Day 05 photo / 0824

エヴェンキのアナトリーさん。真ん中はツェレンくん。
ヴァリェーニキ(中身はジャガイモ)
ホームでピロシキやヴァリェーニキを売ってるおばちゃん。服装は冬仕様。僕は半袖半ズボン。ぶるっ!

基本的な食事。イランなどでも食べた薄いパンにソーセージ、チーズ。あとはマッシュポテトやインスタント麺。青野菜ゼロなんで果物食べる。それ以外に周りからもらう間食多量!

左からパウルくん、ヤコプくん、ニコくん


Day 05 text / 0824

早くも何日めなのか分からなくなってきた。

アクバルくんは風邪ぎみでしんどそう。咳もしてる。ペインキラーはないかと訊いてくる。アスピリンを持ってきてると思って荷物の中を探した入れ忘れたがみたい。ゴメン。

チェーレンくんはいつの間にか同じ区画に引越して来てる。座席って変われるんか?どことなく白鵬に似てないこともないこのブリヤートの青年とはモンゴル語しか通じないので、忘れきったと思っていたモンゴル語がどんどん思い出せてくる。「この辺には町が無く人がいないので、インターネットが来てないね。」「うん、木はいっぱいあるし、熊も棲んでるけどね。」なんて、分かったような分からないような会話。分からない時はアクバルくんにたすけてもらうが、体調悪く辛そうなので出来るだけ自力の韓国語でおぎなう。韓国でのビアパーティーのビデオとか見せてくれる。酔っぱらった白鵬似のブリヤート人がカンナムスタイルを踊ってるの図はおっかしい。彼は明日、ブリヤート共和国のウランウデウランウデで下りるそうだ。さびしくなるなあ。

アクバル、チェーリン、僕の三人がいると、通りがかりにいろんな人が声をかけてくる。ロシア語は解らないが、二人の答えからどこから?と訊いてるらしい。一人のおじさんが座り込んでなんか喋ってる。自分はエヴェンク(キ)だと言ってるらしい。以前NHKで「トナカイ神」という大興安嶺のエヴェンキのドキュメンタリーを観て、エヴェンキの悲しい恋唄を聴き憶えていたので歌ってみる。

なーだんがしゅー、じゃーこんぐらしゅー
ちんまなやー、だーりやかー
おんかけがー、おぇーまんじがぉー
もーらん、もーらん、もーらん、もーらん

(六人、七人いる中で、ダリヤ、おまえが一番きれい。こんなに恋いこがれているのに、どうして他の人のところへ行ってしまったのだ。ああ、悲しい、悲しい、、、というような意味だったと思う)

おじさんは目を瞑って聴いてくれ、何かロシア語で応えてくれる。チェーリンくんとアクバルくんが、おじさん解ったって言ってるよ、教えてくれる。。。同じ民族とはいえ、大興安嶺の森から1000kmも離れたシベリアに住むエヴェンキのおじさんに、うろ憶えの、しかも全然エヴェンキ語を知らない僕の歌が通じる?!ひょっとして、すごくね?!

おじさんの名を尋ねたらアナトリー書いてくれる。チェーリンくんにエヴェンキ名を訊いてもらうが、無いと言う。ひょっとしたら文字に書けないということかもしれないが、この辺の微妙なコミュニケーションのズレがつらいなあ。

本当はクラスノヤルスクで途中下車して、エヴェンキの人たちのところへ行って僕の作った偽楽器「エレクトリック サイレント エヴェンキ シャーマン ドラム」のビデオを見てもらいたかった。でもそれをしていたら北極圏のKungsledenは冬になってしまう。諦めていたら、向こうからやってきてくれた。

昔、留学中に、チベット行きを切望して果たせずにいたとき、僕のいたマディソンにダライ・ラマが来られた。しかも、講演を聴きに行ったら、偶然に出入口で鉢合わせ。ミーハーにも握手までしてしまったのだった。そして、数日後には運良く直接に入信の灌頂も受けることに、、、

あ、話が逸れた。ともかく、求めよさらば与えられん、は時々起こる。そして今、エヴェンキのおじさん、アナトリーさんが目の前に座ってる。急いでiPhoneを取り出してビデオを再生する。アナトリーさんはまた目を閉じてうなづきながら聴いてくれた(ほんとは目を開けて見てもほしかったけどねw)。

アマザールという駅でアクバルくんが餃子のようなものを買ってきて分けてくれる。中身はマッシュポテト。ペリメニというロシア餃子かと思ったら、それは肉入りのことで、イモ入りはヴァレニキと言うらしい。美味しいので僕も下りて、向かいのホームにいるおばさんから買う。写真でおばさんの服装見れば判るが、めっちゃ寒い。僕は京都でてからずっと半ズボン、半そでシャツのまま。(下着は洗って替えてるけどね)。アクバルくんはブリンというお菓子もくれたが、こっちは甘いクレープみたい。隣の女の子がマシュマロをくれる。三等車内は時々人が入れ替わり飽きることがないし、いろんな人がお菓子とかくれるのでお腹がすかない。

夜になって、船で一緒だったドイツ人二人とイギリス人が通りがかり、食堂車へ行くと言うのでついて行く。今回の旅では初めての食堂車だけど、食事提供時間は終わってる。三人はビール、僕炭酸水。パウルとヤコブ(独)、それにニコ(英)は皆二十歳そこそこ。なのに話題が豊富でヨタ話だけじゃなく、言語や音楽、スポーツまで、若者らしくすごいスピードで出てくる。ピアノ演奏の話になりジョンケージの4分33秒を持ち出したら、即座に俺も弾ける、いや俺の方が上手い、とくる。ニコは日本語が話せ、漢字の知識もあり、僕の名前の文字や意味を聞いて、すぐにスマホで確認する。他の二人も中国語ができる。こいつらすごくね?こっちの英語が若者仕様じゃないのでついてくのに苦労する。1時間以上だべるもとうとう食堂車の電気を消されて終了。