before “To Kill a Mockingbird”

以下は以前の投稿「『アラバマ物語』の前に」に英訳をつけたもの。

Following is a translated version of my former post “『アラバマ物語』の前に.”


中学一年だったと思う。学校の映画鑑賞で観た『アラバマ物語』は、その穏やかなモノクローム映像のオープニングとは裏腹に、中学生にもなって未だ単純で世間の狭い子供だった僕には、理解を超えた差別社会の不条理が渦巻いていて観るのがしんどい映画だった。

It was in my first year at jr. high, I guess; I vaguely remember. I saw the movie “To Kill a Mockingbird” in an extracurricular class of school. Contrary to its tranquil opening scene in monochrome, the main story– full of absurdity in the discriminatory society beyond my perception– was very heavy and hard on my mind, since I, as a jr. high student, still was merely a simple and naïve kid.

主人公スカウトの父親アティカスはそんな映画の中で、僕にも解りやすい実直な弁護士として描かれていた。父のいない僕には、黒人青年の冤罪を晴らすために法廷で理路整然と反証をあげる姿が頼もしく、そしてそんな父をもつスカウトが羨ましくもあった。

The protagonist Scout’s father Atticus, even in such a movie, was depicted straightforwardly as an honest attorney who even I could easily understand. Fatherless, I saw him as a dependable figure who was logically bringing up counterevidence in the court to prove a black youth’s innocence of false charge, and I also felt envious of Scout who had such a father.

映画化のあと、暮しの手帖社から小説の和訳版が出ていたけど、映画で植え付けられた「しんどさ」の所為か、ハーパー・リーの原作は読んでいない。そのころ母が購読していた『暮しの手帖』に『アラバマ物語』の広告が出ていて、表紙にはスカウトの写真が使われていた。ストーリーのしんどさとは裏腹に、映画の登場人物は魅力的だったから、その写真を夢中になって鉛筆で模写したのを今もはっきり思い出す。

Although there is a translated version of the novel published by Kurashinotecho company after the cinematization, I haven’t read the original story by Harper Lee probably because of the “hardship” implanted by the movie. My mother used to subscribed to “Kurashinotecho” (a Japanese counterpart of “Consumer Reports”) those days, and in the issues of the magazine was an ad of the novel “To Kill a Mockingbird” with a photo of Scout appeared on the cover of the paperback. I clearly recall today that I would eagerly facsimile her portrait, for the characters in the movie were so fascinating in spite of the hardship I suffer out of the movie.

絵には描かなかったけれど、理不尽な社会に立ち向かうアティカスの姿は僕の理想の大人として心のなかに刻まれることになる。原作を読まずに原作を語る資格は無いが、少なくともあの映画は僕に社会の理不尽さを教えてくれたし、謹厳実直なアティカスの姿はそれに呑み込まれない生き方をしたいと思わせてくれた、と言える。

Though I didn’t draw him, Atticus’s image was to be deeply engraved in my heart as an ideal adult. Knowing that I am not qualified to talk about the original novel without reading it, I can at least tell that I have learned from the movie how unjust this world is, and that serious and Atticus’s honest figure made me wish I would live so as not to be drowned in such injustice.

今日、ニュースでハーパー・リーによる続編の小説が出たことを知った。『アラバマ物語』の20年後、そこに描かれたあの正義の弁護士は年老いて、こともあろうに白人至上主義結社KKKに傾倒しているという。アメリカの「良心」(そんなものが実際に存在するかどうかは別にして)を象徴してきた、あのアティカスが。。。と、失望の声が上がっているという。

Today, I found out in a news article that the sequel novel by Harper Lee has just published. 20 years later since “To Kill a Mockingbird,” that righteous lawyer described in there allegedly has an esteem for KKK, a white supremacist cabal, of all things. “That Atticus… the one who embodied the “Conscience” of America (no matter if such a thing actually does exist)”– they are said to be dismayed with disappointment.

人が不変たり得ないのは百も承知。誰しも歳とともに頑迷になったり、ときには信条や人格まで変わってしまうこともあるのも分っている。だから、僕にはアティカスの変節自体に戸惑いはない。ただ、心の中では不変だと思っていた大切な礎石をひとつ失くしたような淋しさを覚える。

I am fully aware the fact that man cannot possibly be unchanging. I also know any one of us gets bigoted with age, and even the belief and the personality may degenerate in some cases. Seeing that, Atticus’s defection itself is not appalling to me. However, I cannot help feeling desolated as if I have lost one of the important base stones that I considered changeless in my mind.

『アラバマ物語』も未読の僕が、今すぐ続編『Go Set a Watchman』を読まないだろうが、もしも読んだら、50年前の映画に感じたのと同じ「しんどさ」を背負い込むことになるだろう。なにしろ続編の内容を伝えるニュースだけですらこんなことを書かせるほどなのだから、、、

Having not even read “To Kill a Mockingbird,” I probably won’t read “Go Set a Watchman” right away; but should I read it, I would incur the same “mental burden” as I felt in that movie fifty years ago, since even a mere piece of news reporting the contents of the sequel makes me write this much after all.

『Go Set a Watchman』は『アラバマ物語』(原題:”To Kill a Mockingbird”)より前に書かれていたという。アティカスの変節を逆順で描いたハーパー・リーはきっと非凡な作家なのだろうなと思う。

I hear “Go Set a Watchman” was written before “To Kill a Mockingbird.” Harper Lee, who wrote Atticus’s defection in the reverse-chronological order, must be an author of prodigy, I suppose.


追記(2023,11,17):ハーパー・リーが「アティカスの変節を逆順で描いた」のは、先に書かれた、つまりリーの初作(というかドラフト)である『Go Set a Watchman』が未成熟だと判断した編集者のテイ・ホホフが、スカウトの少女時代を物語にするよう提案したからだ、と当時のNewsweekの記事に出ていた。

postscript (2023,11,17): The reason for Harper Lee to write “Atticus’s defection in the reverse-chronological order” is that her maiden work (or more like a draft) “Go Set a Watchman” was regarded immature by the editor Tay Hohoff, who suggested Lee to instead write a story of Scout in her girlhood days, according to an article of the Newsweek then.

漫画や小説、エッセイなど出版される作品への編集者の影響力は相当大きく、編集者の力量が文字通り良くも悪くも作品の質まで決めてしまうほどだ。全てがそうだというわけではないが、名前の出ない共著者と言っても大袈裟ではない。ホホフについてはよく知らないが、Newsweekの記事を読む限り、かなり見識の高い編集者だったのだろう。それはホホフの関わらなかった、というか出版を許さなかった『Go Set a Watchman』が、その出版から8年後の現在ではもはや誰もその名を口にしなくなったことが逆に彼女の功績を際立たせている。

Editors’ voices in the works, such as manga, novels and essay, to be published are so influential that the quality of the works, for better or worse, literally depends on the editors’ competence. Although not in all the cases of course, it is no exaggeration to call editors the uncredited coauthors. I don’t know much of Hohoff but, as far as I read the Newsweek’s story, I think she was a considerably knowledgeable editor of talent. Her deed is shown in the fact that, in eight years after the publication of “Go Set a Watchman”, no body any more seems to talk about this novel that Hohoff didn’t take part in, or rather, that she didn’t allow to be published.

