久しぶりのFIAT 500ネタ
サクラが終わって、ツツジ。首の調子も良く、花粉症も終わりに向かってる。ぼちぼち外で何かやるか、、、。
ウチのチンクはダッシュボードの下に膝プロテクターパッド(正式には「ダッシュボードパッド」と言うらしいが、以後、膝パッド)が付いてなかった。オリジナルではシートベルトも無く、エアバッグなど望むべくもない旧車だから、今更これが無くても安全上どうということもないものだけど、、、まあ、見てくれがね。(笑)
そんで、やっぱこんなん↓がええなあ、と。
(Photo: Eckhard Henkel / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0 DE)
この正月に病を押してせっかくこんがらがった配線を整理し、ダッシュボード下もスッキリしたので、まだ少し見えている電線のアラ隠しに膝パッドを取り付けようと決心した。
配線がひどくゴタゴタした以前のダッシュボード下。
配線はスッキリしたものの、何かが足りない。
膝防護のパッドが欠如。
実は、膝パッドは以前から物色していた。でも日本で買うと1万5千円とかするし、ヨーロッパじゃその半額の€ 50。といっても取り寄せたら結構な送料がかかってくる。その上、日数も。どうすれば安くて早い、どっかの牛丼みたいな膝パッドが手に入らないか、、、と模索。その答えは「自分で作る」である。(元々、右ハンドル用のものはほとんど売っていないし、左ハンドル用を流用するにはネジの位置を変更しないといけないから、いずれにしてもそれなりの作業が伴うし。)
決まったら、善は急げだ(こんなもの「善」かどうか知らんけど、、、)。作り方はFRPのベースにカマボコ形スポンジを乗せ、フェイクレザーで包めばよろし。考えるだけ、口で言うだけなら簡単そうに思えるな。
完成した自家製の膝防護用ダッシュボードパッド
製作手順は以下の概要の更に下にある写真ギャラリーにしてあるので、よほど暇な方は覗いてみ。
ざっと概要
実物を見たことがないので、ネットの写真を元に大雑把な図面(ていうか覚え書き)を引いてみた。幅は5cmほどであろうと推測。ウチのは右ハンドルなので裏返す必要あり。
ダッシュボード上のキーホール、スイッチ、ランプの位置関係を計測し、おおよそのサイズを画像から割り出す。
FRPはポリエステル樹脂500gにガラスマットや硬化剤などがセットになったものが送料共で1500円ほど。スポンジはパイプの断熱材でこれも送料共で1400円ほど。フェイクレザーは1m巾だがミニマム30cmで500円ほど。塩ビパイプ300円。あとは接着剤、ネジ類、その他諸々。全部で4~5000円もあればOK。
FRPのハンドレイアップ(手作業の積層)をちゃんとやるなら、まずはダッシュボードの下部から石膏でメス型を型取りし、さらにそれからオス型を作った上に樹脂を塗りとガラス繊維(今回はマット)を重ねていく。しかし、1品製作で、増産を考えてない上に、あくまでベースなので外から見えないので、型作りを省略してダッシュボードに直にハンドレイアップすることにした。下地に養生テープをベタ貼りして離型剤も省略。樹脂の説明書に一度に積層するのは3mmまでにしないと変形が起きやすいとあったので、3プライ貼ることにした。結果として、離型に全く問題なく、3層で強度も十分だった。
スポンジはチクワ状で、ベースに貼り付けてフェイクレザーで包んだ時に空洞が潰れてしまわないか心配だったので、塩ビ管を縦に半分に挽き割って芯材とした。さてそのシート皮だけど、よく似た構造のバイクのシートはベースが柔らかいプラスチックが多く、皮をタッカーで固定する方法だが、カッチカチのポリエステルとガラス繊維じゃ無理。接着するにしても、ある程度テンションを掛ける必要があり、そこそこの強度と耐候性が求められるが、時間のかかる接着剤だと硬化するまで手で押さえるのはしんどい。そこで耐候性は「?」だけど、瞬間接着剤を併用することにした。
材料:
