日本語話者にとって普通の「それ」という代名詞が、英語の「it」では置き換えられないと中学校で習んだけど、みんなつい忘れてしまうらしい。
「これ」=「this」、「あれ」=「that」、しかし「それ」≠「it」
英語の人称代名詞「it」が面倒くさいのは、「それ」という中間距離のものを指す代名詞ではないけれど、彼とか彼女という性別を認識できない物(物体、動物など)を指す中性の代名詞であること。さらに、はっきりと目に見える物だけででなく、話者と聞き手(書き手と読者)の間で共有されている話題の対象(知識、概念、意見、思想、アイデア等々)をも指し示す。しまいには「何もない」ものも表すという、日本語では考えられないことまでやってしまうのだ。(”It’s raining.” とか”Take it easy,” の「it」は何も意味しない)
だからこういう始末に負えない「it」は、訳さずに直に状況を見て身に付けるのが良いと思う。
そう思ってわざと一般的な人称代名詞(he, sheなど)と分けてイラスト化していたら、それが出来上がる前にアメリカ人の友人から「『三人称単数中性』が抜けてるよ」と指摘が来た。