まあ、書かれた順、作品の出来はともかく「アティカスの変節を逆順で描いたハーパー・リーはきっと非凡な作家なのだろう」という僕の感想は変わらない。

Well, regardless of the sequence of writing or the quality of the works in any ways, my thought‐‐ “Harper Lee, who wrote Atticus’s defection in the reverse-chronological order, must be an author of prodigy”– has not and will not change.

http://ecx.images-amazon.com/images/I/51ut4yoE3mL.jpg


所詮は機械(AIも含めて)のやること。あてにしてはイカンな。

GoogleやDeepLの翻訳機能は最近とても進歩していて、特に後者はまるで人が書いた文章のような表現をしてくる。(ただし、たまに訳せない部分をすっ飛ばすこともある。その点、前者は生真面目に全てを訳すが、なんかぎこちない表現だったりして、一長一短があるが、、、)

これらのAIたちは言語を扱うときに「文法」を学んで応用しているわけではなく、ネット上にあふれる膨大な情報を収集した、いわゆるビッグデータをとてつもない処理能力で分析し、2つの言語間で対応する文やフレーズを抽出して、それなりに読みやすく加工しているにすぎない。

翻訳に特化しているわけではないが今流行りのChatGPTも然り。試験問題や宿題に対してとても賢そうな答えを書いてくれるのだが、まともな思考能力を備えた人がよく精査すると「当たり障りのない」回答でお茶を濁すような内容でしかないと言われる。詩や小説もそれなりの体裁で書けるけど、やはり心に沁みる作品を紡ぎ出すまでには至っていないそうだ。チェスや将棋はAIが人間を凌駕してしまって久しいが、今のところはChatGPTが創造性においてまだ一歩人には及ばないところに留まっている。(まあ、それも時間の問題かもしれないが、、、)

なので、世の中に多く出回っている情報の多くが間違っていればこれら自動翻訳もまともな答えを返してこないことになる。まあ、世間が間違った情報の流通を良しとはしないまでも、チェックもされないまま(ていうかチェックしようがないのだが)ネット上には玉石混淆の情報が溢れかえっているので、AIでなくてもどれが本当なのかよく判らないのが実情である。

追記)5年ほど前に同じくネットで流れている(だけでなく出版物にも出てくる)Paul Simonの歌詞の誤訳について書いたことがある。この後で引用する彼の曲とはまた別のものだが、明らかな誤訳が何の疑問も持たれないまま垂れ流されている状況だから、ネット情報頼りのAIなんぞコロッと騙されるのだろう。Wikipediaを丸引きする大学生と何も変わらないお粗末さ。いや、パラフレーズしてるだけAIのほうがまだマシか。。。

僕は英語の文章を書く機会があると、書き上げた自分の英文をまず自ら和訳してみる。ちゃんと母語の日本語で思考した内容と訳出した日本語に齟齬がないか確かめるためだ。ただし、その逆(つまり先に日本語で書き、英訳すること)はしない。なぜなら英語の語感が「翻訳調」になってしまい、英語話者にとって違和感のある文章になる恐れがあるからだ。もっとも、英語は僕の母語でないので、直接書いた英文が翻訳調よりもさらに稚拙なものになる可能性は大であるが、それもまた僕個人を表しているのだから隠してもしょうがない。

ただ、自分自身の和訳と平行して先に触れたGoogleやDeepLにも和訳をさせてみることはままある。2つの自動翻訳の毛色の違いを比較すると面白いし、さらに自分が考えていたことをより正確に訳出してくれることもないこともない。

が、多くの場合、こいつらあんまり頼りにしちゃいかんな、という感想を抱くことになる。最初に書いたように何かが抜けていたり、無様な表現だったりで違和感満載だったりするのだ。中学〜高校低学年レベルの文法知識があれば起こり得ないような間違い、あるいは完全に逆の意味をヌケヌケと出してくることも。

一例としてPaul Simonの「Bookends」の一節で、前から気になっていた誤訳を挙げておこう。「Bookends」は遠い過去を想いやる老人の独白のような小品で、時の流れをテーマにした曲がいくつも収められている同名のアルバムのタイトル曲だ。その一節とは:

Long ago . . . it must be . . .
I have a photograph
Preserve your memories
They’re all that’s left you (下線は筆者)

この下線部は、Googleでも、DeepLでも、さらにはChatGPTでさえも其々あなたに残ったのはそれらだけです」、「それがあなたに残されたすべて」、「それが残されたすべてです」と、あたかもyour memoriesの元になった事象や物が手元に残っているかのような表現になっている。

↑Google翻訳の画面
↑DeepL翻訳の画面
↑ChatGPTの画面(質問者が「HE」なのは、登録に使った僕のメアドの頭文字がそうなってるからで、他人のを引っぺがしてきた画像じゃないっす。

でも、ちょっと待て。「all that’s left you」が仮に「all that’s left to you」ならそうかも知れないが「to」は原文のどこにも無い。

AIたちが無いものを勝手に付け足した、と言うより、世間の和訳者(関連注、後述)が下線部を

「all that is left to (あるいは for) you」=「すべてあなたに残されたもの」あるいは「あなたに残されてものすべて」

誤解して、そこいら中に書きまくっているのに違いない。そんで、またそれを取り込んだAIによる自動(誤)翻訳を疑うこともなく鵜呑みにした人たちが、更にまた誤訳を拡散するという悪循環になっていると想像する。

注)ここでは、複数のmemoriesを受けたallは意味はともかく、形式上は集合的に単数扱いになっている。故にbe動詞は三人称単数形の「is」となる

では「to」も「for」も無く、「’s」が「is」でもないというなら、どう解釈するか。まず、この「’s」は「has」の短縮形あり、

「all that has left you」=「すべてあなたから去って行ったもの」

であることは明白。「She left me」=「彼女は俺を捨てた」とか「I left L.A.」=「僕はロスアンジェルスを発った」のようにleft(他動詞 leave)の目的語となっているものから「去る」という意味になる。

くどいようだがもう一度件の詩の一部を訳し直してみよう。

Preserve your memories
They’re all that’s left you

思い出は大切に心に留めておきなさい。
みんなもうあなたの元を去っていったものばかりなんだから。

このように、動詞 leave の異なる使い方と「’s」の取り違いで、意味が全く逆になるのだが、先述のように調べた3つのAIたちは揃いも揃って誤りを犯している。

上はほんの一例に過ぎない。「所詮この程度なのだ」と理解した上で納得して自動翻訳(ひいてはAI全般)を使っているならまだしも、自分が何をやっているのか解ってないまま、学校の宿題をさせてやろうなんてのは、怖いもの知らずもほどがある。(いや、学生がズルしたくなるのは、自分も心当たりがあるので仕方ないのかも知れないが、小中学校の英語の授業で「英会話の相手をAIにさせる」なんてことを文科省かどっかが言ってるとかいないとか、、、。学校の現場レベルでも教師が活用していると言っているのをメディアで見たが、寒気がするわ。)


関連注)歌詞の誤訳で思い出したこと。

半世紀以上も前の話だけど、ここで取り上げたのと同じPaul Simonの作品で「Baby Driver」というカーレースを題材にした曲の解説を中村とうようという評論家が収録LPのジャケットに書いていて、その中で彼は歌詞の一部を引用し次のように訳していた。(古い記憶だがだいたい正確だと思う)

