、記念撮影してお別れ。

最後の峠を越えるとき、スューテルトッペンとその下に隠れて見えないけど、素晴らしいU字谷のスューテルスカールの方を見やる。目の前には昨日から遠くにかすんでいた、まるでヨセミテのハーフドームを鏡に写して裏返したようによく似た山が見えくる。Kungsledenはあの山の近くを通るのだろうか。。。

またそこら中にあるブルーベリーを食べながら歩く。写真撮ったりしてるうちに日が傾いてくる。今日中に着くんだろうか、、、地図を見たら、あとほんの2km。なんだ。。。

ここセルヴェ小屋の管理人はニルス(愛称 ニッセア)さんといい、クルト-イーヴァンさんから、よろしく伝えてと言われてきた、と言うと、君が来るのは彼から電話で聞いてるよ、って。なあんだ!そういや、ミーアもマルガレータも緊急電話でだれかとおしゃべりしてたもんな、、、。

クルト-イーヴァンさんが、ニッセアさんも元教師で野鳥についてはめちゃ詳しいときいている。夕食後、他に誰もいない食堂でしばらく、昨日と今日見た鳥のことだけでなく、チェルノブイリや福島のこと、ダム建設反対運動が功を奏して小屋の近くの川にはダムが一切ないこと、、、などなど、いろんな話を交わす。彼は73歳だって。スウェーデン人の歳、わからん。。。

昨日今日と泊まり客がいないとのこと。ここで管理を9年やってるけど、こんなこと珍しいとか。そこに、めったに来ない日本人が、、、というわけで、話がおわらない。ていうか、小屋番さんたち、みな話好きだもんなあ、、、

あ、明日は20km歩くので、もう寝なくっちゃ。


Day 16 photo / 0904

スューテル→テルナッホェ

スウェーデン語の発音は綴と一致しないものが多い。始めはテルナショと書いてみたが、実際の音はテルナホョ/テルナッホェ/テルナヘォ/テルナッヒェみたいな感じ、、、

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明け方のスューテル小屋
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昨日見たサーミが生贄を捧げた丘の、別のお話し。 山小屋のあるここスューテルという場所の地名「昔、ノルウェーの男と結婚しようとして家を出た女性がこの丘で結婚に反対する父親に追いつかれ、殺された。父親の名はスィルトといい、それが訛ってスューテルとなったとか、、、」 小屋のマルガレーテさんに、その話が収められた本を見せてもらう。
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スューテル小屋

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例の丘がまだ見えている

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振り返れば、昨日越えてきたU字谷の鞍部が見える。
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Kungsleden南部はまだ北極圏じゃないし、9月始めは黄葉と花と雪が同時。
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水たまりのようだけど、今日渡る湖。

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小さいトナカイの足跡

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トナカイの糞?ホッカホカ
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湖の島伝いに向こう岸へ渡る。橋をいくつ渡ったか忘れた。行けども行けども橋。

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よく見かけたでかいキノコとベニテングタケのようなキノコ。
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レーズンをよく食べた、が、よく考えたらブルーベリーのほうがもっと多く食べた。
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シベリア鉄道でアクバルくんと女の子からもらったキャンディ。カザフスタン製のБҰЛБҰЛ(ブルブル)はアメだけどお酒の香りがする。。。美味い!

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ヘルシンキ行きの船で偶然出会った日本人のSさんにもらった酢昆布と柿の種。うまー

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湖畔の護岸なのか、木道の替わりなのか、平たい石が積まれた土手。ムスタンやカイラス山の周りとかチベット仏教圏でよく見かけた摩尼石の塚や壁にどこか似ている。
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まだまだ橋

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石に腰掛けて休んでいたら、ブォ、ブォ、ブォ、ブォ、と鳴きながら黒っぽいトナカイがやって来た。その先には、、、

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このあたりの樹林を歩いていると、突然ハトとニワトリの間くらいのサイズの鳥が数羽、バタバタと飛び立つ。あとできいたら雷鳥の仲間らしい。
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風雪の激しい土地では、樹もいろいろと苦労が多いのだろうなあ
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始めテルナッショと書いていたが、テルナッホェのほうが近いかな。。。テルナッホェ小屋到着。
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管理人クルト−イヴァンさんの作りかけカップ/柄杓?

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サウナ!

