『アラバマ物語』も未読の僕が、今すぐ続編『Go Set a Watchman』を読まないだろうが、もしも読んだら、50年前の映画に感じたのと同じ「しんどさ」を背負い込むことになるだろう。なにしろ続編の内容を伝えるニュースだけですらこんなことを書かせるほどなのだから、、、
『Go Set a Watchman』は『アラバマ物語』(原題:”To Kill a Mockingbird”)より前に書かれていたという。アティカスの変節を逆順で描いたハーパー・リーはきっと非凡な作家なのだろうなと思う。
追記(2023,11,17):ハーパー・リーが「アティカスの変節を逆順で描いた」のは、先に書かれた、つまりリーの初作(というかドラフト)である『Go Set a Watchman』が未成熟だと判断した編集者のテイ・ホホフが、スカウトの少女時代を物語にするよう提案したからだ、と当時のNewsweekの記事に出ていた。
漫画や小説、エッセイなど出版される作品への編集者の影響力は相当大きく、編集者の力量が文字通り良くも悪くも作品の質まで決めてしまうほどだ。全てがそうだというわけではないが、名前の出ない共著者と言っても大袈裟ではない。ホホフについてはよく知らないが、Newsweekの記事を読む限り、かなり見識の高い編集者だったのだろう。それはホホフの関わらなかった、というか出版を許さなかった『Go Set a Watchman』が、8年後の現在ではもはや誰もその名を口にしなくなったことが逆に彼女の功績を際立たせている。