My daddy was the family bassman ⇒ 親父は家族のバスの運転手

読んだ僕はまだ高校生だったけど吹き出さずにはいられなかった。

で、思った「こんな誤植はありえないから誤訳にちがいないんだけど、この人の英語力はこの程度なのだろう。そんな人がよくまあ僕の憧れのポール・サイモンの解説などやってくれたもんだ。」と。中村とうようは当時でも名のしれた音楽評論家だったし、その後は年とともにいわゆる大御所と呼ばれるような存在だった、らしい。が、もうあの瞬間からこの人への信頼も興味も一切なく、音楽関連の情報で名前を聞くことはあれど、知ったこっちゃないと目を背けるようになってしまった。また、青二才の高校生らしい思い上がりから音楽業界も底の浅いもんだな、とまあ、舐めきった見方で固まってしまった。

しかし、、、たったひとつの誤訳でここまで毛嫌いされたらたまったもんじゃないだろう。人を呪わば穴二つと言う声が聞こえてきそう、、、。ただ、ことわっておくがこれは高校生だった僕という個人の中村とうように対する感情的評価であって、彼の世間での評価や業績を否定するつもりはない。知ったこっちゃないだけの話。

ちなみに、Baby Driverのこの一節は以下のように解釈できる。(バスの運転手なんぞどこの話だ?WWW)

My daddy was the family bassman
親父はうちのベースマンき(つまり家族の寓意としてのバンドを土台から支えてるベース弾きだ。これを家族を乗せたバスの運転手というふうに捉えて「意訳」した、としたら大したものだけど、無理。W)
My mamma was an engineer
お袋はエンジニアさ(やはり裏方だが寓意ではなく、この一家は家族レーシングチームであることを示唆してる。あるいはメカニックよいうより、さらに裏方のサウンドエンジニアのことか?)
And I was born one dark gray morn
そんで薄暗く曇った朝、俺は生まれたんだ
With music coming in my ears
そんとき音楽が聴こえてた(この「音楽」はきっとエンジンの咆哮だろう)
In my ears
この耳にね

さて、翻ってAIについては、僕は中村とうようや彼の泳いだ業界ほどは嫌悪しているわけではない。彼のチェスや将棋のソフトのようにいずれは人間を凌駕して、翻訳だけでなく文章や画像の生成において(心理・心情のひだに触れる深層表現はともかく、表面上や形式的には)非の打ち所のない仕事をするようになるだろうと思う。それより、ここで書きたかったことは人の仕業の危うさのことだ。検証しようという態度もなく、AIという「権威」が示すご託宣をありがたがる風潮を見ると、もうええわ、と。


したら、また連鎖反応的にPaul Simonの「Sound of Silence」が頭をよぎった。(頭の中、Paul Simonばっかやなあ、、、WWW)

この曲の後半では

話すことなく語り合い、傾聴することなく聞き、決して声に出されることのない歌を書く人々がいて、そいつらに向かってせっかく「私」が「アホども、教えてやるからよく聴け。差し伸べた手を取れ」と言うも虚しく響くだけ。
しかも、そういう輩はみんな自分たちで拵えたネオンの(つまり虚飾にすぎない)神にかしずいているし、その煌めくネオンサインは「預言者のお告げが安宿や地下鉄の壁に書かれている」と警告するのだ。

ということが歌われる。(しかし今やLEDやレーザーの世の中。はたして「ネオンサイン」がわかるっかなぁ。。。)

僕がビビッときたのは、まともなコミュニケーションもできないアホどもが自分らででっちあげた神にひれ伏して、電気で光る怪しげなお告げに耳を傾ける、っていうところ。これがまるでAIをありがたがる今どきの風潮にダブっているんじゃね?

実態の伴わない電気のお告げなんざ、うらぶれた木賃宿とかションベン臭い地下道がお似合いなんだと。(笑)

原初、唄は託宣であり、唄い手は巫女やシャマンだったのだろう。何ならPaul Simonは60年も前にこの曲で今を言い当てた預言者だったのかも。知らんけど。


ブレーキフルードリザーバータンクのホース(汗) FIAT500 ATWIKIより

以下は、FIAT 500 Online Manualに投稿した自分の記事「ブレーキフルードリザーブタンクのホース(汗)」を転載したものです。このオンラインマニュアルは旧車チンクエチェントのオーナーにとって貴重な情報が満載のサイトで、興味のある方は是非そちらも参照してください。

注)Online Manualの表題では「リザーブタンク」となっているがこれは誤入力で、正確には「リザーバータンク (reservoir tank)」。(訂正したいが表題はATWIKIの編集できないようなので、、、)
もっと原語(英語/仏語)に忠実なreservoirのカナ表記は「レザヴワ」だが日本では誰もそう発音しない。
リザーバータンク(reserverは「予約者」のニュアンスが強い)と言っても海外では通じにくいと思う。まだリザーブタンク(reserveは「保留, 保存, 予備」という意味の名詞)の方が意味を汲んでもらえる。どうでもいいけど。

問題発生

微妙にブレーキフルードが減る。最近は少しずつその減り方が酷くなりつつあった。ふと見るとリザーバータンクからマスターシリンダーに繋がっているホースが汗をかいている。結露じゃなくブレーキフルードが滲み出しているのだった。

前オーナーから引き継いで10年。足回り、ワイヤリングハーネス、エンジン、トランスミッション、、、、もちろんブレーキ系統も、およそ車体の9割に自分で手を入れてきたが、このホースは見逃していた。ていうか見た目はすっごくきれいだったんで、ま、いっかと。しかし今回、この問題が出てよく見たらホースは「燃料用」のものが流用されていた。

この間に交換したのは何の変哲もないDOT3、DOT4のフルード(攻撃性の高いシリコン系DOT5ではない)なのだが、これまで大丈夫だったのに、何故この1年で急にこんなことになったのかは判らない。しかしホースが如何に「耐油」、「耐ガソリン」であっても「耐ブレーキフルード」とは限らないし、現実に滲み出しているのだから交換するしかない。
この2月にホイールシリンダーを交換したばかりだし、またエア抜きをして新しいフルードを無駄に捨てるのは嫌だったので、ちっと「普通じゃない方法」でリザーバータンクとホースにフルードを満たすことにした。

普通じゃないエア抜き

通常のエア抜きのようにブレーキペダルを踏む必要はない。ペダルがフリーの状態で、リザーバータンク→マスターシリンダー→ホイールシリンダーの経路は素通しになっている。これを利用してホイールシリンダーのニップルからブレーキフルードを逆注入することで、マスターシリンダー上部に繋がっているホース内部のエアをリザーバータンク側に押し出してやろうというもの。
リザーバーバータンクからのホースを外しても口が上を向いているのでマスターシリンダー内にエアが入り込むことはないので、こんないい加減な手法でも十分エアが抜ける。ただし、マスターシリンダー以降のブレーキラインのエア抜きには使えない。あくまでマスターシリンダー⇔リザーバータンク間のホース交換にのみ応用できる。
(いや、できないことはないが、フルードを圧入するときにホイールシリンダーのニップル取り付けネジからの漏れによるロスが大きいし、、、そもそもブレーキライン全部やるとリザーバータンクが溢れそうになるので、いちいちそっちのケアも必要で大変。それに四輪終える前にボトルを絞る手も音を上げるだろう。)
↑図の3と14から5経由でタンクに至る経路(赤青矢印)はブレーキペダルを放した状態で素通しとなる。

用意するもの

  • ブレーキフルード対応のゴムホース(内径6〜7mm、長さ7〜80cm)
  • ホースクランプ(元からあるものを流用)
  • 耐油透明チューブ(内径5mm、長さ30cmほど)
  • ビニールテープ(少々)
  • ブレーキフルード100ccほど
  • 調味料・ソースボトル(ケチャップ等を絞り出す、口の尖った蓋のあるもの)
  • フレアナットレンチ(8mm)

