Fiat 500 ヘッドライト「イカリング」化の検討
何年か前に、ハロゲン球でヘッドライトの照度が足りず車検に落ちたことがある。そんでLED化したんだけれど、車検には通ったものの、なんだか白っぽい色目の光が気に食わず、安い電球色LEDに換えた。どうもLEDは家電でもクルマでも電球色と言われるものは白色系のものより明るさに劣るようだ。知り合いの自動車工場の社長がサービスで照度を測ってくれて、ユーザー車検で通るかどうか、、、と言う。これじゃハロゲンと同じじゃん。で、またしばらく白色系のLEDに戻していた。車検に通ったLEDヘッドランプだから機能的には問題ない。ただ色がチンクの雰囲気にそぐわなないのだ。
安物のLEDランプを取っ替え引っ替えしていても埒が明かん。そこで、ここは一つ、大枚張り込んで今までのより数倍の値段の高いやつを買った。別に宣伝するつもりじゃないけど、fcl.という特にLEDやHDIなどのクルマのライトに特化した会社の「ハロゲン色」タイプ。これは装着した途端に明らかに今までのとは明るさが違うのが判った。安物電球色LEDは言うに及ばず、白色系の安ものよりもまだずっと明るい。
で、今は自分の趣味的にも、法的にも、安全上も、ヘッドライトに何の問題もないんだけど、ひとつだけ気に入らないことが残っている。これは、安物、上等に関わらず、LEDヘッドライトとFiat 500のヘッドライトの反射鏡との相性がうまくなくて、ロービームもカットオフの折れ曲がり部分に暗点が発生するのだ。壁に光を当てて光軸の調整とかする分には、ちょっとした切り欠きのような暗い部分でしかないのに、いざ路面を照らしたら両方のライトの照射面が重なる部分が影のように薄暗い。全く照らしていないわけではなく、輝度の高い光軸の中心と比して相対的に暗く見えてしまうのだが、クルマの真正面にそういう影みたいな暗いところがあるのは気持ちのいいものではない。なんとかしなくっちゃ。
結論から言うと、あれこれ試行錯誤の結果、LEDのランプをほんの僅か後退させてやると、この暗点が少しぼやけて小さくなることが判った。Fiat 500のヘッドライトは古い欧州車にあったH4eという口金で、一般的なH4がそのままでは付かないのでアダプターをかましてある。そこで、そのアダプタとH4の口金の間にワッシャー状のスペーサーを針金で作って挟み込み、ライトの位置を1mmほど後ろへ下げた。これで問題は解決した。
そこに至るまでレンズ径130mmという4輪用としては異例に小さなヘッドライトを、新品・中古、国内外を問わず探しまくってもなかなか良いものに出会わなかった。たまにヒットしたと思ったらそれは旧Fiat 500用だったりして。。。偶然、最近LED化したうちのXL250Sのヘッドライトが130mmだった。そしてそれはカスタマイズパーツが豊富なモンキーと同じサイズ。なので、入手しやすいバイク用のヘッドライトの反射鏡部分やレンズを流用することを考えた。問題は、車用のヘッドライトにあるすれ違い用ロービームのカットオフラインが、小さなバイクのヘッドライトには無いこと。
ところが、、、バイクの話だけど、XL250Sの兄弟車で車検のあるXL500Sのライトは250と同じものなので、カットオフラインを出すためのレンズは付いていない。そんなんでいいの?と思って調べてみたら、なんと!国交省運輸局の資料に「カットオフを有しない」前照灯(ヘッドライト)という検査基準が示されている。詳細は省くが、カットオフラインについての基準が細々あるのに対し、カットオフが無いものは最高光度点が照明中心の左下にあればいい、という相当に適当なもの。そんでよく考えてみたら、車検時のヘッドライト検査をロービームでやるかハイビームでやるか以前に、そもそもカットオフラインの無い旧車は車検のとき、ライトチェックは走行状態(ハイビーム)で行われるから、カットオフラインもへったくれもないのだ。(ロービームは、対向車とのすれ違いで、相手に眩しさを与えないためのものだから、道路の左側の歩行者や自転車をどう照らすか、つまりカットオフで高い位置まで照らすか、足元だけでいいのか、はどうでもいい、ということになる)
