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蒸し器 試運転 その1
(コンロ昇降台)

外箱外観

形は出来上がったものの、いろいろ不安がある。

まず、構造上の問題。基本的に継ぎ目はステンレス木ネジで固定してあり、外蓋の枠と板は熱に強く固化後も弾力性のあるシリコーン系接着剤(セメダインのスーパーX)で固め、補助的にズレを防ぐ真鍮釘を打った。そして、外箱の板には反り止めの溝を彫り込んである。はたしてこれらが熱と湿気による板の変形応力に耐えてくれるのか。

木取り完了。。。ふう。。。

もう一つの問題、というか心配は、丈夫さを第一に考えて檜の厚板(t25mm)を使ったことで、板の温度が上がりにくくなる可能性があること。軽い杉や桐などのよりずっと重く、比熱容量が大きい檜の厚板が熱をどんどん吸い込んでしまったら、内部の温度が100℃近くに達するまで恐ろしく時間がかかるんじゃないか。

強度も、温度も計算したわけではなく「だいたい、こんなもんじゃね?知らんけど」というヤマカンでやっつけたものだ。もちろんダンボールで予備的な実験はしているが、ダンボールと桧材では比較にならない。

悩んでいても始まらないので、まずはコンロに水を入れた鍋をかけて実地にやってみるしかない。

ところがここで、別の問題が発覚。蒸し器自体が非常に重いため、コンロと鍋を台の下にセットしてから、その上に蒸し器を組み上げると、途中で鍋を下ろして水の量を確認したり、水を足したりするのが困難になる。鍋は外箱の底にある接続のための円筒に挿し込んであるので、そのままでは横に引き出すことができない。まず、コンロと鍋を数センチ下げて円筒をクリアする必要がある。コンロの下に鍋敷きのような板を敷いておき、それを引き抜いてやれば下げることは可能だけど、ぐらぐら沸騰している熱湯が入った鍋が傾いたり、ガタンと落ちるのはやっぱ危ないし、、、。

ラボジャッキ(Amazonより)

そこでラボジャッキのような昇降台を探したが、天板がコンロを置ける30cm四方あって、最低厚みが数センチで、上下の移動幅もほんの数センチという都合のよいものは売ってなさそげ。危険がなく、無理な力も要らず、コンロとその上の熱湯入り鍋を上下させる「装置」をでっち上げることにした。パンタグラフや歯車、チェーンなどで均一に連動する凝った構造はパス。断面が長方形の2本の棒を底板と天板の間で90°回転させるだけの原始的なジャッキを思いついた。他で見たことがないので「新発明」と言えるかも(笑)。ちなみに、ハンドルが90°を少し行き過ぎて止まってるのは、ジオメトリック・ロックがかかるようにしてあるからで、こうすることで少々の揺れでもパタンとハンドルが倒れることがない。

自家製昇降台の上下の高さの差は約2.5cmで、これだけあれば鍋の縁は接続円筒より下に下り、コンロごと差し入れたり、引っ張り出すことができる。(それでも鍋の最上部が蒸し器の台をクリアできないという、ちょっとおマヌケなアクシデントがあったが、台を削るという荒業で解決)

この後、実際に水を入れた鍋をコンロの火にかけて蒸気を発生させ、温度の上昇具合を計測したが、長くなるので今日はここまで。ふう、、、


毎月1日はお弁当の日

ゆきちゃん(あれ?ゆっこちゃんだったけ、いつからかゆきちゃんに固定してるな、、、)から、お弁当のお知らせが来たので、迷わず注文。

配達ついでに受け渡しということだったけど、余分な僕の一個を持って回させるのは申し訳ないので、自宅近くまで受け取りに行くことに。そういや、前々回もそうしたんだっけ。(前回、鴨の河原で受け取ったとき、自転車での配達に苦労していたけど、ついにUber Eatsみたいなバッグを買ったんだとか。これで高野から四条烏丸まで行くんだって。かなり気合が入ってる)

ともかく、約束の時間に落ち合って、ずっしりと重いお弁当をいただいた。ゆきちゃんが北海道出身ということで、受け取るときにいつも僕は懐かしさのあまり北海道ばなしを繰り広げてしまうんだけど、大学で東京に出てからは北海道に住んでいない彼女にとっては何だか迷惑な話かもしれない。でも、まあ、笑顔で受け流してくれているんで、、、。

昼も遅かったので帰りに鴨川沿いのどこかで車を停めて弁当をごちそうになろうかと思った。しかし暑い。もう夏か?土手を下りて木陰で食べればいいんだけど、駐禁が心配。とかなんとか思ってるうちに、あっと言う間に北大路まで来てしまった。そのまま加茂街道を辿って上賀茂あたりまで行けば良いところもあるにはあるが、もうエアコン無しの車は暑くて、さっさと原谷に戻ればずっと涼しく、緑濃い谷間を見下ろしながら食べる方が良い、という結論になった。