前もって準備すること

調味料ボトルの先に透明ホースを差し込み、抜けないようにビニールテープで固定する。
ボトルにブレーキフルードを入れて蓋を閉じる。

リザーバータンクとホースの準備

  • ジャッキアップし、タイヤ(前後輪のどちら側でもよい)を一つ外す。
  • リザーバータンクの蓋を緩めるか外しておく。
  • リザーバータンクホースのマスターシリンダー側の端に近い部分をロッキングプライヤーで挟み、フルードが漏れないようにした上で、ホースをマスターシリンダーから外す。
  • ロッキングプライヤーを解除し、フルードを適当な容器に排出する。
  • ホースをタンクから引き抜き、車体から外す。
  • 新しいホースをマスターシリンダーとリザーバータンクに繋ぎ、ホースクランプで固定する。

エア抜き作業

  • 1,ホイールシリンダーのニップルの下にウエスやペーパータオルを敷き、フルードが漏れてもタレずに吸収できるようにする。
  • 2,フルードの入ったボトルを逆さにし、軽く押してチューブの先端までフルードを満たす。チューブの先をつまむか開口部を指で押さえて逆流しないようにする。(チューブの先端をボトル内の液面より少し高く保つとやりやすい)
  • 3,ホイールシリンダーのニップルにチューブを差し込む。(泡が入らないように)
  • 4,フレアナットレンチでニップルのナット部分を1/4〜1/3回転ほど緩める。
  • 5,ボトルをゆっくり強く絞るように押してフルードをホイールシリンダーに送り込む。
  • 6,ボトルを押したままレンチで軽くニップルを締め込む。(締め込む前にボトルを押す手を緩めない)
  • 7,ボトルの蓋を緩め、ボトルにかけた圧を下げて空気をボトル内に送り込む。ボトルが元の形状を取り戻したら蓋を締め込む。
  • 8,リザーバータンクまでフルードが逆流していたらOK。来てなければ4以降を繰り返す。
  • 9,ホイールシリンダーのニップルを締め込み、チューブを外し、こぼれたフルードを拭き取り水で洗い流す。
  • 10,ニップル内外をよく拭き、キャップを被せ、ホイールを復旧す。
  • 11,リザーバータンクに規定量のブレーキフルードを注ぎ足して完了。

ホースと交換とフルード追加後

新しいリザーバータンクのホース↑。漏れたブレーキフルードで下部のペイントが剥げているのがわかる。一度錆止めを吹いたがすっかり剥げてしまっている。保護のためのコルゲートチューブは、汗かきや漏れの発見には邪魔かもしれない。後で下部だけにしておこうと思う。


FIAT 500 オイルクーラー取り付け

以下は、FIAT 500 Online Manualに投稿した自分の記事「オイルクーラーとオイルフィルターの取り付け」を転載したものです。このオンラインマニュアルは旧車チンクエチェントのオーナーにとって貴重な情報が満載のサイトで、興味のある方は是非そちらも参照してください。
   
↑汚いファンシュラウドでゴメンナサイ。^^;

はじめに

京都の蒸し暑い夏に向けて、せめてオイルを冷やして油圧警告灯が点灯しないようにしてやろうという魂胆。
 
上り勾配をしばらく走ったら油圧警告灯がチラチラするのは普通だとFIAT社が公式に言ったとか言わなかっとか、、、。アイドル状態からほんの少しエンジンを煽って消灯するようであればまず問題はないのだそうな。ほんまかいな。(注、情報源不明。自分の正常化バイアスが生み出した妄想かも、、、)
現状は、この1年ほど季節に関わらず登り坂が少し続いただけで、車を停止しエンジンをアイドルにすると直ぐに警告灯が灯る。上記のようにアクセルを軽く踏み込むか、走行すれば消えるので差し迫って深刻な状況ではなさそう。それでも以前は夏でもこれほどではなかったので、このままどんどん悪化する前に何か手を売っておこうと思った。それがオイルクーラーという形で頭に浮かんできたというわけ。
 
しかしこれは理論の展開としては無理がある。「以前」は正常かもしくは少なくとも今よりましであったのだから、まず第一に故障を疑うべきである。そもそも油圧警告灯が点灯する理由はいくつもあり、必ずしも油温が異常に上昇してオイル粘度が低下しているとは限らない。それを無視して油温だけ下げても良い結果は期待できない。ていうか、もっと悪い結末を迎えかねない。
(が、まあその辺りの原因追求も作業途中でできるはず。何よりオイルクーラーとフィルターを取り付けるという「魅力的な改造」が、これまで渋っていたオイルポンプ周りの面倒くさい分解・点検作業に手を染めさせたのだし、ネタバレになるが実際に警告灯点灯の原因らしきものも見つかったのだから、これでいいのだ!)
 
あまり整理せずに、やったことをダラダラ書いてあるため、本稿は恐ろしく長いものとなってしまった(ていうか、この「はじめに」ですらこの長さ!)。各項目にはできるだけ写真を添えて解りやすくしたつもりだが、いかんせん読み通すには相当の忍耐が必要だと思われる。ましてこれを参考にして熱対策にオイルクーラーを取り付けてみよという目論見を持ったとしても挫折する可能性大である(もっとも、加工が面倒なフィルターの取り付けをやめ、オイルクーラーだけにすればかなり簡略になるが、、、)。それより手間対効果の観点から「伝説の冷却方法の効果は如何に」や「ヒートシンクをつけよう-2」の方が遥かに簡易で現実的だと思われる。
 
よってオイルクーラー取り付けの実行はあまりお勧めはできない。しかし、そうなると本稿の存在意義は大いに疑問だが、まあ余談として付け加えた「追記」は油圧警告灯の点灯対策の手がかりくらいにはなるかもしれない。
 

目次と概要

概要

  • 中古のバイク用オイルクーラーとオイルフィルターマウントを入手し、オイルクーラーには取り付けステーの切除等の加工をした。
  • 別にマウントを取り付けるためのベースをアルミ合金ブロックで制作した。ベースにはフイルターマウントやホースを取り付けるための切削加工と防錆処理を施した。
  • オイルの取り出しにはタイミングチェーンカバーに穴を開け、ホース用フィッティングアダプターをロウ付けした。
  • クーラー本体はエンジンベイ上部にあるルーバー内部の空間に、オイルフィルターはエンジンベイの天井に設置。

↑設置場所とオイルの経路

目次

はじめに
目次と概要
実際の作業
素材と工法の選定
オイルクーラーを選ぶ
ベース
オイルの取り出し方法
設置場所
オイルクーラー
オイルフィルターマウントとそのベース
材料・工具
本体用
他に
工具
外注
作業内容
オイルクーラーの加工
車体の加工
オイルフィルターマウントのベース加工
オイルフィルターマウントの加工
タイミングチェーンカバーの加工
余談:低温アルミロウ棒HTS-2000について
タイミングチェーンカバーの加工(続き)
オイルポンプの加工
余談:ホースの加工について
取り付け
オイルクーラー本体
オイルフィルターユニット
クランクケースへのオイル戻り
ホースの接合
仕上げ
完成後の心配事
始動と試運転
結果
追記

