「旅」カテゴリーアーカイブ

ドナドナ チンクエチェント

ドナられるチンク嬢は、それでも笑顔だった。

ある晴れた昼下がり、Fiat 500で友達を迎えに行く途中、京都御所の横でクラッチペダルを踏み込んだとたん「ガスッ」っと音がして、ペダルが戻らなくなった。瞬間的にクラッチケーブルが切れたと思い、降りて押して路肩に停めた。

写真のワイヤ先端はペダルのアームから外れているが、切れたと思しき場所はその反対側(エンジン側)

先日、前輪の懸架と操舵回りを整備して「クルマとしての機能はうちに来て一番完成度が高い状態」と豪語したばかり。後ろのタクシーのクラクションをトホホな気持ちで背中に受ける。

運悪く交通量の多い烏丸通で、中立売御門の直ぐ横だったので、エンジンフードを開けているだけで、行き過ぎる車と外国人観光客の見世物と化してしまった。こんなところで、またFiatの床下に潜り込むのはとっても恥ずかしいし、何より危険だし、、、

ほんの2〜3km先で待っている友達に地下鉄で来てもらい、JAFのトラックでFiat 500と共に原谷の家まで運んでもらった。

しかし、カメラの人、たのしそうやな。何でそないに人の不幸が嬉しいんや?(笑)

 

追記:
一夜明けて、さっき家の前でもぞもぞと潜り込んだら、ケーブル切れではなくケーブル調整ナットが欠落していることが判明。
「はぁ?・・・」
レバーから外れた長ネジのロッドが虚しくブラブラしているだけ。(これであれば、通常のナットとワッシャーを調達できたら、応急的に走って帰ることも可能だったんだが、、、でも路上で車の下に這いずり込む勇気はなかっただろうな)

調整ナットは僅か500円の部品。故障車の移動はJAFの会員でなかったら2万円ちかくかかるところだった。

画面左下の白いネジがクラッチケーブルの先端。右側のバネが付いた部品がクラッチレリーズレバー。これらがつながっていないといけないのに、、、

「Fiat乗りた〜い!乗せて〜!」という友人のリクエストでチンク嬢を引っ張り出したのだけど、嫉妬されたか?
路上で駄々こねてるときも、ワイヤーで曳かれてトラックに積まれるときも笑顔。でもその下に隠された心の内は、、、そう思うと何があってもパッチリお目々と微笑む口元はちょっとコワイかも。。。


簡易な電圧計
 (for Fiat 500)

常々バッテリーの状態やオルタネーターの発電状況をモニターできたらいいなと思っていたので、電圧計を取り付けることにした。

スピードメーター右下の白い丸は百均で買った温度/湿度計

電圧計があればリアのエンジンルームに移設されて点検しにくい位置にあるバッテリーの状況も一目瞭然。走りながら電気の心配をする必要もないし、ちゃんと定格の電圧が出ているのにスターターモーターの起動力が弱ければ、配線の不良かモーターそのものの問題だとすぐに判る。

元々、燃料計さえ付いていないFiat 500に電圧計などあるわけもない。いや、正確に言うと燃料残量が5リッターを切ると点灯する「BENZINA」とオルタネーターの発電状況の「GENERAT.」のインディケーターは付いているが、ランプのON-OFFだけでは心もとない。

で、無いものは作る。Amazonで僅か120円(送料込み!)でディジタル表示のシガーソケット用電圧計を売っているのに、、、。

安物のディジタルのやつはスターターモーターを回す時の電圧変化で表示が乱れたり、酷いのは一旦ソケットから抜いてリセットしないと表示が回復しないものもあるらしい。

Fiat 500にはアナログが似合う。小ぶりの電圧計を捜していたらSD-39-DC15VというぴったりのVメーターがあった。最大レンジが15Vなので定格12Vの自動車に最適。値段は1500円でAmazonの超安物の12倍以上するが、コイルと針で動く一番単純なものだから安物ディジタルのような電圧の乱れで狂うこともない。それに見てくれがなんともかわいいのでFiatにも似合う。