家に着いたら食い気が先走って、景色も何も忘れ、ひたすら貪り食うことに。ふと気がついたら目の前には空っぽの弁当箱。ああ、余裕のない人生を送ってる時分が情けなくなる瞬間だった。

ときたま、こうやって体に良さげなお弁当をいただいたり、友人ちで手作り料理をごちそうになったり、普段のいい加減な食生活を補ってもらえるのは有り難いことだなあ、、、とつくづく。

ベジ弁当。たっぷりの量といろんな種類のおかず。

んまぁ〜!
息つく間もなく完食。

蒸し器の図面

蒸し器の製作を頼まれてからこの一年、断続的に打ち合わせや、構想の練り上げを続けてきたが、ふと気がついたら、外箱、内箱、台、内枠、木取り図、ポリカの切り出し図、等々、、、いっぱい描いてた。その数、使ったものだけで13枚。ボツを入れたらその倍じゃきかないし、それぞれ改訂バージョンを重ねているから、図面引いてる時間の方が、実際の製作時間よりながいんじゃね?

それ以外にも、発注者への説明用の分解図や、ステンレス枠外注用の図面もあるし、、、 何やってんだか、、、


蒸し器 完成間近

頼まれ物の蒸し器、と言っても蒸籠とかじゃない、がようやく形になってきた。

コンロに応じて高さ調整ができる台の製作から始まって、桧材の外箱、ポリカーボネートを折り曲げるベンダーのでっち上げ、そのポリカで内箱作り、生地を吊り下げる針の曲げと内枠への取り付け、、、と、やってもやっても終わらない、まるで倒すたびに強くなって向かってくる怪物と格闘しているような作業の日々だった。ふう。。。

後は、温度計測用の孔を外箱と内箱に穿って、そこから蒸気が漏れないようにする蓋をつければ、いよいよ試運転。あ、動かないから運転とは言わないか。。。明日、とりあえず温度計を突っ込んだ状態で蒸気を充満させてみるが、内部の温度ができるだけ100℃に近づいてくれることを祈るのみ。

この蒸し器はせっかくそれだけ手をかけたんだし、内部が高温・高湿度になる外箱を丈夫で長持ちさせるためには、すぐ割れたり痩せたり腐ったりするようなチャチな木材は使えない。思い切って2.5cm厚の桧材を選んだ。しかも節の無い高級品。恐ろしいほど高価。。。儲けが飛んだどころか、完全に足がでている、、、(;´д`)トホホ…。それはともかく、この2.5cmの厚みが断熱効果を発揮して吉と出るか、はたまたその熱容量が想定外に大きくてなかなか内部の蒸気温度が上がらず凶と出るか、、、こればっかりはやってみないと判らない。楽しみのような怖いような、、、


ポリカーボネートの蒸し器内箱

頼まれて染色の絵付けした生地を蒸して色を固定するための蒸し器を作ってる。先日、その内箱をポリカーボネートで作るのに必要な折り曲げ器(ベンダーという特殊工具)をでっち上げた話を書いた。

材料を手近な有り物で間に合わせたら、長ネジが短すぎて車載用パンタグラフジャッキの一番低いポジションで荷重をかけることになり、かなり無理をさせていることが発覚。また微妙に傾くので長ネジ上部のナットを締め込むことで曲げ角の微調整をした。

とりあえず、思ったように曲がってくれたので、ほぼ図面通りの内箱ができあがった。

一番大きい部品である内箱の胴は4面のパネルを接着せず、分解できるようにビスとナットで留めた。問題は複雑な形の底に部分で、鍋との連結や、結露した水を鍋に返すための水勾配など、めんどくさいことこの上ない。

蓋も水勾配を考えないといけないが、三角形が組み合わさっただけなのでいくらかは簡単になる、と思いきや、耐熱性のある接着剤(セメダインのスーパーX)が扱いにくいこと、扱いにくいこと、、、。アクリルのようにシャバシャバの接着液を隙間にスーッと流し込むようには行かない。両面に塗布してしばらく放置し、粘着性が出てきたらエイヤっとくっつけろと説明書には書いてあり、底はその方式でやったがポリカ板が透明なので接着剤のムラムラや泡々が透けて見えるし、あまり美しくない。底とちがって蓋は目に触れる場所なのでもう少しきれいにしようと、大量に塗布してムラや泡を押し出そうと試みたが、空気に晒すオープンタイムを取らなかったため接着剤の固化までやたら時間がかかり、その間に接着剤が流れ出したりして、結局、泡を消すどころか余計にきたなくなってしまった。

ま、美術品じゃないんで機能すればよし、としよう。。。(でも、やっぱきれいなほうがいいんだけどなあ、、、)