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旧車 Fiat 500のトレーラー連結検討3

運輸支局にて:

制動能力の測定のため車検場へ向っていたら、運輸支局の電話がかかってきた。「ざっと計算してみたら22HPでは出力不足でトレーラーの数値が出ない。」とのこと。かなりガッカリ。カタログより4馬力アップでもダメ。実はネット上の仮計算では25馬力あればなんとかなりそうだったが、やはり、、、)

落胆の声だったんだろうな。係の技術系職員の女性は別の方法での登録が可能かも知れないので、とにかく来て、制動力試験を受けてデータを出してみ、と言ってくれた。

ユーザー車検で何度も入った検査場でブレーキだけの測定。まず前輪をローラーに乗せ、前方の表示に従ってブレーキペダルを踏む。サーボのないFiat 500は普通の車検でも落ちる人がいる。それは踏み込む力が足りないだけのこと。今回は落ちる落ちないではなく数値が問題なので、座席を前にスライドさせてお尻が後ろに滑らないように背もたれで止め、ともかく「思いっきり全力で」踏んだ。後輪も同じ。ブレーキ系統のパイプやホースが破裂するのでは、と思うほど渾身の力を振り絞った。駐車ブレーキを手で引く力はルール上は400Nという事になっているが、構わずワイヤーが切れてもいいとばかりに全力でレバーを引き上げた。

数値は:前輪227daN、後輪247daN、駐車230daN

一番強力でないといけない前輪が駐車ブレーキより劣っているのは、おそらくリアエンジン、リアドライブのFiat 500では前輪の荷重が小さくスリップしていたのだろう。前もって不要な工具などを積み込んで車重を重くしていたのだが、フロントにある燃料タンクも満タンにするべきだった、、、

最初の電話からずっと対応してくれた女性職員は、ブレーキ性能は問題ないが、やはりこのエンジンでは難しい、と言う。しかし、被牽引車両(トレーラー)側の車検証に牽引車両を特定して記入する方法なら通る可能性があり、しかも、トレーラーが軽登録なら隣りにある軽自動車検査協会で、陸運局とは違う計算式を使って連結検討を行うから、さらに通り易いだろう、と。おおっ、天使の言葉に聞こえる!

午前の電話から、途中、数値をあれこれ変えて確かめたうえで、2度も向こうから折り返し検討結果を知らせてくれて、駄目な場合でも門前払いではなく、検査を受けさせてくれた上で、その数値を持って軽自動車検査協会へ行けばよい、と示唆までしてくれた。今まで役所で嫌な目に何度も遭ってきたが、これほどまでに親身に対応してもらったのはここが初めてだ。(京都の運輸支局はユーザー車検でも親切だし、技術系の職員はみなクルマ好きなんだろうな、、、と感じる)

データが記入された書類のコピーをもらって、言われたように京都運輸支局に隣接する軽自動車検査協会京都事務所に行った。

 


旧車 Fiat 500のトレーラー連結検討2

トレーラーの登録に付いて:

ユーザー車検や指定部品の取り付けなど、最近のルールは以前ほど規制一本槍ではなくなってきている。牽引に関してもいわゆる950登録という新方式の登録方法(曳くことのできるトレーラーの積載や総重量などのデーターを牽引する自動車側の車検証に記載)というのが出てきて、ネット上でもその検討計算式などが公開されている。この方法で登録した成功例が沢山紹介されているので、とりあえず950登録をやってみることにした。

参考サイト:http://www.kaizoushinsei.com/shorui/135

まず、950登録に必要なのは自動車の諸元、つまりエンジンの馬力、ブレーキの制動力(主制動装置と駐車ブレーキ)、重量(自重と総重量)など。これらは国産車であれば陸運事務所が過去の登録情報として保有していたり、なければメーカーに問い合わせればOK。ところが50年も前に並行輸入されたFiat 500には信頼に価する諸元などない。イタリアのフィアット社に問い合わせても、望むデータを公開してくれるかどうか、、、。

Wikipedia Fiat 500

あれこれ当たっていたら、何と運輸支局の車検場で制動能力の計測をしてくれるとのこと。それも、車検と違い予約は不要、料金も無し!ブレーキのサーボ(倍力装置)が付いてないFiat 500で必要な制動力が得られるか一抹の不安はあったが、、、やってみるしかない。

もう一つ必要なのはエンジンの馬力データ。カタログなどには18HPと出ている。実はこの値ではネットで公開されている計算式に代入すると、牽引できるトレーラーの重量がマイナスになってしまう。一か八か京都運輸支局に電話をかけて、正式な諸元表が無いので正確な馬力が判らない旨たずねてみた。そしたら、何と!Fiat 500は22HPだというデータが運輸局には登録されているとのこと。脈がありそう!


