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シラン(紫蘭)が咲いていた

家の表に出たら、近所のBさんの奥さんがお孫さんに「蘭が咲いているね。きれいやねぇ!」と言っていた。家の向のツツジが終わりかけている山の斜面の下にある土止めの石垣にひょっこり紫の花二つ。根本から花まで20cmそこそこ。観賞用の栽培蘭とちがってあまり豪勢でも大きくもないけど、日本の野生蘭の多くのように地味で小ぶりというほどでもない、カワイイけれどしっかりランの形を誇っているように見える。植物に疎いので、スマホで写真に撮って画像検索してみたら、どうやら「シラン(紫蘭)」らしい。ネット情報では日本を含む東アジアの原産だそうだが、ランには珍しく播種したら容易に発芽するので栽培されたり、またそれが逸走して再度野生化したりしているようだから、誰かが植えたというわけでもないけど、完全に自生かどうかは判らない。

と、その後に友人のTくんから八王子の高尾山の隣り山「小仏城山に来ている」とメッセージが入った。送られてきた何枚かの写真の中に黄色い花が写っており、そちらは「キンラン(金蘭)」だとか。はっきりとは判らないがシランよりずっと背が高そう。笹の間からすくっと伸びた茎の先に幾つもの花が付いている。写真のは花が開ききっていないのでラン独特の形があまり見えないが、花弁がふっくら丸みをおびていてシランとはまた違った可愛さがある。これもググってみたら栄養を土中の菌類に依存する率が高く、シランとちがって栽培は難しいものらしい。そのため開発などの環境変化や乱獲により近年は激減して環境省のレッドリストに絶滅危惧種としてあるとか。

© Kazumasa Tomoi 2022

普段は身近な植物にさえあまり目を向けることが少ないけど、今日はご近所さんと友人のおかげで、たまたま二つのランに出会うことができた。そういや以前、もっと田舎からうちに遊びに来た友人が「ここは鳥がよう鳴いてるなあ」と感心していたけど、この辺りは鳥ばかりじゃなく、咲き乱れるというほどではないにしても、道端や石垣、土手の斜面などに野生や栽培種の植物が季節の移ろいの中でその時々の花を見せてくれるから、僕は結構贅沢な生活をしているのかも。