FIAT 500 せっかく右ハンドルなのに、、、

頼まれ仕事を抱えていて、納期がはっきり決まってないのを良いことに明日延ばしにしているのだけど、いよいよ放っておけないな、、、と思い始めている。が、そういうときに限って現実逃避の面白い作業を思いついてしまうのだった。

結論を先に言うと、FIAT 500のコラムスイッチを「日本風」に右手で操作するように改造してやったのだ。(作業内容だけ読みたきゃ、以下をすっ飛ばしてここからどうぞ

改造前。左ハンドル用コラムスイッチ。(上下が逆)
改造後。右ハンドル用コラムスイッチ。(上下が逆)
● 右ハンドル外車とコラムスイッチ(ウインカースイッチ)
チンクの電気系統

最近、チンク嬢はご機嫌がよろしい。長雨の後に残暑がぶり返し、空冷の彼女にとっては嬉しくない今日このごろだけど、コロナ禍で出歩く機会が少なく、走る機会が激減しているからか?

もう随分前からワイヤリングハーネスは買ってあるんだけど、、、

あまり走らない今なら、ワイヤリングハーネスの全面取り替えのチャンス。ただ、暑すぎてやる気ゼロ。(その前は、2週間続いた雨が言い訳だったし、そのまた前は、暑かった、、、)

2016-01-19 21.55.28
これ、アカンでしょう!(ま、承知で買ったくるまだけど、、、この8年間でこれが原因で火事になりそうになったことは、1回しかない。。。あるんかい!w)
これは古い写真。今はもうこの御札もないので、早いとこ配線を替えるか、愛宕山に登って御札をもらってくるか、、、

酷い配線は別として、エンジンなどは快調の中、唯一グズるのがウインカーとライトを制御するコラムスイッチ。元々くたびれて摩耗によるガタが出てるうえに、それを何とか調整しようとしてバラシかけたら、中からベアリング玉とバネがビックリ箱みたく飛び出すという漫画みたいな事故が発生し、どこかへ飛んでいってしまい見つからない玉とバネを、ベアリングから外した鋼球とボールペンの中のバネで代用してあるので、どうも「節度感」が乏しく、ライトのHigh/Lowがカチッと決まらない。

まだ壊れるほどクタビレてはいないけど、そのうちワイヤリングハーネスを交換する時にはいっしょにコラムスイッチも取っ替えようと、新しい部品を入手した。で、コラムスイッチ見てたら色々思い浮かんでくる。(てか、電線交換の方が先なのに、ここでもプライオリティ無視の現実逃避だな、、、)

外車あるある

右ハンドル仕様が用意されているのに、コラムスイッチまわりが左ハンドルのまま、というやつ。つまり左側の運転席がそのまま右へスライド移動しただけ。ペダル類はこれで全然かまわない。ていうか、アクセルとクラッチ、ブレーキのペダル位置が入れ替わったりしたら怖いがな。でも、ヘッドライトのライト上げ下げやウィンカーの点灯は右ハンドルの場合、やはり右手がよろし。街でエラそうな外車が交差点の手前でウインカー出す代わりに、雨でもないのにいきなりワイパーを動かしてるの、見たことどこかであるかもね。乗りなれない外車を運転するとほぼ全ての人がこれをやらかす。高級車を日本で売るんだったら、メーカーもレバーを付け替えるくらいのことできるだろうに。欧米の横柄さか?

 

といつも思っていたが、どうやら、ISOの際規格でウインカースイッチは左手操作と決まってるらし。しかも、それは右ハンドルのイギリスでも適用されるのだとか。旧大英帝国のインドやオーストラリア、ニュージランドはどうなってんのか知らんけど、ともかくヨーロッパではウインカーは左側。なら、もう日本もそれでエエやん、てな具合なんだろな。(ISOに準拠しない日本は顧みられない、、、って、やっぱ欧米の横柄や)

もっとも、僕自身はアメリカでの運転歴がそこそこあり、思い起こせば初めての自家用(っても母のを借りてたの)はFIAT 850 Sport Coupeだったし、今のチンクに乗り始めてもう7〜8年経つから特段不便は感じない。ただ、うちの右ハンドル仕様のチンクの場合、いかにシンプルとはいえコラムスイッチに加え、ダッシュのスイッチ類とトランスミッションのシフトレバーなど全てが左手操作。走行中、右手はハンドルを握る以外に仕事が何もない(ちなみに、ライトのオンオフも、ワイパーも、ハザードも左手側。走行中じゃないけど、イグニッションをONにするメインスイッチも、スターターのレバーも、チョークレバーも左、、、ほんと徹底的)。このままでも不便を感じないし誤操作もしないけれど、やはり作業を両手に分散するほうが良いんじゃね?

