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FIAT 500 禁じ手、シートベルトのアンカー移動

座席のスライド量を増やすためにシートベルトのアンカー位置(巻取り装置のある方)を移動した。果たして安全なのかどうなのか、、、。できるだけの検討と対策は講じたが、力学的、工学的な裏付けのあることじゃないのでねえ。それでも、まあ、元々自動車のシートベルトが一般的じゃなかった時代のFIAT 500だから始めからベルトなんぞ付いてなかったんで、どんな状態であれ無いよりはマシと、とりあえずやっちゃった、と。(本来これはやっちゃダメなことなんでマネするな、と言っておこう、とりあえず、、、。自分が何やってんのか解らない輩がいるんで、一言書いておかないとねえ、、、)

以下にゴチャゴチャ書いたけど、あんまり意味ねえし、写真を見れば一目瞭然。(下のアルバムをクリックすれば自動でスライドショーが始まる)


以下、元の文章(うざい)。消すのがもったいないので残すが、読む価値はあまりないと思う。

元々FIAT 500にはシートベルトが装備されていなかった。最後期の500Rにはベルトが在ったか無かったか知らないが、アンカーとして前席シートレール直後のフロアパン裏側に座金とナットが付けられていた(らしい)。後にフロアパンを取り替えたような車体にもアンカーが在るそうな。ていうか、ウチのチンク嬢は中期型で一番多く生産された500Fだがアンカーが付いていて、それも後からやっつけで取り付けたようなものではなく、フロアパンの件の座金が取り付く部分は、その座金の形に合うようにプレスでくぼみがつけてある。考えられるのはこの個体が上記のようにフロアパンの交換を受けたか、あるいはF型の生産時期に既にシートベルトのオプションがあったのかもしれない。

巻取り装置のアンカーボルトを外す。(実はこの写真は助手席側だが、他の運転席側の写真と方向が整合するように「裏焼き」にしてある)

何であれ、ウチのチンクちゃんにはシートベルトが装備されている。そんで、ベルトの巻取り部分は厚さ3mmのごつい鉄製フラットバーでできたL字金具でアンカーに固定されている。ところがこの巻取り部分の位置がよろしくない。こいつが在るお陰でシートが金具に当たって後ろに下がりきらないのだ。昨日、運転席側の座面を若干下げる改修をしたのだが、それとは別に、わずか数cmだが前後のドライビングポジションが窮屈なのだ。純正のシートは背もたれがパイプ一本の薄っぺらいものなので、おそらくこの問題は発生しないのだろう。ただ、以前載せ替えたミラ・ジーノだか何だかの現状シートは背もたれがそれなりに分厚く、後少しスライドできたらなあ、と常々考えていた。

ベルトの巻取り装置が邪魔でシートが下がりきらない。

で、その「数cm」を稼ぐためにアンカーポイントを後ろに移す決断をした。問題は安全に関わる部分を勝手に移動させて、強度を確保できるのか、また法的には如何なものか等々、ひょっとして「やっちゃイケナイこと」なのかも知れないな、、、と。強度計算も法的裏付けも無いが、唯一の根拠、ていうか言い訳は「元来シートベルトは装備されていないのだから、今付いているものは単なるインテリア小物、もっと言えば装飾品と何ら変わりない。故にその改造についてお上に文句を言われる筋合いは無い」という強引なもの。(実際、シートベルト装備が法令化された1069年(昭和44年)以前の旧車の多くは元からベルトが付いておらず、したがってベルト装着の義務もない。たとえ後付けしたベルトを装着せずに運転していてお巡りさんに見咎められても反則切符は切られないのだ!)

とは言え、やはり我が身は可愛い、命は惜しい。だからアンカー移設に当たり、ボルト・ナットや座金についてそれなりの考察は行っている。現行のボルト・ナットはおそらく高張力・高強度のもの。だが座金は幅が約30mm、長さ60〜70mm、厚さ1mm程度の薄い鉄板をプレスで浅いコの字にしてあるだけ。そこにナットが溶接してある。フロアパンはボディーの中でも最も分厚い部分だけど、座金と合わせても2mmやそこらしかない。いくらL字金具やボルトに強度を持たせても、強い力が加わったら薄っぺらい座金がちぎれるか、フロアパンが破けて座金ごと引っこ抜けてしまうのではないか。

いざ事故のときにどれほどの力が働くのか考えてみないとね。「時速40kmの車が壁などに衝突したときの衝撃はビルの3階(約6m)から落下したときの衝撃とほぼ同じになります。このとき、身体には体重の30倍以上の力がかかり、体重が60kgの大人だと約1.8t(交通事故慰謝料協会HPより)」だそうで、仮に座席両サイドの2つのアンカーに均等に力がかかったとしたら1本のボルトに約0.9tの荷重がかかることになる。ところで、今回使用したのはM12で強度区分10.9の高強度ボルトだから、最小引張破断荷重は87,700N、およそ8.95tの荷重まで耐えられることになっている。40km衝突時の約10倍。まっすぐ引き抜き方向に力が働くとは限らないからせん断力耐力を考慮したり、事故では静的荷重ではなく衝撃荷重なども取り込んだ上に、安全係数も、、、と言い出したらキリがないが、ともかく高強度のM12ボルトが破断するような事故が起きたらベルトが先に切れるか、人間の身体の方が音を上げてしまうだろう。(ちなみに新しいナットは、座金にロウ付けした方が通常の4.8強度区分のフランジナットで、その上から高強度(S45C-H) のロックナットで締め付けてダブルナットにしてあるので、これも強度は十分と考えている)

おっと、元々のボルトはM11だから、途中省略するが、M12の断面積の約0.7倍であり、破断荷重の強度も面積の比に対応して約6.3tだった。それでも十分な強度だった。(あくまで両方とも同じ強度区分「10.9」だとしてという仮定)

新たに作った座金はオリジナルより厚みをウンと増して4.5mmとした。これで、少なくとも座金+フロアパンの合わせ鉄板の孔がボルト引き抜きの力に負けて、ボルトがナットごと引っこ抜ける、ということは起きないだろう。

新たにM12のフランジ付き高強度アンカーボルトを用意し、ナットをロウ付けした座金(4.5mm厚)をでっち上げた。

よく「鎖の強度は一番弱いリンクの強度によって決まる」とか、「木桶や樽の側板の長さが不揃いであれば一番短い側板でその容量に制限がかかる」と言われる。いくらボルト・ナットが強くても座金がペラペラじゃ話にならない。しかし座金を分厚くしてもフロアパンが引き抜き方向の力に負けたら今度はボルトや座金ごとブチ抜けてしまう。。。うーん、強度計算を行うための十分な情報や知識がないので、これじゃあいくら思案しても堂々巡りだわ。

どうせ話が元に戻るのなら、結局はボルトにしても座金にしても、元々のものより幾分かなりとも強度を上げておけば何とか同等の安全性は確保できるんじゃないか、という漠然とした期待と、もっと遡って「本来、このクルマにはベルトが付いてないんだから、どのような改造であるにせよ「無いよりましじゃね?」というケツまくりの最後っ屁。

ちゃんちゃん!