ダッシュボードの下に取り付けることも考えたが、簡単に取り外しができるようにシガーソケット差し込み式に改造することにした。

暗すぎて使い物にならないマップランプがあったのでそのプラグとアームに件のメーターをくっつける。改造はタダそれだけ。

 


山笑茶屋

先週、岡山牛窓の妹のところへパソコンの修理に行っていた。岡山には美作に従弟が工場を構えていて、彼の奥さんは近くですてきな「山笑茶屋(やまわらうちゃや)」というカフェをやっている。

カフェになる前の空き家は見たことがあったが、開店後は行ったことがなかったので、パソコンの用事の合間に妹夫婦と美作までドライブして閉店間際に滑り込んだ。

山笑茶屋は、周囲に何もない山の中の、森に囲まれた尾根というか峠のような所にぽつんと経っている。店の中にはタイに直接出向いて仕入れてきたという藍染の衣料や小物雑貨が置かれていて、以前のがらんどうだった時とは全然違う。街なかの喫茶店と違い、通りがかりの一見さんはあまり来ないだろうけど、何も知らずにこの山の中へ来て店に入ったら驚くだろうな。。。


四十ン年、、、

偶然出てきた引っ越しのお知らせ。息子が生まれるずっと前、花脊に建てた家だ。彼のお母さんは色白だったなあ。僕はあの頃いちばん太っていた。麦わら帽にデニムのオーバーオール、手には備中鍬。庭の畑の大根の葉が茂ってる。前に住んでいた団地の集合住宅で飼っていた拾い犬たちも写ってる。おお、1階のテラスに手すりがあったな。そういや風見鶏もまだ立てていなかったっけ。

やらせのニオイがプンプンする写真だな。(笑) だって、犬連れて小脇にバスケット抱えて、いったい何するのよ? 僕が備中鍬を手にしてるのは、ひょっとしたらAmerican Gothicという絵をパロっているつもりだったのかもしれない。思い出せないけど、多分そうだろう。
色白のおかあちゃんと、太ったおやじの間に出来た息子は色白で且つ太っている。

 


おうまさんの里帰り

20年前に作って、広島へ送り出した「おうまさん馬頭琴」が改造依頼で二度目の里帰り。一度目は糸巻きを機械式のペグに換装するためだった。今度はネックを短くしてほしいとのこと。。。いや、しかし、弦楽器のネックってそう簡単に伸び縮みするもんじゃねえし、、、(汗)

オーナーの佐伯さんはやたら弦楽器がお好きで、ウードやらなにやらいろんな種類の楽器をお持ち。それも、ただコレクションするだけじゃなく、おうまさんの「もうひとりの生みの親*」である馬頭琴奏者の嵯峨さんたちとAsian Wingsというユニットに参加して海外まで出かけて演奏したり、最近では劇団態変の公演で音楽(各種弦楽器)を担当されたりと活発に演奏活動をされている。おうまさんも気に入って弾いていただけるのなら改造でもなんでもします。。。

* 嵯峨さんがマウス使って描いたおうまさんの元絵は嵯峨さんのCDジャケットの中で使われている。おうまさんの馬頭は僕がそれを立体化したもの ( 下左 “おうまさんドローイング” by Saga Haruhiko/下右 “おうまさん馬頭琴” by Okamoto Koji)

さて、馬頭琴のネックをぶった切って短くするのは、スカーフィングという斜めに切った斜面どうしを接着すれば事足りる。で、スカーフィングの斜面の傾きは10:1であれば木材の強度を損ねることはない。しかしネックの厚みが3~4cmあるとスカーフィング全体では30~40cmにもなってしまう。

そこで金輪継(かなわつぎ)という木材接合方法で切り離して短くしたネックをつなぐことにした。金輪継でも一番簡単なバージョンだが、中央に込栓(こみせん)というクサビを打ち込んで部材どうしが密着するようにするのは正規バージョンと同じ。

出来上がりはまずまず上手くいった。強度的には全く問題ないし、審美的にも許容できるレベルだと思う。音楽部屋に持ち込んでブリッジの調整したり試しにチューニングしたり、おうまさんの兄弟たちと再会させてやったり、記念撮影もしたし、明日は西へ帰る旅に送り出す。