実際の作業

素材と工法の選定

オイルクーラーを選ぶ

オイルクーラーに加えて、ついでなら通常の車のように濾紙式オイルフィルターも取り付けられるように、バイクのオイルクーラーとフイルターマウントをセットで使用する。(バイクでもフィルターマウントがエンジンと別体になっているものは少ないが、、、)
勿論、ここに示した材料や手法通りに行わなくてもよい}。もしもフィルターが不要であれば面倒なオイルフィルターマウントを取り付けるベースの製作をする必要もなく、エンジンから取り出したホースを直接繋ぐことができるのでオイルクーラーの選択の余地はずっと大きくなり、構造も取り付け作業自体もずっとシンプルになる。

今回は、YAMAHAのXJR400のものがサイズ的にも手頃で、クーラーとフィルターマウントアを繋ぐホースが素直で加工せずに扱いやすそうだった。フィルターマウント内部にはリリーフバルブも付いているので、FIAT 500のような旧車が使用する硬いオイルが低温時にクーラーコアにかける高圧の負荷を減らすことができる。同じ形状のXJR1300のものはホースに付いている金属パイプ部分の形状が違うので使いづらい。

ベース

XJR400の円形フィルターマウントをさらにボディーにマウントし、エンジンからのホースを繋ぐインターフェスとなる「ベース」は自力で用意しないといけない。これはアルミ合金、具体的にはジュラルミン(A2017)のブロックを使う。詳しくは後の「オイルフィルターマウントのベース加工」で。

オイルの取り出し方法

エンジンのタイミングチェーンカバーに孔を開け、オイルポンプからオイルを取り出す。この孔にホースを繋ぐフィッティングアダプターを取り付ける手段はいくつかある。
(参考:http://www2.plala.or.jp/gara/oil.htm
  • ボルトオンのキットが売られているが高価だし、オイル経路以外に取り付けボルト用の孔を余分に穿つ必要があり、取り付けのボルトもオイルポンプと共用になるか、少なくともネジ穴を共有することになるのがあまり面白くない。上のサイトでも書かれている締め付けの不均衡でカバーに歪みが出ても困る。
  • ねじ込みはタイミングチェーンカバーの厚みが十分でないと判断して却下。
  • 溶接はアルミ用に高価なアルゴンガスを用いるTIGや半自動溶接機が必要で、家にそんなものは無い。
  • 採用したのはロウ付け。それも低温(と言ってもハンダよりずっと高い)で融解し、フラックスも要らないという「HTS-2000」。調べてみたところ融点が380℃と、600℃前後のアルミ合金の融点よりかなり差があり、うっかり母材を融かしてしまう心配もなく、そのうえ引張強度も一般的なA5052が200N/mm2台に対して316N/mm2とかなり丈夫。これならシロートでも扱いやすそう。これでアルミのフィッティングアダプターをタイミングチェーンカバーにくっ付けて、ついでに強度を稼ぐために周囲をボタ盛りしてやれば溶接に負けず劣らずになる(はず)。

設置場所

オイルクーラー

  • エンジンフードの上方にあるルーバーの奥(冷却ファンのエアインテイクダクトの開口部がある空間)で、右ハンドル車のドライバー側。ただし、ここが冷却機能上のベストとは言い難い。なぜなら走行中に自然に風が当たることがなく、冷却効率が悪いことと、エンジンの冷却ファンの吸気の一部がクーラーコアを通過するのでその熱をファン、ひいてはキャブが吸い込んでしまうからだ。冷却効率を考えるなら運転席と後部座席の間の床下か、後方から見てエンジンベイの框(かまち=バンパーの付く横桟)の左下が良いと思われる。それでもこの場所を選んだ理由は、完全に「みてくれ」の良さだ。もちろん床下より破損しにくいという利点もある。

オイルフィルターマウントとそのベース

  • エンジンベイ内部の天井(オイルクーラーと同じ側)。XJR400の純正ホースが届く位置はここか、更に奥のバルクヘッドしかない。天井から吊り下げる利点はオイルフィルターの交換時に流れ出る廃油を受けやすいこと。これなら「オイルキャッチャー」なるカップ状の容器も売られているので、それが使える(高価だが、、、)。また、エンジンベイのこの位置は比較的空きスペースが大きく、滴る廃油を受ける洗面器などを置くことも可能。バルクヘッドに設置した場合この点で不利なうえ少し遠いのでフィルター交換作業がしにくくなる。

材料・工具

本体

  • オイルクーラー:YAMAHA XJR400用(純正中古品)
  • オイルフィルターアダプター:同上(ホース付き)
  • オイルフィルターアダプターベース:ジュラルミン(A2017)ブロック 100 x 100 x 30mm
  • ナイロン被覆耐油耐圧ホース:サイズ AN8 1m
  • ホースエンドフィッティング:ストレートx1、L形 x3
  • フィッティングアダプター:アルミ AN8⇔M12-p1.5 x4
  • ドレンボルト:アルミ M12-p1.5 マグネット付き(メクラ蓋用)
  • 耐熱・耐油ゴムマット:CR ペレマット 100 X 100 x 5t
  • シリコーンラバーストリップ:キッチンカウンタートップのギャップカバー 60 x 400 x2(オイルクーラー上下の隙間埋め)
  • シリコーンスポンジ角紐:(同じく隙間埋め)

他に

  • タッピングビス:M6 40mm x4(ベース取り付け用)
  • 六角穴付きボルト:M6 15mm x4(XJR400用ホースフランジ取り付け用)
  • アルミ板:40 x 40 x t1.5 x2(オイルクーラー取り付け座金)、150 x 150 x t1.5 x1(仕切板)
  • ビス;M4 10〜12mm x3(仕切板仮固定用)
  • ボルト、ワッシャー:M6 15mm x1(オイルクーラー上部固定用)
  • ステンレスビス、ワッシャー、ナット:M6 x1(フィッティングアダプターのロウ付け時にアダプターを固定する)
  • イモネジ(ホーローセット):M10-p1.0 15mm(M10ボルトを切断して代用)
  • Pクリップ:ゴムライニング付き(ホース固定用)
  • ジョイント金具とボルト、ナット、ワッシャー:穴あき平形、またはL字形200〜250mm、M6 20mm x5(Pクリップ保持用)
  • アルミ用低温ロウ:HTS-2000 45cm x2
  • 接着剤:シリコーンゴムにも使え、硬化時間の短いスーパーX2、エポキシパテ(仕切板固定用)
  • オイルフィルター:XJR用でなくても、外径φ65mm(Oリング径60mm)程度で取り付けネジがM12-p1.5であればOK

工具

  • フライス用エンドミル:φ6mm
  • ドリルビット:3.3mm、5mm、6mm、9mm、10.5mm、18.5mm
  • ステップドリルビット
  • リーマー
  • 金工ヤスリ、サンドペーパー
  • 電動ドリルとアングルエクステンション
  • ネジ切りタップ:M4、M6、M10-p1.0、M12-p1.5、M20-p1.5
  • ガスバーナー、ステンレスワイヤブラシ、ボール盤、各種レンチその他適宜

外注

  • ジュラルミン表面処理:無電解ニッケル処理(無色)
↑ジュラルミンブロックと無電解ニッケル処理の表面

作業内容

オイルクーラーの加工

  • 上部固定用のアルミ丸棒を25mm程度に切り詰め、端面にM5の穴を開けM6タップでネジを切る。
  • ラバーマウント用のフランジ2つをディスクグラインダーで削り落とす。
  • 上下にシリコーンゴムのストリップを貼り付ける。
  • 両サイドの保護カバーとコアの隙間をシリコーンスポンジで埋める。
  • 40 x 40 x t1.5のアルミ板に孔を開けてワッシャーを作る。(孔はフレアコネクターのネジサイズに合わせる)

