偶然通りかかった道端に、座り込んで高速カッターを使ってるジイさんがいる。インドかここは?
ふと店の看板を見ると「小森虎機料株式会社 各種織物部品」とあった。店の中にもよく似たジイさんが座ってジャカード織機かなにかのロッドを束ねている。
ていうか店の雰囲気、タダモノじゃない。90年代以前のインドや中国の極小鉄工所みたいに狭くて薄暗くてゴッチャゴチャに物が置いてあって、、、こういうの見てしまったらもう通り過ぎられようか、、、
ものはついで。フィアットのエンジン・フードを半開きにしてオーバーヒートを和らげるためのステーに付けるトーションスプリングがどこで手に入るか店の中のジイさんに尋ねてみた。
「うちにあるよ!」
「へ?」
「〇〇ちゃん、奥の棚のビニール袋にいくつかあるやろ。見たって。」
外で仕事していた弟と思しきジイさんが手を止めて、カオスの棚から探し出してくれた。
整理されてないモノの山からよく部品がどこにあるかおぼえてますねえ、と感心したら、「それができんかったら仕事にならん」と。確かに、、、
出てきたバネは思っていたより巻径が太いがトーションのバネ定数は欲しいものに合いそうだったので分けてもらう。
店の暖簾は西陣織の手織りで使う小さな糸巻き。一番下はそろばんの珠。商売人やな。(笑)
表のロッカーに貼り付けたマグネットがジイさんたちの顔に見える。お茶目やな。(笑)
しばらく部品やクルマの話をしたが、長居は仕事のじゃまになるので切り上げて、帰り際に写真を撮っていいかと訊いたら快諾してもらえた。店を出て振り返ったら、ちょうど奥さんらしき人がお茶を持ってこられたから、おやつの時間だったのかも。三人で「はいチーズ」
はて、この感じ、、、どっかで、、、なんか、デジャヴュみたいな感覚に襲われた。。。
そうか!友人が兄弟でやってるコンブ金物店!!!
昆布さんの店はもう少しだけ広いし、ごちゃごちゃ度も少ないし、兄弟の年齢も一回りは若い(っても還暦過ぎてるけど)、でも、なんかおんなじニオイが漂ってる!
ほんの5分か10分のことだけど、インド/中国へ行ったり、友人の未来を垣間見たような、不思議な時空の旅をした気分。
あれは夢だったのかな。今度、同じ場所を通ったらもう無いかも。。。でもトーションバネはまだしっかり僕の手の上に在るし。