「日記」カテゴリーアーカイブ

車僧御影堂

先日、ふと思いついて、太秦にある車憎御影堂へ行ってみた。はじめて来る場所なのに、京都市内なのに、なぜかその場所だけ、何十年か前のどこか遠くの田舎であるかのような懐かしい景色。

元の説話も謡曲も知らず、ネットのどこかで引っかかった一枚の御堂の写真が僕をその場所へ引き寄せた。

地図をたよりに路地のように狭い道を下り嵐電の踏切を越えてまもなく、ひょいと畑の向こうに御堂が見えた。冬の陽は早くも傾いていて、おんぼろデジカメにはキビシイ光量。何枚かはブレてしまった。(普段、カメラは持ち歩かない主義だ、とか何とか言ってるくせに、、、)

車僧(深山正虎和尚)とこの地にあった海生寺(海正時とも)についてはこちらが詳しい。

牛馬なしの破れ車を乗り回し、愛宕山の太郎坊天狗を打ち負かす怪僧(快僧?)の物語も面白いが、僕は純粋に御堂そのものに惹かれた。そして、自転車でたどり着いてみれば、果たして御堂は思いの通り小さく、そして不思議な空気を纏って佇んでいた。

ここは現在、太秦海正寺町と呼ばれ、上述の深山和尚開基の海生寺跡だという。表通りには下校する小学生の声が響いているが、御堂の周辺には人影も見えない。小一時間、周囲を歩き眺めていても怪しんで声をかける人はなく、詣でる参る人にも勿論出会わない。御堂の敷居にみかんが2つ無造作に供えてあるだけ。

可愛らしい御堂そのものの由緒、来歴を聞いてみたくなったが、いかんせん、誰もいない。今の建物を見るとそんなに古いものではなさそうだ。しかし、屋根には向拝が、左右の切妻の下には孫庇が張り出しており、また孫庇の下は妻壁よりせり出していて、かつその窓の左右に雨戸袋も付くという、小さい割に凝った造りになっている。背面にも正面の向拝と対称形の屋根の下に、おそらく内部では深山和尚像を安置する壁龕になっていると思しき張り出しがある。こうなると、内部も和尚像も拝観したくなる。9月の第一日曜日に御開帳があるらしい。

白壁に近づくと落書きがあり、そのひとつに「くるまあさんのうらにいくみち」、「こっち→」、「→」というの読める。道も何も、周りは畑なので、どうにでも行ける。それより「くるまあさん」という呼び方が面白い。この落書きをした子供固有の呼び方なのか、それともこのへんの子供たちは車僧をくるまあさんと呼び習わしているのか、、、聞いてみようにも、もう下校の小学生の声も聞こえなくなっていた。

いろいろと想いを巡らしているうちに黄昏が迫ってきていた。また来よう、次は9月かな、と思いつつ海生寺跡を後にした。

 

追記:

そうそう、車僧は「くるまぞう」なのか「くるまそう」と濁らないで読むのか。帰り道、御堂の裏の家からおばさんが出てきたので聞いてみた。「くるまそう」と言う。「くるまそうみどう」とも。急いでいる様子なので「くるまあさん」については聞きそびれた。

Карамазовが訛ってКурумазовになったという話は聞かない。

追記の追記:

2013年に再訪。
海生寺に住持していた深山正虎和尚の遺像の年に一度の御開帳に行った↓
https://www.facebook.com/koji.okamoto/posts/10201307030536880


ベーコンとチョコ?


多伽羅の富永さんご夫妻からご主人の実家のあるニューヨークのおみやげ。『Where the Wild Things Are』(センダク、写真なし)のメモ帳と一緒にいただいたお菓子。不思議に美味!!!!

昔、アメリカの朝食で、ベーコンエッグとパンケーキにメープルシロップをぶっ掛けて食べる人たちを見たとき、ウヘッって思ったことがある。ご丁寧に半熟玉子の黄身をグチャグチャとシロップと混ぜている人もいた。

しかし、色んな国で色んなものを食べているうちに、あれをウヘッって思ったこと自体が変だと思うようになった。(が、今のところ、敢てシロップと玉子とベーコンをパンケーキに乗っけようとは思わないが)

この、Bacon Caramel Toffeeのちょっとダサめ、というか時代を超越したラッピングの裏にも「子供の頃食べた、チョコチップ入りパンケーキと熱々のベーコンにたっぷりのメープルシロップをかけた朝食」がマジックだった、と書いてある。

僕にとって、アメリカという国やその国の人たちとは愛憎半ばする複雑な関係なのだが、普通の日本人なら思いもつかない、というか拒否反応を起こすであろうベーコンとチョコとトフィーの組み合わせを、美味いと感じる自分自身にも複雑な思いがある。


多伽羅さん

うちの茶店からほど近い西陣の大宮通りにあるお店にはパソコンの設定のお手伝いで何度もおじゃましている。

多伽羅さんのホームページが出来たとのことで、早速覗かせて頂いた。織屋建町家のお店と同様、シンプルで上品なサイトです。ちょっとご馳走になった陶筥弁当を思い出しました。

http://takara-kyoto.com

大晦日の夕方、多伽羅さんのご夫妻がおせちを届けて下さいました。ううっ、おっさん一人の所帯には勿体ない(泣。常々食べ物の写真を撮るのは感心しないな、とか言ってるわりに、今日はいそいそ。まあ、お店ぢゃないからいいっしょ。

  



旗(っていうのかなあ、、、)

ダラダラしてるうちに連休も明日まで。
客が少ないので、ますますダラダラと開店時間を遅らせたり、二階で眠りこけたり。。。 呑気なもんです。

だいぶ前に、せっかく来てくれたお客さんに「カンバンも目印もない」と、半ば苦情、半ば呆れ顔で言われたので、目印を作りました。

古くなった日本手ぬぐいを裁って、丸棒に縫いつけただけ。紅茶で染めたらムラムラになり、まるで血染めの布が茶色に乾いたように、、、。ごちゃごちゃ文字を入れたらさほど気にならなくなったので、これでよしとします。何にも無いよりましでしょう?

ちなみに、書いてあるのは「碗子」、「茶」、それにチベット語で「ཇ་ཁང་」(チャカン=茶店)です。

開店時間中は軒先にぶら下げておきます。