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オーロラ(iPhoneのカメラじゃ無理!)
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ダメ元で撮ったが、真っ黒。。。 フォトショップで無理矢理レベル補正をかけたら、、、 薄ぼんやりと緑のオーロラが、、、(見えるかな、、、)

オーロラその他、Kungsledenのもっと良い写真をアンドレアス・アルトナーくんが撮っているので、そちらも御覧ください。
https://andreasartner.carbonmade.com/


Day 16 text / 0904

スューテル→テルナッヘォ

夜中の雨も上がり、今日は一日中天気が良いと聞く。コースも下りと、後は平たん。のんびりテントを畳む。

スューテルの小屋でを出る前に、管理人のマルガレータさんから、小屋での名前の謂れを聞く。これから越えてゆく峠右側の出っ張りは、昔、サーミの娘がノルウェー人と結婚するために家を出、ここにたどり着いたが、反対する父親に追いつかれ、命を奪われた場所だという。その後サーミの家族の名前が「スィルト」で、それが訛ってこの辺りの地名として残ったとのこと。ガイドブックではトナカイの犠牲を捧げたとあるが、、、

小屋を出てからしばらく登ると、後ろに南と北のスューテルトッペンがU字谷の門番のようにそびえているのが見える。あの間を通ってきたんだなあ、、、。北はピラミッドのようにドッシリしている。南は相変わらず雲で頭が見えない。何度もふりかえるが、一向に見えない。代わりに前・方はるか下に島の点在する湖が見えてくる。これからその島伝いに向こう岸に渡ることになる。

ここまで、動物の気配がほとんどない。そりゃそうだろう、初日に森林限界を越えているし、鳥などがそうそういるとはおもえない。トナカイたちも冬に備えて山を下りたようだ。湖に近づくにつれこうどがさがり、またダケカンバのような樹林帯が始まる。その中に入ったとたん、鳥の声がして、足音におどろいた小鳥が飛び立つ。

湖畔に着いて、橋まで北上する間にトナカイの新鮮な足跡を見つける。ホカホカの糞も。僕と同じ方向を向いているから、追いかけることになる。人もトナカイも同じ道を通るんだな。1kmも行かないうちに前方を4頭が横切る。

島をつなぐ橋はジグザグにならび、行くても来た道も、とても景色が良い。昨日、麓を通過した山々、これから向かう山々がくっきりみえている。こんなのが日本だったら人でいっぱいになるだろうな。。。上高地の河童橋を思い出す。幾つも、数えてないのでわからないけどが、橋を渡り、湖の西側に至る。次の山小屋をまであとまだ10km。

右側に湖面が見え隠れする林と、牧草地のような湿地とが交互に現れる。一服していたら、ブオ、ブオ、ブオという声。湿地の向こうに黒っぽいトナカイのが現れる。その行く先を見ると、木の陰になんと真っ白のトナカイが待っている。こちらを気にしているが、驚くふうでもない。カメラを持って少しずつ近づくと、ある距離を保つようにいどうする。やがて道に上がって樹々の向こうに消えていく。このペアにはその後にも出会う。またしばらく行くと、こんどは茶色い母親らしいとなかいに、灰色の仔鹿が付いて歩いているのにも出くわす。きょうは都合10頭ほどのトナカイたちに出会った。

テルナッヘォの小屋に着いてテントを張っていると、隣のテントからどっかで見たことのある兄ちゃんがニコニコやってきた、、、あ、ウーメオまで夜行で一緒だったスウェーデン人マルティンくんとインド系イギリス人ベンくんのふたり組!バスも一緒だったけど、ずいぶん手前で下りたのに、この山の中で出くわすとは。。。釣りをしたけど坊主だったそうな。マスを8匹も釣った人もあるというのに、、、

ここは、なんと湖畔にサウナがある。小屋の客とキャンプサイトの利用者はご自由にと。。。早速行ってみたら数人の先客がいて、当たり前だけどみんな素っ裸で大汗かいている。目の前の湖にとびこむひとも。ていうか、みんだ裸で飛び出していく。僕は血圧の問題でそれはできない、、、。ついでに痛風持ちだからサウナ自体気をつけないといけないんだけど、この三日の長歩きのあと、体をリラックスさせ筋肉をほぐす誘惑にはかてない。。。一緒に入ったフランス人(バティスタ)青年がKungsleden北端のアビスコから来たというので情報をもらう。