車体の加工

  • オイルクーラーを仕込むために、エンジンカバー上方のルーバーを外し、右ハンドル車ドライバー側のエアインテイク開口部を一部切り取り、切断部分の出っ張りにヤスリがけし内側に曲げて、錆止めを施す。
  • エンジンベイの天井にオイルクーラーとホースを結合するネジが通る孔を2ヶ所開け、錆止めを施す。(狭い場所なのでホルソーやステップドリルビットを使う場合、電動ドリルにアングルエクステンションなどが要る。あるいはリーマでコツコツ孔を拡大するか、、、)
  • 室内のリアウインドウ直下、リアシートバック後方の鉄板に6〜7mmの孔を開ける。(オイルクーラー上部を固定するための孔)
  • アルミの仕切り版をエアインテイク開口部がある空間に合わせて整形し、オイルクーラーの端に接する位置にエポキシパテで固定する。
  • オイルフィルターマウントのベースを取り付けるネジ孔は現物合わせのため、ここではまだ開けない。
  • ホースを固定するためのPクリップを留める孔はホースの取り付けが終わってから適宜穿つ。

オイルフィルターマウントのベース加工

注意!

今回はフライス盤の代用にボール盤を使用したが、チャックがぶっ飛んだり、エンドミルが折れて怪我をする危険性がある。後先を考えなければチャックを溶接する方法が確実だが、私の場合は後々チャックを交換できるようにネジ固定剤を使用した。(ヒートガンやバーナーで百数十度に加熱すれば外れる)
また、本来フライス盤にはワーク(加工対象)を固定しつつ、切削場所を正確に移動させるクロステーブルか回転テーブルを使うが、ボール盤にはそのようなものが無いので、余りの木板の裏側に回転中心となる円柱を取り付けてテーブルの孔に差し込み、表にはワークをネジで固定して代用とする。インスタント回転テーブルは手で回すが、切削送り速度や深さは山カン。刃を折ったりキックバックの危険性もあるので自分が何をやっているのか解らない人は切削加工を外注するべきだ。
↑ボール盤にエンドミルをセットして
ワークを切削するための「回転送り台」
↑ワークを木の台ごと回転させて切削中
↑上図は上下が逆に描画されていることに注意
  • ジュラルミンブロックにM6タッピングビス取り付けネジ孔φ6.3mmを四隅に一つずつ開ける。
  • フィッティングアダプターやメクラ蓋用にM12-p1.5の下穴φ10.5mmを4ヶ所開け、そのうち側面の3ヶ所にタップを立てる。
  • オイルフィルターマウントアダプターのセンターボルトをねじ込むための下穴φ18.5mmを上面中央にできる限り深く(貫通してはいけない)開け、M20-p1.5のタップを立てる。
  • オイルフィルターマウントのリリーフバルブがベースの上面に近すぎるので、エンドミルを使ってベース上面に逃げ溝を切る。
  • 全体図面はこの項の最後に表示。
  • 切削加工が済んだら防錆加工に出す。
↑切削加工+無電解ニッケル防錆処理
を施したジュラルミンブロック

オイルフィルターマウントの加工

  • 外周部の廻り止めとおぼしき突起を削り落とす。(ベースへの組み込みを上手くやれば必要ない)
  • センターボルトのフィルターとは反対側の下部をディスクグラインダーで削り、ベース内部でのオイルの流路を確保する。削る場所は、Oリングを装着した状態で十分ねじ込んだ位置で、メクラ蓋を着ける穴からペン等を差し込んでマークを入れて位置を決める。横穴はφ12mmだが誤差を考えて削る幅は少し余裕を持たせておくこと。
↑写真を取り忘れたのでこの画像は合成です。
(AIじゃなく手仕事 ^^;)
  • 防錆加工の終わったベースのブロックにオイルフィルターマウントのM20のセンターボルトをねじ込む。上記の流路が確保されているか再確認。(下の写真は茶色の保護シートが付いたままで、防錆未加工時に仮組みした状態)
  • ネジ固定剤を付けたAN8フィッティングアダプターをねじ込む。オーバートルクで捩じ切らないように注意。
  • ドレンボルトを流用したメクラ蓋を装着。(この孔は油温計のセンサーとかに利用できるかも、、、)

タイミングチェーンカバーの加工

カバーの取り外しは、ベルトプーリーの遠心式オイル分離器の分解も伴うが、ここでは詳しく書かない。(オイルフィルターの清掃を参照)
  • オイルポンプを取り外す。(取り付けボルトが一部見えないので、まずサークリップを抜いてリリーフバルブを外す。しかしマニュアルでは親指で押さえてスプリングを縮めるとあるが、反発が強くとてもできないのでFクランプを使用する)
  • φ5mmの下穴を開け、M6のタップで雌ネジを切る。
  • M6のビスをねじ込む。(フィッティングアダプターの位置決めとロウ付け時の固定用)
  • AN8⇔M12-p1.5フィッティングアダプターのM12側のネジを切り落とす。

余談:低温アルミロウ棒HTS-2000について

先のYoutube動画でも紹介されているが、HTS-2000はフラックスが要らないかわりに、ロウが溶けている間にステンレスワイヤブラシで表面を擦って酸化被膜を除去することで母材への「濡れ」を確保している。アルミロウ一般に言えることだが、ロウ棒にバーナーの炎を当てて溶かすより、母材をロウ棒の融解温度まで加熱して、そこへ棒をこすりつけて溶かす方が確実。

タイミングチェーンカバーの加工(続き)

  • 予めフィッティングアダプターの底面(ネジを切断した跡)とタイミングチェーンカバーそれぞれにロウを溶かしつけ、接合面を突き合わせた状態で加熱して確実にろうが廻るように溶着する。(1次ロウ付け)
  • 気密性は1次ロウ付けで確保できるが、せっかく着けたフィッティングアダプターが肉盛するときの追加の加熱で外れないよう、予め立てておいたM6のステンレスビスにワッシャーとナットをねじ込んで仮固定する。(下の写真はロウ付け開始前の仮合わせ)
  • ホースの重さとエンジンの振動で疲労破断が心配なので、さらに強度を上げるために、フィッティングアダプターの周囲にアルミロウをコッテリ肉盛りをする(2次ロウ付け)。
  • アルミロウを盛り上げるためにステンレスでクッキー型のような囲いを作ったが、底部の隙間からロウが流れ出てしまった。耐熱性のある粘土や石膏で埋めておくべきであったが手持ちがなく、ロウ付け作業中に泥縄で買いに走っても、せっかく温めた母材が冷めるので別の方法を採る。
  • 酷く難しいが、ロウが流れてしまわないように加熱具合を微妙に調整しながら盛り上げる(比熱が大きく冷めにくいステンレスワイヤで融けたロウを均しながら盛り上げるが、ステンレスのヘラ状のものの方が熱を保持するので更に良いかも)。うっかりすると全てが一度に溶けてしまうので火力や距離、加熱時間に気を使う。また、この方法だと「ス」が入るおそれがあるが、第1段階の面突き合わせロウ付けで気密性は確保されており、追加で盛り上げた外周に少々隙間があっても問題はない。
  • ステンレスビス、ナット、ワッシャーを取り除き、ドリルで孔をφ9〜10mmに拡大する。(次の整形作業と順序が逆になっているが、どちらが先でもよい)
  • 肉盛りしすぎた余分なロウをリューターや金工ヤスリ、サンドペーパー等で整形する。(見た目を気にしないなら不要)
  • L字形のホースエンドフィッティングを仮留めして、手荒に捻ってみる。これでモゲてしまうようであれば使用に耐えられない。
  • ロウ付けしたフィッティングアダプターにホースを取り付け、裏側には栓をして、タイミングチェーンカバーを水に浸ける。ポンプ等でロウ付け部分に空気圧をかけて気密性の確認。漏れがあれば1次ロウ付けからやり直す。(幸い泡は出てこなかった。)

