(Facebookに投稿した)その理由は、別画像を上から貼り付けたためにラダー(方向舵)の線が欠落しているということだったが、もう一つ、この画像がでっち上げだと確信する根拠を見つけた。
肖像が描かれた垂直尾翼は画面では機体の斜め前方から角度をつけて見ている。後部ドアの輪郭の丸みからもそれがはっきり確認できる。だとすれば中村哲さんの顔は横幅が縮まって見えるはず。しかし、原画と思しき肖像画を斜めから見ている尾翼のそれと重ねて見るとぴったりと合わさってしまった。これはありえない。
つまり、やはりこのKam Airの肖像画はリアルの尾翼に描かれたものではなく、別々の画像を合成したものだと判断できる。(公開された類似動画を2つほど確認しているが、やはり不自然さがあった。ただ、こちらは上記のような根拠を挙げられないので判断はしない)
Kam Airがこのような画像を公開したのは善意なのだと解釈したい。実際にペイントやラッピングできないまでも、せめて中村哲さんへの気持ちを表そうというのなら、それもありだとは思う。
ただし、そういう手法を採ったと明示すべきだ。 「これは本物だ」と書いてないからOK、という話ではない。絵ではなく「写真」である以上、見る人は「本物」だと受け取る。僕が問うているのは、情報の意図が善意か悪意かに関わらず、事実が曲げられているのに気付かず、恰も「本当のこと」として拡散されることの危険性だ。それがたとえ僕にとっても偉大な英雄である中村哲さんのことだとしても、、、いや、そうだからこそ心配するのだ。
画像の不自然さに気づいていても目をつむり、中村哲さんを賛美するためには少々ウソが混じっても構わない、そのまま拡散してもいい、というのはとても危険なことで、虚飾とは無縁の中村さんご自身なら必ず切って捨てられただろうと思う。

その以前の投稿というのはこちら↓
善意でやったと思いたいけど、、、 Kam AirのFacebookでも公開されているこの画像は加工されているように見える。つまり実在しないもののようだ。
理由:垂直尾翼の後縁にあるラダー(方向舵)のラインが中村さんの肖像の部分では全く見えない。ラダー下端のラインも無い(ラッピングで切れ目入れるの忘れたのか?…なわけない!)。つまりラダーが動かない飛行機なんてありえない。
Kam Airを含め、いろんなAirbus A340のテイルマークを調べてみたけど、ラッピングやペインティングでラダーが消えたなんてのは全く無い。単に尾翼の写真に別の肖像画像をデジタル的に貼り付けたものだろう。荒い仕事だ。
僕は中村哲さんの偉業にケチをつける気は毛頭ないけど、フェイクの画像があたかも存在するかのように凄い凄いとふれ回っている人ら、どれだけ危険か自覚があるのか?(「良いこ」となら嘘でもいいのか?無いものをあるようにデマを垂れ流すのがゆるされるのか?)
繰り返しになるけど、Kam AirのFB投稿は善意だと思いたいし、たとえ画像が加工だとしても、それが彼らなりの敬意の表し方なのかもしれない。ただ、その「手法」はちゃんと表示されるべきだし、見る方もシェアする方もそれが判ってやっているならいいんだけど。今のSNSでの「アフガンの人が感謝してる、敬意を評してる!」のシェアの中にこんなのが混じることには危うさを感じてしまう。
追記:似たような動画を見つけた。動画の方は肖像がうんと小さくてラダーに被っていない。ただ、動画が不自然にズームイン・アウトをするのが返って怪しい。動画に静止画を貼り付けてズームやパンにシンクロさせることは可能だ。ただ、Photoshopでちゃちゃっとやるようにはいかないから、偽物は作りにくい。今のところ動画が本物かどうかは判らないが、どっちにしてもここに見えているシェアされた尾翼の画像はフェイクだと思う。
動画↓
https://twitter.com/i/status/1202916757415047169