で、その制作過程と完成品の取り付け画像が次の写真やギャラリー。
下準備
膝パッドのサイズが判らないので、実写やウェブからの画像と実物のダッシュボードを見比べて、スイッチやランプの間隔を計測した値から幅を割り出す。
離型剤要らずの養生テープを大量に貼り付け、その上に直に当り線を描く。
ダッシュボード上のキーホール、スイッチ、ランプの位置関係を計測し、おおよそのサイズを画像から割り出す。
汚れ防止と離型剤代わりのガムテープ貼りまくり。
積層作業
養生テープの上から樹脂とグラスマットをハンドレイアップしたが、とてもじゃないけど写真を撮れる余裕は無かった。
ボルトの固定は、金属用のエポキシパテを使うべきだったが、ケチって有り物ので間に合わせたら柔らかすぎて後に供回りして困った。
ガラス繊維マットを8cm幅に切断。
長さ70cmと21cmを3プライ用に各3枚ずつ。
1プライ1mmとして、樹脂は1㎡当たり約100g。3プライ分の面積は大雑把に0.2㎡なので200g。余裕みて1割り増し。
硬化剤は春の陽気なので標準1%の2
刷毛で樹脂をマットに含浸させ、ローラーで脱泡を3回繰り返す。硬化時間(ポットライフ)が限られてるので手袋外してカメラいじってる余裕がない。作業写真なし。
積層完了。メーター右側。
助手席側。(配線の逃げあり)
メーター左側。
脱型(ていうか剥離)
養生テープからの離型は完璧。
小さい方に恐る恐るプラスチックのヘラを差し込んで縁を浮かせる。
上辺が剥がれたら後は手でベリベリ。
大きい方も上辺を剥がす。
長さがあるので、まんべんなく剥離させる。
配線の逃げ部分は気をつけて剥がす。
整形
ダイヤモンドカッターは食い込みもなく、FRPの切断には最適だが、、、粉塵がひどいのでマスクとゴーグル、帽子、雨ガッパ等々の防護が必須。
ディスクサンダーにダイヤモンド刃でトリミング。
周囲をサンディングし、ボルト用の6.2mmの穴を開ける。短い方には、ダッシュボードにネジ穴が1つしかないので、片側は両面テープ留めかな、、、
フィット確認の仮止め。
フィット確認の仮止め。
フィット確認の仮止め。
フィット確認の仮止め。
M6ボルトをエポキシパテで固定。
エポキシパテが外れないよう、FRPのパッチを1プライ乗せる。
硬化直後なのでまだトリミングしていない。
チクワ状スポンジの芯材として、呼び径16(外径22mm)VP塩ビ管の半割をFRPベースに接着し、端部等をエポキシパテで穴埋め・整形を施す。
余分なパテをサンディング。
クッションと上皮張り
スポンジの変形を防ぐために養生テープを貼って、その上からカッターナイフで切る。
刃の滑りを良くするために水で濡らす。
切り口。使うのは5/8の方。
スポンジをFRPのベースに接着。
接着直後の端部。(この後、ハサミで整形)
フェイクレザーを裁断。
スポンジの貼り付けと整形が完了し、フェイクレザーに仮合わせ。
ネジが見える角度。
両端は後回しにしてサイドの長辺を貼り付ける。左上は端部も貼り終えたもの。
端部の裏側はギャザーを寄せているので、接着剤の硬化後に切り取る。
完成した端部の裏側。
膝防護パッド完成(裏側)
膝防護パッド完成(表側)
取り付け
ベース裏のネジをダッシュボードに」差し込み、』養生テープで仮留めする。
ボンネットを開け、ダッシュボード裏側に突き出たボルトにナイロンロックナットを締め込む。配線やタンク等が邪魔でボックスレンチにはエクステンションとユニバーサルジョイントを使用。
ダッシュボード全体。
助手席側から見た膝パッド
接着剤の固まりムラにより縁に若干の凹凸が見て取れるが、全体としてはOKじゃね?
完成
カーナビとスマホホルダーを外して素っぴんのダッシュボード。シンプルで美しい。復旧せずこのままにしておこうかな。
配線やイグニッションスイッチの位置を元に戻し、膝パッドが付いてだんだんとオリジナルに近づいていいる。ラジオは違うけど、、、
大写しにしても、悪くはなさそげ。
膝パッドは外から見えるものじゃないけど、チンクは若干嬉しそげ。
オマケ