『のんびり』と古本

先日、秋田県のフリーマガジン『のんびり』を頼んでおいたレティシア書房へ取りに行った。今号は角館/田沢湖の劇団わらび座特集でたのしく読んでいる。(次に秋田に行く時には是非観劇に訪れたいな)

ついでに(といっては本屋さんに失礼か、、、)久しぶりにゆっくり古書店の書架を眺め回して、気に入った文庫版の古本を二冊選んだ。小さなレティシア書房だけど、どの棚にも僕の欲しい本がキラキラしてる。

高校の後輩の奥さんとは何度か話したことがあるけど、今回初めて店主と言葉を交わした。ちょうど客の切れ目だったこともあり、15分くらい話し込んでしまったが、彼は『のんびり』を褒めちぎっていた。2015-12-29 01.26.04


柘榴

東京へ帰った友人が置いていったザクロ。ていうか、彼の居たふた月弱のあいだ、ずっと食卓の上に転がっていた。だから干からびている。

食堂と台所の片付けが嫌になって現実逃避とばかりに、ふと思いついて切ってみたら、、、外側は色を失うほどしらっちゃけ、乾いてかっちかちに固まっているのに、中身は瑞々しいルビー色。頭のなかにパラジャーノフの映画が蘇る。2015-12-28 16.23.36 2015-12-29 00.00.452015-12-29 00.12.57


台所の掃除、片付け始めたら収拾がつかなくなった

捨てようとした使わない調味料のビンに母の字を見つけたら、断捨離もへったくれもなくなってしまう。この台所に母が立ったことはないけれど、引き継いだものが多すぎる。

僕の趣味ではない薬味入れの手提げ盆も処分しようと思いうっかり裏返すと、、、
「昭和五十年四月 下呂温泉にて」
こういうのを見てしまうと、もう「はあぁ~」とため息ついて時間が止まってしまう。

下呂へ行ったときのことははっきりと憶えている。母は豪気なひとだったから、社員の慰安旅行なのにアルバイトどころか、ちょくちょく店に遊びに来ていた隣の会社の若い子まで連れて行ったなあ。。。

あのときは車何台か連ねて分乗して行ったっけ。僕の車は幌付きのジープで名神高速ではディーゼルの騒音も相まってうるさくて閉口した。母の車は赤いフィアット850スポーツというちっこクーペ。ほんとはポルシェ911かフェアレディ204Z-Gが欲しかったんだそうな(ガレージが狭くて入らないという、ホントかウソかわからない理由で諦めたとか、、、)。

母は5速のマニュアル・トランスミッションでないと乗る気がしないと豪語する運転好きだった。70代後半から80代に最後に乗ったのはオートマのフィットだったけど、やっぱり赤かったなあ。

僕がちゃんと会社を引き継いで赤いポルシェに乗せてあげれたらよかったんだけど。。。(プレイバックPart2より数年早くにねw)

とかなんとか、あちこち引っかき混ぜる度に出現する母親の影に触発されてよみがえる記憶。その海を漂いながら台所とまるで関係のない想い出にふけっていたら、全く片付く気配すらない。

台所は危険な場所だ。

2015-12-28 18.57.242015-12-28 18.36.47 2015-12-28 18.49.31

で、やっとのことで数時間後↓

2015-12-28 23.49.19写真ではわからないけど、妄想の合間に棚を組み直したりもして大変だった。。。