そんなら、上記のように130mmのバイク用ヘッドライトを改造してくっつけても問題ないわけで、となるとマルチリフレクターなども選択肢に入ってくる。そういうのを検討する中でイカリング状の輪っかが付いたものが面白そうだった。周囲のリングだけじゃなく、中心部分に横一文字の線が光る。ちょうどカエルやヤギなどの地面に平行な横長の瞳孔のようにも見える。
とまあ、長々書いたけど、LEDランプとヘッドライトの相性の悪さはすでに解決したので、Fiat 500のヘッドライト イカリング化計画はGIFアニメでの検討段階で潰えた、とさ。
蒸し器 製作開始
人に頼まれて、染色に使う蒸し器を作ることになった。
ステンレスや銅製の円筒形の既製品はあるけど、生地を巻いた状態で蒸すのでいろいろ問題があるようだ。そこで、プロ(蒸しの専門工場)でやってるように生地を針が付いた木枠に引っ掛けて吊り下げるようなものにすることにした。
5メートルくらいのものが吊れるようにするには、あれこれ考えたら1辺が60cmくらいの立方体になる。これはかなりデカい。本番は木製だからそれなりに重い。檜の厚板を使う予定だけど檜は比重が大きいからさらに重い。ダンボール箱を使った実験とは違って、そんなものをガスコンロにかけた鍋の上にポンと置くわけにはいかない。
そんで小型のやぐら炬燵みたいな台を作ることに。しかも、鍋やコンロが変わったときのことを考えて高さ調節ができるもの。
イケアで高さ調整可能なテーブル用の脚が売ってたので、カットして使う。(いつも、しょーもない、というかバカくさい頼み事を聞いてもらっている昆布金物店にお願いした。超凄腕の職人さんに申し訳ないような雑用させてる、、、m(_ _)m)
XL250Sのデカールでっち上げ
9年前、XL250Sの中古をネットで見つけ、愛知の江南まで都市間バスと名鉄を乗り継いて買いに行った。実際に見てみたらレストアのベースとしては上等で、エンジンは異音なく回るし、何より僕の好きな初期型であった。初期型とは、プラスチック弁当箱みたいなメーターと「レインボー」と呼ばれるタンクのデカール、そして少しレンガっぽい赤いカラーリング(後期方はもっと深い赤、意匠もシンプルなものに変わった)で、40数年前に乗っていたものと同じ。もちろん車体各所に錆が出ているのは仕方ない。ただ、タンクに大きな凹みと傷、錆があるのは、やはり忍びない。
色々苦労して愛知から京都まで乗って帰ったことは、またの機会に書くとして、タンクのレストアのことを少し紹介してみようと思う。(あ、これ、9年前の話ですからね。お間違えなく)
そんで、タンクの内部には錆が少なく、そのまま乗っても機能的に問題はなかった。僕の場合、レストアと言ってもまるっきり新品のようにするのが目的ではなく、楽しく乗れればそれでよし、なんだけど、上記のようにベコンと凹んでるタンクのままでは流石にXLが可哀想。デカールも、写真では一見良さげに見えるが、実際は退色がひどくて、光に弱い赤や山吹色はかなり悲惨。タンクと同色であるはずのHONDAのロゴの上あたりははっきり色が違う。(黄線と黒線の間の色はタンクの地色)
凹みの修正は、長いバールを給油口から突っ込んでコジたら少し凹みマシになったが、気休め程度で、後はパテで埋めるしかなかった。その上から塗装すれば広範囲にフェザリングすることになり、必然的にデカールは剥がすことに。タンクデカールはもう部品としては出てこないだろう。海外では複製品が幾つかマーケットに出ていたが、結構な値段に見合う品質がどうか、、、。当時カネの無かった(今もだけど)僕は、自作することにした。