オイルポンプの加工

オイルポンプの分解手順については別に「オイルポンプとリリーフバルブの分解」に書くのでそちらを見てほしい。

  • M10ボルトの六角頭を切断し、中心にドリルでφ2.5mmの孔を貫通させる。(近い長さの既成ホーローセットが入手できればこの作業は不要)
  • M10ボルトを切断し 15mmのイモネジを作り、マイナスドライバーで回せるように端に金ノコ等で溝を入れる。(近い長さの既成ホーローセットが入手できればこの作業は不要)
  • 内部の2つのギアの内、長い中空軸が付いている方の内径が丁度φ9mmで、ギア側の穴にM10のタップで深さ17mmほどの雌ネジを切る。(近い長さの既成ホーローセットが入手できればこの作業は不要)
  • ロックタイトのネジ固定剤を着けてM10 のイモネジをねじ込む。
  • オイルポンプをタイミングチェーンカバーに組み込む。
  • タイミングチェーンカバーをクランクケースに復旧。

余談:ホースの加工について

NA8のホースをホースエンドフィッティングに組み付ける専用工具があるらしいが、テープを巻いて養生したホースをバイス等でしっかり固定して、薄手の切断砥石を着けたディスクグラインダーで切断し、被覆がバラけないよう丁寧にテープを外したら、ホースの端を被覆ごとナットに数ミリ食い込ませる。ホースを手で握って木の板などにナットごと思いっきり力を入れて、何度も打ち付けると問題なく着底する。そのホース+ナットをフィッティング本体にねじ込むときには薄くオイルを施しておくとスムーズに入る。ナットは最後まで締め込まず、2〜3mmの隙間を残す。

取り付け

オイルクーラー本体

  • 密閉用のラバーやスポンジを付けたオイルクーラーを先の「車体の加工」の項で口を広げておいたエアインテークから差し込んで、ホース接続ネジがエンジンベイ天井の穴に通るように内部で所定の位置に立てる。
  • クーラー上部の丸棒のネジ穴を後部座席のシートバック後方に開けた孔に合わせ、室内からM6 15mmのネジの半分ほどをねじ込んで仮止め。
  • オイルクーラーの上部と天井の隙間が大きいので、その隙間を塞ぐようにクーラーに貼り付けてあるシリコーンゴムのストリップを捲くり上げて天井に接着する。シリコーンゴムにも使えて効果時間の短いスーパーX2を使用。

オイルフィルターユニット

  • オイルフィルターのマウントとベース、XJR400のホースが一体化したユニットにAN8のホースを取り付ける。ホースエンドフィッティングのナットを締め込むときにフィッティングアダプターが供回りして捩じ切らないようオーバートルクに注意。
  • XJR400のホースエンドフランジをオイルフィルターマウントに取り付ける。小さいOリングを忘れないように。

  • 耐熱・耐油性のスポンジマットをベースに接着剤で貼り付ける。
  • ホースの付いたオイルフィルターのユニットを装着場所に仮置き(-天井なので手で支える)して四つ角の孔にプラスドライバーを差し込んで傷をつけ、ネジ位置決めのマークをつける。
  • 位置決めの印に従ってエンジンベイの天井にφ4.5〜 5mmの下穴を開ける。
  • M6タッピングビス4本をスポンジマットにねじ込んで仮止め。
  • タッピングビスを締め込んでユニットをエンジンベイの天井に固定。

クランクケースへのオイル戻り

  • ディストリビューターのすぐ手前にM12−p1.5のホーローセットでメクラ蓋がしてある。これを取り除いてAN8⇔M12-p1.5のフィッティングアダプターを取り付ける。
  • アダプターのM12雄ネジは当然中空でオーバートルクで容易にネジ切れる。本来ここはテーパーネジのようで、念のためにシールテープを巻いておく。(フィッティングアダプターにはシーリング用のワッシャーが付いていて、これも使用する)

ホースの接合

  • XJR400用ホースの先端をオイルクーラーのフレアフィッティングネジに締め付ける。フレアで圧着しているだけなので油漏れが起きないように、少しきつい目に。(正規の締め付けトルクは不明。心配なので邪道かもしれないが若干の液体パッキンを塗っておいた)このとき、手製のアルミ角ワッシャーを共締めする。
  • オイルクーラー下部が固定できたら上部の丸棒に仮留めしておいたM6ボルトを室内から本締めする。
  • M8ホースのうちL字型ホースエンドフィッティングはタイミングチェーンカバーにロウ付けしたフィッティングアダプターへ、直線形のホースエンドはクランクケースのディストリビューター手前にあるオイル戻りのフィッティングアダプターへ、それぞれねじ込んで結合する。
  • 忘れない内に市販のオイルフィルターをオイルフィルターマウントにねじ込んで装着。

仕上げ

  • エンジンベイの框を復旧。(ホースフィッティングとのクリアランスは数ミリ。フィッティングの種類は500の個体によっては干渉するかもしれない。その場合は、框の内側をプラハンマーや木槌で凹まさないといけない。実際、エンジンのスプリングマウントを復旧する以前に框を当ててみたら隙間はほぼゼロ。しかし、スプリングマウントでエンジンを吊り上げて框を取り付けたら、1cm程も隙間が広がっていた。)
  • 壁面や部品との摩擦が起こりそうな部分はホースにコルゲートチューブを巻いて保護。
  • ホースはブラブラするとよろしくないので、Pクリップでエンジンベイ内部の側面に取り付ける。(たまたま以前のオーナーがバッテリーをエンジンベイに移設するために開けた孔が2つあったのでそれらを使用)
  • さらにホースとエンジンの接合部の負担を減らすために追加のPクリップとその支えをホームセンターで売っているジョイント金具を折り曲げて作り、取り付ける。

完成後の心配事

設置場所の項でも少し触れたが、オイルクーラーの取り付け位置はルーバーの後ろに隠れて見た目上スッキリはしている。しかしここは冷却ファンがガンガン空気を吸い込んでいる場所だから、当然クーラーのコアを通過して温められた外気がエアインテークのダクトに送り込まれることになる。ダクトの開口部に近い反対側にも取り入れ口があるので全部の空気が加熱されるわけではないけど、エンジンの冷却に使われるはずの空気の一部はエンジンの熱で温められるという熱の悪循環が起きてします。さらに、ファンシュラウド内の空気はエアクリーナーを経由してキャブレターにも行くから、結果的に密度の低い薄い空気で混合気が作られてしまう(夏季の熱対策のはずが、夏のように熱い空気を冷却と燃焼に使うという本末転倒!W)。これらがどの程度の悪さをし、出力低下を招くのかは判らない。電動ファンで強制的に吸い出す手も考えたが、下手をするとエアインテークダクトと電動ファンの空気の吸引合戦になり、オイルクーラーを通過する空気が返って減ったり完全に停滞してしまう恐れもあるので、当面は手を付けないで静観することにした。どうなることやら。

