たまにネットオークションで買い物をするが、落札後の取引も支払いから受け取り連絡までクリックするだけで済み、昔と比べて比較的安全でかつ煩わしさもなくなった。そのかわり出品者との間で、新品なら商品へのこだわりや、中古ならそれにまつわるエピソードなどが聞けたり、相手の気持ちが伝わってくるようなやりとりをすることもめったになくなった。
ところで、最近のラグビーでボールのハンドリング技術がすばらしく向上し、つまらないノックオン(ボールをぽろりと前方に落とすこと)が少なくなって試合の流れが切れず、見ていて以前に増して面白くなった。それは、ボールの材質が皮革から合成素材に変わったことも大きく影響している。おかげで今回のワールカップは見ていて本当に楽しかった。(にわかファンでもなんでも、誰が見ても面白かったはず)
うちにある30年以上前のボールはadidasのニュージーランド製で、当然革製。これを手に持っては昔の感触を思い出していた。それもこの1年はチューブがパンクして、もうパッチを当てても直らないほど劣化したから、しぼんだままになっている。そこで、安物でもいいから新品のボールがどんなものなのか触ってみたくて、ヤフオクで落札した、と。ちょっとめずらしいブリティッシ&アイリッシュ・ライオンズの記念ボールがお安く出されていて、若干の傷で更に値引きされていたので、飛びついた。
ボールはイングランドで購入した、とも書かれていた。出品者はサッカーやラグビー関連のグッズやウェアなどを沢山出している人で、最近のヤフオクでは落札者からアクションを起こすのだけど、めずらしく出品者から「落札ありがとう」のメッセージが先に来た。そこには「ハント」という名前が記されていたので返事を英語で書いたら、それからどんどんやり取りが進んだ。
彼は思ったとおりイギリス人で、今回のラグビーワールドカップのこと、古き良き時代の革ボールの扱いづらさ、キッカーがティーを使わず踵で穴を掘ってボールを立てていたこと、などなど、互いに歳が近いことも解って、面白い話題を楽しめた。また、彼の住所、宮崎でイングランドチームや日本代表が合宿を行ったこと、今回のイングランドのスターティング15のうち3人が彼とおなじ高校の出身(後輩)だったことは誇りに思えるし、ハントさん自身も昔は背番号10(フライハーフ=スタンドオフのポジション)を付けていたこと、、、などなど書いてくれた。僕も弱小チームで短い期間ながら日本とアメリカでラグビーをやったことなどを書いた。
ハントさんとの話の内容は僕が買ったボールそのものとは直接の関わりがないけど、それを媒体に売り手と買い手が、各々経験した時間や場所も異なるけど、ラグビーという共通の思い出を持って言葉を交わすことができて、ちょっと何か、幸せな気分を味わわせてもらえたな、、、。 (from Instagram)