夕食後、しばらく雑談したあと、皆が部屋やテントに戻っていっても、僕はこの書物をしている。小屋番さん(クルト−イーヴァン)がやって来て、ローソクの日の始末だけしてくれたら、何時までいてもいいよといってくれる。と言いつつ、まっくらなしょくどうで3〜40分は話し込む。ジャーナリストだった彼は、ベルリンの壁崩壊前夜に現地へ向かうつもりが、家に残していくペットのことなどで手間取っているうちに、壁が壊されてしまったとか。人生最大のミステイクだって。で、北朝鮮はどうよ?と訊かれるので、いろいろ説明してああはならない、と言っておいた。

おやすみなさい。

夜中、12時半頃にトイレに行きたいわけでもないのに目が醒める。ひょっとして?と思ってテントから頭を出すが、見上げてもただ満天の星空。残念。寝袋に潜り込み、めっを閉じる。。。いや、待てよ、、、と、もう一度外に身を乗り出して見上げたら、薄雲のような緑色の縞模様が天頂から西に向かって流れてる。急いで冬用のダウンジャケット取り出し、羽織って外へ出る。ダウン着てても結構冷えるが、そんなのどうでもいい。湖畔まで下りて人生3度目のオーロラ・ボレアリスに30分ほど見入る。冬のオーロラの縁の上に夏に名残の白鳥座が透けて見えるサウナで話ししたフランス人は、北極圏のアビスコからひと月かけて南下して来たのに一度もオーロラを見てないと言っていた。トレッカーは早寝早起きだからなあ。今夜も見ていないだろう。。。白いトナカイ見て、夜はオーロラ。僕はきっとついてるね。

今度こそ、おやすみなさい。


Day 15 photo / 0903

ヴィーテルスカール→スューテル

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朝のキッチン、、、 ん?夜かも、、、いや、やっぱ朝。薪ストーブもあるけど、調理はガスが主に使われる。小屋には簡易なショップがあり、食料調達が出来る。また、寝具も揃っているので、雨具以外なにも持たずにトレッキングが出来る。(そんな人は見かけなかったけどね)
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大型の山岳ステーションを除いて、Kungsledenの山小屋では非常に珍しいのだが、ヴィーテルスカール小屋では朝食を出してくれる。テント泊でも料金払ってるので注文した。

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テントを張った水はけの良い高台は、ヘリポートでした、、、(笑)
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だんだんU字谷がはっきり形を現してきた。
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季節が晩く、萎びたワタスゲの群落

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道標の代わりに平たく剥離する岩石をまるで墓石のように立ててある。分かり易いが、不自然な目障り感はない。Kungsleden全行程でよく目にした。
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山小屋と山小屋の中間にある防風避難小屋。緊急時以外は泊まれないが、休憩は自由。
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シベリア鉄道でオクサナさんにもらったお菓子をここで食べる。水はモスクワ−ヘルシンキの夜行で出されたもの。なんだかんだと一杯もって歩いてる。
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避難小屋の内部
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避難小屋の内部
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猟師ではないが、犬を連れたトレッカーも見かける。でも、これ犬のサイズ?

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このあたりではマウンテンバイクもOK。しかし、よくまあ、、、元気だねえ、、、
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バイカーは小屋で話した高齢のハイカーには道を傷めると評判悪かった。僕は特に嫌ではないが、、、。ただ、マウンテンバイク乗ってたら、たぶん景色は見れない。トレイルランナーにも共通することだけど、この景色の中を地面ばっか見ていて楽しいのだろうか。。。

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サーミのひとたちがトナカイの無事を祈って生贄を捧げた丘がみえる。立ち並んでいるXじるしは積雪期のルートを示す道標。(必ずしも夏ルートとは一致しない)
サーミのひとたちがトナカイの無事を祈って生贄を捧げた丘がみえる。立ち並んでいるXじるしは積雪期のルートを示す道標。(必ずしも夏ルートとは一致しない)
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Kungsledenの水はどこも安全ということになっている。スウェーデン中部はチェルノブイリ事故の影響がまだ残っているとか。中部では今もキノコやベリーも食べてはいけないと言われたが、、、。北の方とは言えヘマヴァンは中部に近い。。。
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今日の登りはここまで。 雲が低く垂れ込めている。 U字谷の左右には南北スューテルトッペンの峰が聳えている(はず)
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峠を越えると眼下に湖がみえてくる。明日、あの島伝いに架けられた橋をいくつも渡って湖の向こうに行くことになる。。。ああ松島や、、、遠くに見える切り欠いたような山は、米国ヨセミテ国立公園のハーフドームに似ている。ただし裏返しの鏡像みたい。。。あの向こうまで歩くんかい!
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アザミをよく見かけた
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キンポウゲの仲間か?