せっかく作るのだから、安物のカッティングシート(そう、あの細いラインやロゴなどを手切りするのだ!)だと、あっという間に劣化してヒビだらけのボロボロになる。細かいことはもうはっきり憶えていないけど、3Mの「スコッチカル」という屋外での耐候性に優れたフィルムを結構な価格で買った(カネないっつうのに!W)。スコッチカルは屋外で5年もつというから、ガレージにしまっておけば一生大丈夫じゃね?と。実際、9年経っても全くなんともない。
さて、デカール現物はタンクの表面上にあるのだけど、平面ではないので簡単にトレースできない。できるだけ平らな部分ごとに別けてトレースしたが、平面上につなぎ合わせると、それが正解なのかが判らない。実際に貼り付けるときには、ドライヤーで炙りながら少しずつ引き伸ばしてタンクの曲面になじませる必要があるが、大きくずれていたら融通が利かず、シワになったり切れたりするかもしれない。ともかく、古びたデカールを引っぺがす前に、できるだけ採寸しておいた。
ネット上に既製品のデカールの平面図もあるにはあったが、かなりいい加減でうっかり下敷きにしたらおかしなことになりそうだった。結局、自分で採寸し、トレースしたデータを元に、意匠の線引きとロゴのレタリングを1から全部やる羽目に。ていうか、始めからそのつもりだったんだけど。さんざんイラレの試作を紙にプリントアウトしては、タンクに押し当てて、できるだけ歪みの少ない形に落ち着いた。
xl250StANK-lOGO2-2 TankDecalR赤(ホンダはタヒチアン・レッドと称していた)の上に白や濃紺(ホントは黒なんだけど、ちょっとだけオリジナル感を出してみた。誰も気づかないけどW)や山吹色などを重ね、最大で4重にもなる場所もあった。最初のレイヤーをタンクの曲面に沿わせて貼ってから上のレイヤーを貼り重ねては合わなくなるので、全部を平面上で貼り重ねておく。これがまた面倒なことを引き起こす。つまり、レイヤーの数が少ないほど伸びやすく、素直にタンクの曲面に合ってくれないのだ。
デカールやシールを貼る常識として、薄めた台所用洗剤をタンクの表面にスプレー缶しておき、デカールの糊がすぐにタンクにくっつかないようにして位置決めをするのだが、反りの合わない平面と曲面をドライヤーで炙ると、せっかくスプレーした水気が飛んでしまい、付いてほしくない部分が予想外の場所にくっついてしまった。とは言っても、試行錯誤の後になんとか思っていた通りに貼り付けを完了できた。
後先になったが、タンクの色(タヒチアン・レッド)は次のXL250Rでは継承されず、もっと深い赤になったが、エンデューロレーサーのXRやモトクロッサーのCRシリーズではその後も引き継がれていた。とはいうものの9年前の時点ではディスコン状態で、タヒチアン・レッドのスプレーペイントがオートバックスへ行けばある、というものじゃなかった(今はTahitian Red R-23などで検索すると出てくるけど)。当時、XL250S初期型のタンクを塗りたけりゃ近似色を探すか自分調合するしかなかったのだが、近似色は曲者で、スプレー缶の見本色は印刷だから実際に塗って、乾かしてみるまで本当に合ってるかどうか判らないのだ。ところが、あれこれ思案しているうちに、アメリカ在住の日本人の方が、自分用に調合してスプレー缶にしたものが余っているので譲ってもいいと言ってくださった。ラッキー!(でも、どういう経緯で行き当たったのか思い出せない)。普通のアクリルラッカーだったので、ガソリンに侵されないよう、2液ウレタンスプレーのクリアをたっぷり吹いておいた。
タンクだけでなく、初期型の小振りなサイドカバーも再塗装し、当然デカールも同様に作り直したが、流石に注意書きの文字までは再現できなかった。
