三人称単数 “they”

英語の人称代名詞のことで米国の友人から指摘を受けた。僕の描いた人称代名詞のイラストから「三人称単数の”they”が抜けてる」とのこと。最初、それは三人称複数のtheyのことか、もしくは三人称単数の”it” の書き間違いだと思って、いやちょっとまってよ、まだ描いてる途中なんだから”it”については次にアップするよ、と返事した。

どうやら彼女の指摘は間違いではなく「三人称単数の”they”」というものが存在していて、普通に使われているらしい。「”it”は人に使うと失礼だから、先行する名詞の性が不明の場合にそれを受けるために”they”を単数の代名詞として使う」のだと説明してくれた。そう言われれば、、、どっかで聞いたことがあるような、、、

たまたま毎日新聞の電子版にこれに関連する記事が出ていた。米国AP通信が単数の”they”の使用を認めるとある。それによるとLGBTなどの人が男女どちらかに限定されたくない場合などを考慮した結果だという。また、すでに2015年にはWashington Post紙が単数theyを採用していて、米国の流行語大賞にもなったとか。

すっかり忘れていたが、以前に件の友人から単数theyのことについて聞かされていたような気がする。彼女もLGBTに理解のある人だし、かつてはUW-Madisonで広報に関わる仕事をしていた人だから、単なる英語のネイティヴ・スピーカーとしてでなく、その筋の専門家としても指摘は当然なのだ。(と書いていたらFBのコメントで「生徒に質問されたら言語学修士に聞いたと言いなさい」と言ってきた(笑))

と書くと単数theyはフェミニズムからLGBT啓発に至るここ数十年の新しいトレンドの産物(例えばChairman⇒ChairpersonとかPoliceman⇒Plice officerなど)のように思えるが、Wikipediaやその他の情報を読むと、古くから英語の(性別を区分する)Gender-specificな用語方や単語についての議論があり、実際にtheyを「he or she」または「s/he」の代わりに使われてきていたようだ。

ところが、日本語の英語シーンで単数theyの扱いはいったいどうなっているのか、、、平均的な日本人よりは英語に注意を向けているつもりの僕でも、すっかり忘れてしまう程度の情報としか受けとめられていない気がする。実際、Wikipediaの”Singular they”(単数they)の項目は英語で詳しく説明されていて、各外国語のバージョンがあるのに日本語版が存在しない。おそらく中学・高校の授業でも、よほど教員がリアルな英語に精通して熱心に教える人でない限りは、単数theyは取り上げられることはないだろうと思う。これじゃいかんな。

英語を教えることを通じて、日々英語を勉強する今日このごろ。。。です。


追記:
Wikipediaには単数theyの日本語項目が無いんだけど、Wallstreet Journal紙電子版に解説記事があった。
http://jp.wsj.com/articles/SB12553795185919473670004580581551868398446


英語資料 その後

英語のレッスンの教科書の使いたかった本が見つからず、仕方なしに記憶を頼りに「似たようなもの」を描いていたら、Facebookで友人が件の本を見つけてくれた。

1945年初版というから僕より年上。。。しかも絶版にならず今も売られている

『絵で見る英語 Book 1 改訂新版』
English Through Pictures Book 1
I・A・リチャーズ (共著)、クリスティン・ギブソン (共著)

なんと、CDの付録まで付いてるし!!!

これでやっと、手間のかかるイラスト描きから解放される!(でも、結構楽しかったな)

ちなみに、50年の隔たりからイラストのStickmanの容姿は僕の頭の中で相当に変貌していた、、、。ま、それはそれでご愛嬌。

50年経ってもはっきりと思い出す一場面がこれ↓。
クマから一目散に逃げる格好がおかしい。

http://www.ibcpub.co.jp/imgt/9784896842654.jpg
IBCパブリッシング(株)Websiteより

本の出だしはこんな感じ↓
なんと「English through pictures」というWebsiteもある。


英語資料 その2

日本語話者にとって普通の「それ」という代名詞が、英語の「it」では置き換えられないと中学校で習んだけど、みんなつい忘れてしまうらしい。

「これ」=「this」、「あれ」=「that」、しかし「それ」≠「it」

英語の人称代名詞「it」が面倒くさいのは、「それ」という中間距離のものを指す代名詞ではないけれど、彼とか彼女という性別を認識できない物(物体、動物など)を指す中性の代名詞であること。さらに、はっきりと目に見える物だけででなく、話者と聞き手(書き手と読者)の間で共有されている話題の対象(知識、概念、意見、思想、アイデア等々)をも指し示す。しまいには「何もない」ものも表すという、日本語では考えられないことまでやってしまうのだ。(”It’s raining.” とか”Take it easy,” の「it」は何も意味しない)

だからこういう始末に負えない「it」は、訳さずに直に状況を見て身に付けるのが良いと思う。

そう思ってわざと一般的な人称代名詞(he, sheなど)と分けてイラスト化していたら、それが出来上がる前にアメリカ人の友人から「『三人称単数中性』が抜けてるよ」と指摘が来た。


英語の資料

題名は忘れてしまったけど、中学生のときに手にした英語の入門書にはめっちゃシンプルなstickmanのイラストが描いてあった。絵と同じくシンプルな英語の単語や文が添えてあるだけで文法の説明など一切ない。米国の出版社の本だからハナから日本語も書いてない。目で見たことを訳さずにそのまま英語として理解し、身につけるのだ。これは良い。

これで勉強したところで学校の成績には結びつかないけど、本当に良い本だったので勉強嫌いの僕が分厚いペーパーバックを何度も何度も読み返したものだ。

今、英語を教える立場になってその本を教科書に使ってみたくなり、あらためてその本を探したのだけど、洋書の多い丸善など大きい本屋へ行ってもネットを漁ってみても見つからない。(誰か知りませんか? っても、50年も前の本が今も継続されているとは思えないしなあ、、、たしかロシア語やドイツ語、フランス語などのバージョンもあったっけ)

じゃあ、無いもんは自分で作る。とりあえず人称代名詞の格変化を、記憶をたよりに描いたイラストのstickmanで表現してみた。(未完成なので、まだまだ改訂予定)

わかるかなあ、、、





 


文机

大徳寺の某塔頭に住んでる知り合いが「捨てるのもったいない」と言って僕にくれた文机。天板の塗装が剥げ、焼け焦げやシミ、張り付いた紙などで汚れていた。あまりキレイにしすぎるのもなあ、、、でも使うにゃちょっと汚すぎる。

で、軽くサンディングして、花脊の家を直す時に使った残りのWATCOオイルを塗った。ほおおお、、、いい感じになったとさ、

めでたしめでたし。

さっそく秘密の屋根裏部屋に置いた。

ドントハレ