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ヘマヴァンのブルーベリーとくらべて、避難小屋の周辺から峠あたりの高地に生えるブルーベリーは美味しくない。(後でわかったけど、ブルーベリーではない、ニセモノらしい、、、 (@_@;)
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今日の野営地、スューテル。ここの山小屋もマルガレータさんという60くらいの女性が管理人。

 


Day 15 text / 0903

ヴィーテルスカール→スィーテル

朝、小屋に行ったら昨夜、オーロラが見えたと聞く。トイレに起きたのに気づかなかった。残念。でも、まだあとひと月あるし、だんだん北へ向かい、冬も近づいてくる。見るチャンスはあると思うう。

ヴィーテルスカールの山小屋を出る時に、管理人のおばさん、ミーアさんがリコーダを演奏して送ってくれる。見送りに孫の坊やも出てきてくれる。ハイカー(旅人)が歩き疲れ、脚も痛むけれど、それでも旅は続き歩き続ける、という曲だそうだ。

これぞU字谷という形の谷底を東へ向かって歩く。一万年前、この上には1000m以上の厚さの氷があった。その下を歩いていると想像すると不思議な感じ。氷河の源頭の両側には北のスィーテルトッペンと南のスィーテルトッペンがそびえているはずだが、低く垂れ込めた雲で見えない。雲底辺りが氷河の表面だったのかなあ。この谷だけじゃない、かつてスカンジナビア半島全体が途方もなく巨大で分厚い氷に覆われていたのだそうな。氷期が終わり、その重みから解放された半島の地殻はマントルから浮き上がっているという。つまり、氷期が終わってから今もなおずっと隆起が続いている、って高校の地学で習ったな。。。

とかなんとか考えながら歩いていたら、スィーテルスカレットの避難小屋に着く。先客2人がお昼を終えて出るところ。僕も入れてくれる?って聞くと、避難小屋だから誰でもOKだよと。歳の話になって、僕と同年代とわかる。そのひとり、ステファンさんは、ダムに沈む森の木を伐った後の切り株も抜魂して、廃棄物として処分されるが、その形や表面の様子が面白くて、自分の彫刻の材料として使っているそうな。朝、小屋を出てから最初に出会った人が、同業者だとは、、、

避難小屋で昼にしてゆっくりする。女性のグループが外で少し休んで何も言わずに出発していく。どっちに向かったかもわからないけど、出会ったのはその後、マウンテンバイクの2人組だけ。ヘマヴァンから遠くなるにつれて人が減ってくる。

U字谷をつめきったところは広々とした草地。夏にはトナカイの大きな群れが放牧されているとか。少し向こうには小高い丘状のピークがある。ガイドブックによると、昔、ここでサーミの人たちがトナカイの健康を祈って生贄を捧げたとか。いまは、トナカイころかネズミも見えない。

峠を越えたら雨。下り終えると今日のキャンプ地、スィーテル。また、キャンプサイト利用料金100クローナ、1200円を払って、小屋の設備を使わせてもらい、体をふいて、残り湯で洗濯もする。スウェーデンでは、他人の土地であっても、基本的にどこでキャンプしても良いそうだ。が、別に特別スパルタンな山行きをしたいわけでもなく、どうせ来週には無人地帯を一週間歩かなきゃならないんだから、今は楽をしておこう。

管理人のマルガリータさんがジュースをふるまってくれる。途中、綺麗な渓流の水を飲んできたが、甘いものもまた美味い。

(ちなみに、スウェーデンはチェルノブイリの原発事故で汚染されているが、放射性物質を吸着・吸収する植物、地衣類、菌類はともかく、水はそれらによってろ過され、年数が経った現在では飲用可とのこと)