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朝からコンセントの争奪戦が激しい。目を離すと次の人がかってにアダプターを抜いて自分のを刺していく。ていうか、次もクソもない。電気が欲しいと思った時がその時。ルールとか無さそう。僕のアダプターはUSBがふた口あるので、他の人とシェアしてあげるが、御構い無しに抜かれてる。隣のおじさん親娘もどっかのおばさんと口論。
そういうことができない言葉のハンデがある僕は、夜中にコッソリと大容量のモバイルバッテリーに溜めておく。問題はiPhoneのバッテリーが寿命らしく、減り方がやたら早いこと。写真を撮り、アップするのにはついついiPhoneを使うので、困ったなあ。。。
ブリヤート共和国のウランウデに近づいている。景色は朝からあまり変わらず、野の花の咲く広く開けた草地や混合樹林のなだらかな丘が続く。たまに木造の古い家の集落を通過する。オモチャみたいな小さいロシア正教の教会とかも建ってるが、モンゴル/ブリヤート語で「タルバガンがいる(場所)」という名の駅があったりして、もうこの辺はブリヤートの世界なんだ。
ちなみに、タルバガンとはウサギほどの大きさの中型げっ歯類で、地面に穴を掘って住んでいる。見張りのために立ち上がっている姿はロッキーチャックとかを思い浮かべると、そう遠くはない。素の肉の味は絶品だけど、めちゃくちゃ硬く、噛んでるとアゴが疲れる。
ツェレンくんによるとモンゴル人はタルバガンをたべるが、ブリヤート人は食べないとのこと。そのくせ、彼はタルバガンの肉が大好きだって。タルバガンの首を切り落とし、内臓を取り出して代わりに焼石を詰め、表面を火で炙って毛を焼き落とす、結構残忍なビジュアルの料理の写真を見せてくれる。僕もモンゴルで食べたことがあるが、見た目はアレだけど、めちゃめちゃ美味しい。
アクバルくんが桜の花はどんなのだ?とか、四十七士の話がすきだ、とか言う。それで僕は桜の散り方と侍の死にざまについて説明をする。話は切腹の作法から三島にまで広がるが、はたしてNaruto好きの彼は討ち入りの日の雪の情景と桜吹雪の類似というか、映像的アレゴリーのことを解ってくれたかな。お返しに(笑)キルギスの英雄叙事詩、マナスについて知っているよ、って言う。キルギスの首都ビシケクでやたら分厚い上下二巻の英語版マナス(それでも簡略版!)を買って、今も持っている。(全部読めてないのだけど。。。 ^^;
気がつくと、ウラジオストク以来ずっと、アクバル、ツェレン、僕の3人で、結構な時間話している。これまでのところ全然退屈していない。でも、ツェレンくんとはもうすぐお別れ。
ツェレンくんと電話番号を交換しているうちにウランウデ着。奥さんと女の子が待っている。なんかうわの空な感じ。でも、アクバルくんや他の人にきっちり挨拶して回っている。バヤルタイ。ザァ、バエラルラー!
ドイツ人のパウルとヤコプもウランウデからモンゴルへ抜けるので下りている。モスクワまで行くニコを通して連絡を取ろうということになる。こちらもグッバイパウルが聞きたがっていたチベットの旅話はまたいつか。
ウランウデを出ると土地が平らかになり、大きい川がゆったりながれている。それにしても水量多すぎ?溢れそう。湿地も所々。これまでと明らかに地形が変わる。ここからは昔通った道。
日没前にバイカル湖畔に至る。はじめ、樹々の向こうに薄紫にかすむ山が見えてくる。バイカル湖の対岸の山。で、19時突然林が開けて湖面が見える。
湖面が見えてからかれこれ1時間、緯度が高いので陽がなかなか沈まない。やっと陽が沈んだ後も、湖水の向こうの空はいつまでも赤く焼けている。夕凪なのか湖面にはさざ波しかなく、岸辺に打ち寄せるふうもない。
20年もこの景色を見ているのだけど、あのときはあっけらかんの真昼間だった。今回の方が遥かに趣がある。それで、最初は慌てて写真やビデオを撮ったが、陽が落ち切ってもうずいぶん経つのに、、、まだ黄昏が続いている。がめつく何枚も写真を写してしまった。後で整理が大変になるなあ。。。1時間半でやっと暗くなり始める。と、車内の灯りも少し暗くなり、同時に周りでメシの用意が始まる。20時54分、バイカル湖最後の写真を撮った。
僕も晩メシの準備をしよう。
と思ったら、韓国人の張くんもイルクーツクでさよならだった。陸軍を除隊してまだ2ヶ月。旅から帰ったら職探しだそうな。ツェレンよりも大きい巨漢のくせに、同じ車両に乗ってる北朝鮮の二人が怖いと言う。それでも、今朝はなんとか挨拶と握手をしたって。すごいな、このモスクワ行き099番列車。
イルクーツク着は真夜中なのに張くん、宿の予約どころか情報も持ってないという。僕の持っているガイドブックからイルクーツクのページをき切り取ってあげる。とりあえずドミトリーのある宿の電話番号とURLはのってるし、住所はキリル文字でなのでロシア人に見せれば何とかなる。地図で場所も確認したので行けるっしょ。グッドラック!
イルクーツクまでもうすぐ。列車はバイカル湖から離れて真っ暗闇の中を進んでいる。