こまめにエンジンオイル交換をやってるから機械的には全く健全。でも何だかんだ言いつつ、9年乗る間にメーターを一度取り替えてるし、先日はリアサスを交換し、ヘッドライトをLED化したし、、、最初にうんと手を入れた後も、ゴニョゴニョといじり続けている。またフレームにうっすらと錆が浮いてきて、やはり少しヤレて見える。でも、タンクのデカールは若干のひび割れ(貼る時に入った空気を抜くためにカッターの刃を当てた場所)以外、褪色も剥がれも見られない。3Mの「屋外で5年持つ」という能書きに偽りはなかったようだ。高いだけのことはあったな。
XL250SのヘッドライトLED化とオーディオパイロット移設
1970年代に乗っていたころから、XL250Sのヘッドライトは暗く、その上、ハイ/ローの切り替えで一瞬暗くなるので、あまり気持ちの良いものではなかった。それは現在の車体でも同じで、ランプをハロゲンにしてもあまり変化はなかった。
で、明るくて反応のよいLED化をしたかったのだけれど、XL250SのヘッドランプはPH8という口金で、且つ昔のオフ車によくあった交流、しかも6Vという、今ではなかなか無いもの。他のランプ類はメーター照明に至るまでLED化が済んでいて省エネもいいところ。お陰でバッテリーは9年持った。それはともかく、ヘッドライトをなんとかしなければ。
ということでPH8の口金を諦め、自動車でも一般的なH4のタイプで探してみた。交流6Vに対応したものがいくつか見つかった。そしてライトの反射鏡がそれに対応し且つXL250Sの小さな径のライトハウジングに収まるものを探す。なんと旧モンキーのヘッドライトはミラーだけでなく、リングまで共通のようだと判った。モンキーはカスタマイズする人がある程度いてアフターパーツのマーケットはXL250Sとは比べ物にならないほど豊富。やろうと思えばマルチリフレクターにもできるほどだ。(ちなみに、ロービームのカットオフラインを無視すれば、Fiat 500の小さなヘッドライトとも同じ径であることが判った!)
結局、モンキー用とは謳われてないが、明らかにそれを狙ったと思われるちゃっちいプラスチックケースの付いたH4用のライトアッシーを購入。ハウジング部は要らないので、ミラーだけ取り出してXLに移植した。(メッキリングはピカピカできれいだったけれど、どうもすぐに錆びるという評価が購入したAmazonに出ていたので、メッキングでコーティングしたものの予備に回すことにした)
LEDランプは、やはり電球色(ハロゲン色)でないと雰囲気でないしねえ。。。というわけで、こういうの買った。通販で買って、届いてから気づいたんだけど、これPH8にもできる。(笑)
元々、XL250Sのライトハウジングは小さくて、中は配線とコネクタでぎっしり詰まっている。そこへ他のランプ類をLED化した時にウインカーリレーも電子化したために「カチカチ」音を出すためのオーディオパイロット(初めて聞いたときは音声ナビか何かだと思ったW)もねじ込んであったが、LEDヘッドランプには空冷ファンが付いていて、もう絶対入らない。仕方なくオーディオパイロットに出ていってもらうことになった。
シンプルなオフロードバイクの、それも今どき当たり前のライトカウルなんぞも無いスパルタンなXL250Sは、むき出しの部品をライトステー当たりにタイラップか何かでぶら下げるしかない。防水も考えないと、、、。で、ふと辺りを見たら錆止め剤のスプレーのアルミ空き缶が目に入った。オーディオパイロットよりほんの少し大きい径で、これで防水ケースが作れる、と直感。底から数センチのところで切断してオーディオパイロットを突っ込んで縁をカシメ、黒く塗ったら出来上がり。ライトステーとライトの隙間にちょうど収まった。
オーディオパイロットがライトハウジングの外に出たことで、カチカチ音が聞きやすくなったというオマケ効果までついてきて、めでたしめでたし。
あ、そんで、LEDヘッドライトは、思ったほどは明るくならなかったが、ハイ/ローの切り替えは、LED特有のキリッとした切り替わり方で、まあまあ良しと。