始動と試運転

オイルクーラーとオイルフィルターを取り付けた直後は、スターターモーターを回してエンジンがかかってから油圧警告灯が点灯するまで10秒ほどかかるので、かなりドキドキする。
私の場合、オイルクーラーとホースの結合に不具合があり、初回始動時にはオイルがダダ漏れでひどいことに、、、。エンジンがかかったら何をおいても直ぐ下車してエンジンを見に行くこと。それが遅れるともしも漏れていた場合、オイルを失うのと地面に流れたオイルの拭き取りで大変な目に遭う。
締め付けを増したら少し漏れが減ったのでフレアからの漏れだと勘違いして、更に強く締め付けたらネジが舐めるどころか根元からモゲてしまった。あっという間にオイルクーラーコア内部のオイルがダダーっと流れ落ちた。万事休す。
修理部品が来るまでオイルクーラーをバイパスするように、XJR400のホースエンドのフレア部分を、短く切った水道ホースの両側に差し込み、ナイロンタイラップで締め上げてオイルの循環を確保した。長距離は恐ろしくて出られないが、漏れたオイルの清掃で車をどかすくらいはこれで何とかしのげる。その後、新しい部品で漏れは無くなったのでめでたしめでたし。

結果

一応の作業が完了し、思わぬオイル漏れに気が動転し、力まかせのゴリ押し増し締めによる破損で、恥ならぬオイルの上塗りというアクシデントもあったが、近所の試運転から徐々に距離を延ばしている最中の今日このごろ、、、。今のところは問題なし。油圧警告灯も全く点かず好調である。
シロート作業でやっつけたロウ付け部分も、見たところびくともしていない。もちろん漏れどころか滲みもない。
それでも、もしもオイルクーラー周辺からのオイル漏れがあった場合に備えて、短絡用のホースとライラップ、モンキーレンチを携帯しているが、、、そこじゃなくロウ付け部分がぶっ飛んで、それに気づくのが遅れたらあっという間にオイルが空になり、エンジンもオシャカを免れない。しばらくは警告灯とバックミラーに注意しながら運転する日々が続きそう。
さて、これでオイルクーラーがどれだけ油温低下に効果があるか、梅雨が明けて本格的な夏にならないと判らない。何かあれば、またこちらで報告する。

by Okapon

追記:

元々は、さしたる負荷もかけてないのに油圧警告灯が点いてしまうことから、いきなりオイルクーラーという禁じ手に飛びついたのだが、冷静に考えれば以前はそれほどでもなかったのだから、もっと別の場所を調べて原因を突き止めるのが先であるはずだった。

オイルクーラーどうのこうの以前に、この症状の原因で考えられるのは:

  • 1,オイルの粘度不足(ここ1年ほどは、オイル交換してもしばらくすると警告灯が点くようになった)
  • 2,油圧センサーの異常(わりと最近、不注意で壊してしまったので新品に取り替えた。が症状は同じ)
  • 3,オイルポンプの異常
  • 4,カムシャフトのメタル摩耗(シャフトは中空で、ここを通ったオイルがカムの潤滑と、ヘッド上部のタペットカバー内部の潤滑を担っている。警告灯のセンサーにも繋がっているから、シャフトエンドのメタルに隙間ができると油圧が逃げてしまうので警告灯が点灯すると思われる)
  • 5,オイルリリーフバルブの異常
1は、様々な理由でエンジンが高熱になっていてオーバーヒート寸前のはずで、これが怖くてオイルクーラーを、ということになった。しかし、点火時期や混合気などは正常だし、実際のオイルの状態(粘度や色、におい等)も悪くないから除外。(なら何でクーラーなのか、は答えられない。てか、やってみたかっただけW)
2は、交換した新しいセンサーの異常も無いでもないが可能性としては低いし、高粘度オイルを入れた直後は症状が収まるので一応は機能していると思われるから消去。(しばらくしてオイルが「こなれて」少し粘度が低下したら発症するが、、、)
3は、今回の作業でオイルポンプを分解したが、ギアなどに異常な摩耗などは見つからなかったのでまず無い。
4は、エンジンの腰下をバラさなきゃならないので当面は排除(ていうか目をそらした)。
で、5だが、リリーフバルブはオイルポンプにくっついているのでチェックしてみたら、いくつか気になることを発見。
  • まず、刀の鍔(つば)のような円盤状の部分の外周に妙な欠けか噛りのような傷がある。
  • 別の場所にはクラックにも見える線がうっすら、、、。
  • またその部分は本来円筒形のはずが、どうも太鼓状に変形しているような感じがする。
  • 更には鍔の表面に段差がある。ここは回転しないが、常に回転しているカムシャフトの後端フランジ部分に常に押し付けられていて、オイルが介在するとはいえ摩耗する消耗部品と考えられる。
  • (上記に加えて、スプリングの自由長も予備の物と比較したがヘタリや歪みは無かった。)
これらのどれか、あるいは全部が原因で、油温が正常範囲でも少し熱くなってちょっとでもオイル粘度が下がると、規定の上限油圧に達しなくなってバルブがオイルをリリーフしてしまっていたのだろう。(正体見つけたり!?)
早速、新しいリリーフバルブに交換したが、そうするとオイルクーラーを取り付けた効果が判らなくなるし、、、でも、エンジンが健全でいてくれたらそれで良しとしよう。
      • って、じゃあこの間、他の用事を投げうってやってきたオイルクーラー取り付け作業は何だったん?ってことに、、、(;´д`)トホホ…
そういえば、オイルクーラーとオイルフィルター、そのマウント、ホース等を満たすために不足したオイルに追い打ちをかけてオイルがたっぷり漏れたものだから、都合1リッターほどの20W50の鉱物油を注ぎ足した。これでしばらく使った漏れ残りオイルの粘度もまた少し上がっただろうから、ますますオイルクーラーの効用が見えにくくなってしまった。まあ、オイルは早晩くたびれるし、これから気温は増々上昇するから、この夏にはしっかり結果を見届けることができよう。

千本ゑんま堂大念佛狂言

夕方、Ciaoで買い物に出た帰りに千本通を走っていたら千本ゑんま堂で大念佛狂言をやっていた。すっかり忘れていたけど、そういや今日が最終日。ここ数年は行われていなかったので、ラッキー!

ちょうどゑんま堂ゆかりの閻魔と小野篁が登場する『篁冥土噺』で小悪人が地獄に落ちたところだった。しばらく立って観ていたが、次の『道成寺』の前に15分の休憩があり、席が空いたので一番前まで行って座った。その15分間ずっと、振り袖に裁着け姿の小さな女の子が鐘と締太鼓を鳴らしていた。大変よく頑張りました。

さて道成寺は新調の鐘に奉納舞を申し出た白拍子(実は鬼)の鬘帯(かづらおび)が舞うにつれてだんだんずり落ちてきて、面の目を覆っちゃうんじゃないか、とハラハラしたが大事に至らず。それはともかく、アホな坊主の愚かだけど本音のセリフが楽しい。

最後は恒例の『千人切』。演者全員が舞台上に並び、つぎつぎと源為朝の錫杖で打ち伏されるが、宝塚のフィナーレもかくや?(ちゃうか?知らんけど。。。観たことないしW)

終演後、為朝に錫杖で撫てもらいに本堂へ向かったが、人がいっぱいで入れん。すごすご帰る。

トタン葺きの舞台は昭和に焼けたため他の大念佛狂言の舞台より少し簡素だけど、一度は途絶えた狂言だけど、古い形式であるセリフがあるのは京都の4念佛狂言ではここだけ。セリフがあるだけにプロの狂言師とは違う素人っぽさがでて、それがまた良い。ずっと続いてほしいな。