● コラムスイッチの改造
とりあえず図面

妄想だけしてるより、具体的な絵を描いてみたら俄然やる気がでてくる。昔から、欲しい物があると絵に書く。絵に書くと手に入ったような気がする。しかし、二次元の幻影でしかないのですぐ我慢ならなくなる。買えなきゃ(あるいは買ってもらえなきゃ)自分でこしらえる。子供の頃はせいぜいが3次元の模型を作る。。。というようなことで欲求を昇華していた。ま、それが高じて彫刻(3D)で大学院まで行っちゃったんだけど、世の中、何の技術が役に立つかは判らんもんですわ。それはともかく、、、

大人になってからも同じようなことを繰り返している。違いは模型ではなく「本物」を作ることもある、ということ。そんで今回はコラムスイッチと。

ColumnSwitch_LHDtoRHDのコピー
レバーの方向入れ替え問題

ということで、入手したのがこれ。半世紀も前のクルマの部品が今でも生産されていて新品が買えるのだから文句は言えないが、お世辞にも良い作りじゃない。大昔のプラモみたく盛大にバリがハミ出しているし、レバーのクリック感が右と左で違う。ま、バリは削ればいいし、クリック感は当たりが付けば直るだろう。プラスチックを侵さないシリコングリスをそこここに吹き付けておいた。

左ハンドル用のスイッチレバー

さて、左側にあるウインカーレバーとヘッドライト切り替えレバーを右側に移すには、単にハンドルポストの軸の周りをぐるっと回転させれば良い(180°ではないことに注意:例えば時計の10時の位置から2時の位置へというような感じ)。しかし実際にやるとなると問題は:

  1. ウインカーの指示方向とレバーの操作方向の整合性
  2. ライトのハイ/ロー/スモールのレバーポジション
  3. コラムスイッチが回転しないように留めている「キー」

であるが、以下のように解決。

1、今回は鏡像のような移動ではなく、ウインカーレバーをハンドルポストの軸周りをぐるっと時計回りに回転させて移動する。ウインカーレバーの操作方向は部分回転であり、レバーの位相が右手側に変わっても矛盾は生じない。(つまり、ハンドルを切る方向にレバーを動かすことに変わりはない)

ウインカースイッチ(左から右へ)

2、オリジナルのヘッドライトレバーポジションは(FIAT 500オンラインマニュアルWiki参照)下から上に向かって移設すると上下が逆になる。しかし、僕の個人的な感覚では逆になった方、つまりレバーボジションの真ん中がロービームで、レバを上に動かすとハイビーム、下にするとスモールの方がしっくり来るのだが、どうだろう。ハイが上、という直感的操作がしっくりくる

ヘッドライトスイッチ(左から右へ)
コラムスイッチをステアリンポストに固定する「キー」(金属部分の出っ張り)

3,レバー操作でコラムスイッチが供回りしないように固定するキーがあるので、素のままではスイッチ全体を回転させてもハンドルポストに差し込めない。キーは短い金属バイプをプレスして作ってあり、パイプは全体がプラスチックでできたコラムスイッチ先端に嵌合してある。キーを回すためにパイプを加熱し、プラスチックを柔らかくして外すことにした。プラスチックが変形しないよう内径にピッタリのアルミパイプを差し込んで作業。そのためかヒートガンでは熱が足りず、最終的にはガスバーナーで炙った。元々、高温で嵌め込むときにプラスチックが溶けてパイプに粘着していたらしく、相当溶けるまで動かない。今回は内部の様子見でパイプを抜いてみたが、熱してプラスチックが溶け始めたら、そのまますぐ捻って位相を変えても良いかもしれない。

回転止めのキーを回転させる作業↓

まだある問題

キーの移動でもう一つ問題がある。それはコラムスイッチ全体を右側へ回転させると、スイッチの胴のカバーが上下逆になり、しかも回転は180°ではなく154°しかないので、本来はカバーの真下で見えない固定ネジの頭が変な角度で露出してしまうこと。さらに、カバー自体は円錐台に近い回転体なのだが、先端だけ上面が平べったくなっていて、この部分のネジとは180°の位置で、やはり斜めって見えてしまうこと。この解決には一旦捻ったカバーをもう一度154°戻すことで、あたかも何も無かったかのような顔をさせる必要がある。(そしてそれは以下のように結構な作業量を要した)

カバーの中にはカバーが動かないようにするためのキー(上のキーとは別)が2ヶ所ある。これらを移動するのに行ったのは:

  1. 先端に近い方のキーを本体から切り取り、−154°の位置に移動してエポキシパテで接着。
  2. レバーに近い方のキーは動かさず、代わりにカバー側のキー溝(キーシート:この場合は溝ではなく「受け」)を削り取り、1と同じようにカバーの縁に沿って移動したところにエポキシパテで新たに溝を構築

という作業。

1、薄刃の導突鋸で出っ張りを削ぎ落とした。樹脂の正体が判らないのでエポキシパテがくっつくかどうか心配だったが、下地を荒らしてやれば、今のところ接着できているようだ。

2,同じく、エポキシパテの接着性に不安があったので、カバーの外側からパテのブロックに向かってビスを打っておいた。パテのブロックが完全硬化する前にカッターナイフやノミで整形。使い残しのエポキシパテはうまく混合せずムラができたが、強度は要らないし、見えない場所なのでOK。(とか言いつつ、黒く塗って恥隠しする姑息なことをした)

完成

まだ取り付けていないが、スイッチの接点や機構部分には手を加えていないので問題はないだろう。

完成予想図(Photoshopped)

BeforeとAfterの画像を比較してみ?W

右ハンドル、左手側コラムスイッチ(オリジナル)
右ハンドル、右手側コラムスイッチ(移設後)。ただし想像図!

追記:さて、実際に取り付けてみた。記事はこちら