旧車 Fiat 500のトレーラー連結検討5

陸運支局という国交省の出先の役所はユーザー車検でよく行く車検場のあるところだ。先日もFiat 500の車検でライトが暗くて苦労した場所。役所の担当の女性職員はとても親切に法に照らして非力なFiat 500でトレーラーを曳けるかどうかを検討してくれた。

結論から言うとダメだった。しかし、その人が「引っ張る方のクルマに何キロまでのトレーラーならOKと登録するのではなく、トレーラーが小さいのだったら軽自動車として登録すれば、手続きを行う軽自動検査協会で別の式を使うかもしれないのでトレーラー側の車検証にFiat 500で曳く旨を書き込める可能性はある」と自分の守備範囲外の示唆をしてくれた。杓子定規な役所としては珍しいな、と思った。

実際、すぐとなりにあるので行ってみた軽自動検査協会では、規制が緩かった時代の旧車は別の算定方法で登録ができる、という返事がもらえた。(ここまでは前回までの「旧車 Fiat 500のトレーラー連結検討1〜4」に書いた。

1,現行の式:
Gcw≦164.51×kW{121×PS}-1900   (kWまたはPS)

2,旧車用の式(昭和49年3月31日以前登録のクルマ):
Gcw≦220.26×kW{162×PS}-2530

GCW :連結車両総重量 kg =795kg
kW{PS} :牽引自動車の原動機の最高出力 kW{PS} =22PS

1の式では計算の値が762kgで、Gcwの795kgを下回ってしまう。2の式では値が1034kgとなり、Gcwの795kgより239kg上回る。

なので、軽自動検査協会で登録すれば合法的にFiat 500でトレーラーをけん引できることになるのは間違いない。

一方、運輸支局には旧車に対する式は彼女らマニュアルに載ってないので適用できないと言う。つまり「曳いちゃいけない」とは言わないが「曳く能力がないから登録しない」という門前払い。納得行かないのは、引っ張る方(ヘッド)からはできないのに引っ張られる方(トレーラー)からなら大丈夫、ってのが理にかなっていないこと。

で、家であれこれ調べたら、軽自動検査協会が使ったのと同じ「旧車用の式」が普通車を実地検査する車検場のマニュアル「独立行政法人自動車技術総合機構審査事務規程」に出ている。そして、その根拠となる法律は「道路運送車両法」やその施行規則、細則、保安基準などで、具体的には「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2003.09.26】別添96連結車両の走行性能の技術基準)」になる。

これ見っけたときはちょっと色めき立っちゃった。

(「独立行政法人自動車技術総合機構審査事務規程」別添8↓) 連結車両の走行性能の技術基準

(道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2003.09.26】別添96(連結車両の走行性能の技術基準↓)道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2003.09.26】別添96(連結車両の走行性能の技術基準)


Stupa Nindhanikaの製作

本物の卒塔婆よりは少し幅が狭いが、長さは6尺ある端材を置いて、バランスを見る。「腕」を少し低くして3尺の卒塔婆も置けるようにしてある。(緑の養生テープは、シナベニヤの木口テープが固着するまでの仮止め)

知り合いのお寺で、お盆にお経をあげてもらう順番待ちの卒塔婆がどっさりあって裏方の奥さんが大変、ということで今まで本堂の壁に立てかけていたものを、檀家さんごとに名前順に整理して置けて、卒塔婆がゴッチャにならずササッと取り出せるようなラック(棚)の製作を依頼させられた。

発注は確か去年のお盆過ぎだったと思うが、のんびり構えていたら年越しちゃって、ダラダラやって出来上がったのは昨日。

年に一度くらいしか出番がないので、使わないときは折りたたんで小さくなるようにした。それでもある程度は剛性があって、重心も低くないと、壊れたり倒れたりしたら卒塔婆がぶち撒けられて目も当てられない。そのため始め考えていたより少々重いものになっちゃった。

