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学生の作品で久々に、ほう、と思った。
東京芸大の山田勇魚さんの修士終了制作作品は、はじめ見た目が綺麗すぎて一瞬パスしようと思ったけど、「六道輪廻」でちょっと引っかかった。
鑑賞者は6頭のクジラの環の内外を泳ぐように移動しながら、クジラの体内に封じ込められた六界を透かし見ることになる。
透明なクジラの体の外から内に向かって鑑賞者の視線を導き、その中に鑑賞者が今生きる現世の更に外にある別世界を見せている。
外界を内包したり入れ子状になった作品構造や展示方法が、鑑賞者のフィジカルな立ち位置の移動へと導くだけでなく、イマジナリーな視点の遷移も軽々と誘発する。
単なる「展示」に終わらず、作品の「中」に人をいざなう力を持つ良くできたインスタレーション的アートワークだと思う。
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