旧車 Fiat 500のトレーラー連結検討1 

歳とったおふくろのために買ったAZワゴンだけど、おふくろがいなくなり、もう必要がなくなって久しい。自分の体は一つしかないのにクルマは2台要らないからFiat 500のチンクエチェントだけにしようと考えている。

ペレットストーブの燃料や木材など工作の材料を運ぶのにチンクちゃんではちと役不足、力不足。そこで、軽登録の小さなトレーラーを曳くというアイデア。でも海外ではいくらでも例があるが、日本では実際にもネットでも見たことも聞いたこともない。はたしてできるのか、、、

from fiat500owners.com

今回は、陸運支局と軽自動車検査協会へ行って登録可否の問い合わせのところまでやってみた。
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映画『草原の河』

『草原の河』スペシャルサイトより

http://moviola.jp/kawa/

友人に勧められて『草原の河』を観てきた。遊牧民の小さな女の子の目から見た、アムド(青海高原)に暮らすチベット人家族の日常を淡々と、でも微妙に深く描いた映画だった。

@Junko Takeuchi

教えてくれた友人、竹内淳子さんはチベットを題材にした絵を描く画家だけど、主人公の女の子はその竹内さんの絵に出てきそうな「まさにチベットの子ども」という風貌。彼女の天才的にナチュラルな演技にどんどん引き込まれて、ヘタな記録映画より臨場感があった。

この映画に出てくる人たちは誰もが「頭のてっぺんからつま先まで」すべからく善人でもないし悪人でもない。皆わがままで、小心な普通の人間がつい自分可愛さに口にしてしまう嘘や苛立ちの悪態にまみれていてる。日々の生活に疲れた少女の両親は罵り合う(それでも次の赤ん坊を授かるのだが、、、)し、「立派な修行者さま」である祖父も「我を通し」て仏道を優先し連れ合いの死を見届けなかったし、無垢な可愛さに満ち溢れている女の子も動機はどうあれ「嘘」をつく。

逆に、ささやかな優しさも描かれていたりもする。憎たらしい悪ガキたちが全編でいじめているように見えるが、少女から取り上げた縫いぐるみを、村を出て行く別れ際に何気にポンっと投げ返してくれたりする。

そういや、ガキンチョたちが少女に対して彼女の父親を悪し様に言う心無い罵り言葉は、実は一面「真実」だったりするし、少女もそれを本当のことだと知っていたり、父親のトラブルの元々の原因が彼女自身であったり、、、と、複雑に入り組んだ描写になっている。

僕たち普通の人間は毎日小さな善悪を積み重ねて生きているのだ、ということをこの平坦で結末のない映画は言いたいのだろう。それはチベットの社会に限ったことではない普遍性を持っているが、その一方で、多くは描かれないが仏教への帰依の深さが垣間見られるし、日々の不徳を償うような後悔の行動でささやかなソナム(功徳)を対比させるのはいかにもチベット仏教徒的だとも言える。

映画は現代のチベットを扱っていることから、穿って見れば、、、半農半牧民である女の子の両親が新しい村に住み、バイクやオート三輪、トラクターを持っているとか、若い頃に坊さんだった女の子のお祖父さんが文革で還俗させられ、今また僧衣をまとい修行者となって山に籠もっているという設定に、チベット人の「定住化政策による経済的繁栄」や「信教の自由は保証されている」という中国政府のプロパガンダが見え隠れしないでもないが、、、。ただ、それもまた「一部」ではあるがチベットの現状を伝えているとも言える。(地域差や民族間、さらには少数民族内部での富の偏在と、当局による宗教への締め付けとあざとい懐柔政策が頭に在ることが前提として)

『草原の河』予告編動画より
『草原の河』予告編動画より

それより、一家が放牧をするチベットの高原(28年前に僕が行ったのはチベット自治区だが、青海省もチベットだ)と黒いヤク毛のテントの何と懐かしいことよ!ああ、またいつか、あの目の粗い蚊帳のようなテントの屋根の隙間から星を眺める夜は来るんだろうか、、、

『草原の河』予告編動画より
『草原の河』予告編動画より
『草原の河』予告編動画より
『草原の河』予告編動画より