折りたたみ機構とか、デザインだとか、あれこれ工夫しようと考えたのだけど、結局はシンプルが一番。で、質実剛健な直線構成。それでも6尺の卒塔婆が200本は優に立てられるものになった。

卒塔婆は針葉樹の白木だし、本当はラック自体もヒノキとかサワラか何かのほうがいいのかもしれないが、割れたり曲がったりしないように、シナベニヤを使い、あまり美しいとは言えないベニヤの木口にはシナの木口テープを貼った。

納品前だけど、まあこれを見せても、見られても誰も困らないだろうから写真をアップしちゃおう。


旧車 Fiat 500のトレーラー連結検討4

軽自動車検査協会京都事務所にて:

京都事務所
from www.keikenkyo.or.jp

軽自動車検査協会のカウンターでトレーラーの連結の相談だというと、今度はツナギを着たいかにも技術者という感じの男性二人が応対してくれた。若いけど課長と呼ばれている人と、もっと若い職員に、トレーラーはまだ買ってないがこれこれのタイプとiPhoneで画像を見せ、トレーラーの自重やサイズなどのデータも示した。彼らは普段はジェットスキーや小型ボートを乗せるようなトレーラーを扱ってるのだろうか「全長2m、自重70kg」というのがピンとこないらしく、しばらくトンチンカンなやりとりになってしまった。それでも嫌な顔ひとつせず、なんとか登録できないか何度も数字を入れては計算し直し、細かく説明してくれた。

自重70kgの軽量カーゴトレーラー from up-line.roro.jp

カタログデータの18PSでは非力すぎてとてもだめ。運輸局が持っている22PSというデータが採用できるとしても、そのままでは現行の連結検討の「走行性能」に関わる計算式に代入するとやはり足りない。ちなみに25PSならなんとか150~200kgまで曳けそう。。。

ところが、なんと昭和49年3月31日以前に登録された車には緩い基準の計算式が適用できるので、22PSでもなんとかなる、って!!!(嬉し)

それによると「もしもトレーラー自重70kgの数値が正しいなら、総重量220kgで積載量が150kgまでのトレーラーを登録できる」との回答を得られた。ただし、Fiat 500の性能マージンが少なく、とてもシビアな数字で、トレーラーの自重が90kgになったら登録アウト。ハナから重量物を積むつもりはなく、市販されている中で最軽量級の70kgのもので十分。

BLAST-CARGO T-23
非常に小型だが自重は120kgもある from blast-trail.jp

なんとか登録できないかと知恵を絞ってくれるこちらの係の人たちも、京都運輸支局の女性職員と同じく、クルマへの愛情のある人たちだということがよく感じられ、こちらが車好きのシロートだということで、余計に親切にしてもらえたのかもしれない。

今回は登録が可能かどうかだけの下調べだった。何はともあれFiat 500でトレーラーが曳ける可能性が十分あることが判ったところで、今日の仕事はここまで。

トレーラーの選定、購入、登録などが決まったら、またここのブログで報国予定。


旧車 Fiat 500のトレーラー連結検討3

運輸支局にて:

制動能力の測定のため車検場へ向っていたら、運輸支局の電話がかかってきた。「ざっと計算してみたら22HPでは出力不足でトレーラーの数値が出ない。」とのこと。かなりガッカリ。カタログより4馬力アップでもダメ。実はネット上の仮計算では25馬力あればなんとかなりそうだったが、やはり、、、)

落胆の声だったんだろうな。係の技術系職員の女性は別の方法での登録が可能かも知れないので、とにかく来て、制動力試験を受けてデータを出してみ、と言ってくれた。

ユーザー車検で何度も入った検査場でブレーキだけの測定。まず前輪をローラーに乗せ、前方の表示に従ってブレーキペダルを踏む。サーボのないFiat 500は普通の車検でも落ちる人がいる。それは踏み込む力が足りないだけのこと。今回は落ちる落ちないではなく数値が問題なので、座席を前にスライドさせてお尻が後ろに滑らないように背もたれで止め、ともかく「思いっきり全力で」踏んだ。後輪も同じ。ブレーキ系統のパイプやホースが破裂するのでは、と思うほど渾身の力を振り絞った。駐車ブレーキを手で引く力はルール上は400Nという事になっているが、構わずワイヤーが切れてもいいとばかりに全力でレバーを引き上げた。

数値は:前輪227daN、後輪247daN、駐車230daN

一番強力でないといけない前輪が駐車ブレーキより劣っているのは、おそらくリアエンジン、リアドライブのFiat 500では前輪の荷重が小さくスリップしていたのだろう。前もって不要な工具などを積み込んで車重を重くしていたのだが、フロントにある燃料タンクも満タンにするべきだった、、、

最初の電話からずっと対応してくれた女性職員は、ブレーキ性能は問題ないが、やはりこのエンジンでは難しい、と言う。しかし、被牽引車両(トレーラー)側の車検証に牽引車両を特定して記入する方法なら通る可能性があり、しかも、トレーラーが軽登録なら隣りにある軽自動車検査協会で、陸運局とは違う計算式を使って連結検討を行うから、さらに通り易いだろう、と。おおっ、天使の言葉に聞こえる!

午前の電話から、途中、数値をあれこれ変えて確かめたうえで、2度も向こうから折り返し検討結果を知らせてくれて、駄目な場合でも門前払いではなく、検査を受けさせてくれた上で、その数値を持って軽自動車検査協会へ行けばよい、と示唆までしてくれた。今まで役所で嫌な目に何度も遭ってきたが、これほどまでに親身に対応してもらったのはここが初めてだ。(京都の運輸支局はユーザー車検でも親切だし、技術系の職員はみなクルマ好きなんだろうな、、、と感じる)

データが記入された書類のコピーをもらって、言われたように京都運輸支局に隣接する軽自動車検査協会京都事務所に行った。

 


旧車 Fiat 500のトレーラー連結検討2

トレーラーの登録に付いて:

ユーザー車検や指定部品の取り付けなど、最近のルールは以前ほど規制一本槍ではなくなってきている。牽引に関してもいわゆる950登録という新方式の登録方法(曳くことのできるトレーラーの積載や総重量などのデーターを牽引する自動車側の車検証に記載)というのが出てきて、ネット上でもその検討計算式などが公開されている。この方法で登録した成功例が沢山紹介されているので、とりあえず950登録をやってみることにした。

参考サイト:http://www.kaizoushinsei.com/shorui/135

まず、950登録に必要なのは自動車の諸元、つまりエンジンの馬力、ブレーキの制動力(主制動装置と駐車ブレーキ)、重量(自重と総重量)など。これらは国産車であれば陸運事務所が過去の登録情報として保有していたり、なければメーカーに問い合わせればOK。ところが50年も前に並行輸入されたFiat 500には信頼に価する諸元などない。イタリアのフィアット社に問い合わせても、望むデータを公開してくれるかどうか、、、。

Wikipedia Fiat 500

あれこれ当たっていたら、何と運輸支局の車検場で制動能力の計測をしてくれるとのこと。それも、車検と違い予約は不要、料金も無し!ブレーキのサーボ(倍力装置)が付いてないFiat 500で必要な制動力が得られるか一抹の不安はあったが、、、やってみるしかない。

もう一つ必要なのはエンジンの馬力データ。カタログなどには18HPと出ている。実はこの値ではネットで公開されている計算式に代入すると、牽引できるトレーラーの重量がマイナスになってしまう。一か八か京都運輸支局に電話をかけて、正式な諸元表が無いので正確な馬力が判らない旨たずねてみた。そしたら、何と!Fiat 500は22HPだというデータが運輸局には登録されているとのこと。脈がありそう!