「終わらない人 宮崎駿」

NHKスペシャルがおもしろかった。

http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/46/2586742/

ある場面で、ドワンゴ会長の川上量生がAIで人間の身体を動かすCGアニメを宮﨑駿に見せにやってきて、得意気に「人間に想像できない気持ち悪い動きができる」と言っていた。それに対して宮崎はハイタッチするにも非常な苦労をする障害を持つ友人の話をして「極めて不愉快」、「生命に対する侮辱」と切り捨てていた。

番組の中で宮崎は短編アニメに初めてCGを導入し、自分の土俵じゃない、自分の道具じゃないコンピューターと、それを操る若いCGクリエイター(技術は一流かも知れないが、「生き物」を見たことないんじゃないかと思われる)との葛藤の中で、制作が思い通りに行かないまま悶々としている姿が映し出されていた。そこへ、かなり唐突にこのシーンが割り込んでくる。

ジブリに迎え入れた、いわば内輪のCGクリエイターたちですらも、宮崎が望む「命と心を持つものの動き」を理解できず、ありきたりな動作を主人公の毛虫に与えてしまい、「こんなもの出すくらいならやめたほうがいい」とまで言われている。

そこへドワンゴのチームが件のサンプルCGを持って来て、「ゾンビゲームに応用できる」なんてドヤ顔で言っちゃった。宮崎の反応は厳しく川上らはほぼ凍りついていた。「あくまで実験で、、、」という言い訳もシドロモドロ。「どこへたどり着きたい?」と訊かれて「人間とおなじように絵を描く機械」っていう答えも、テレビ見てるこっちまで、ヲイヲイお前らいったい誰に話してんだ?って言いそうになっちゃうほどお間抜けでワロタ。(その辺りはこちらまとめに詳しい。動画あり)

が、ふと思ったのは、確かに劇的な対比でドキュメント番組的には大変効果的で面白いのだけど、はて、この結果は始めから見えてただろうに、誰がこのプレゼンを仕込んだのだろうか、、、。NHKなのか同席していたジブリの鈴木敏夫なのか、判らないけど、、、穿った目で見たらかなりアコギな話の持っていきかただとも思う。

だとするとドワンゴも災難だったね。まあ、無理矢理に引きずり出されたんじゃなく、自分からノコノコ出ていったんだろうけど、、、。それに、状況の先読みもできない、一喝されて即対応もできないんじゃ、おバカの誹りは免れないし。ただ、あの醜態を晒しながらよくオンエアをOKしたな、、、それだけは褒めよう。

(追記:今調べてみたら、ドワンゴの川上はスタジオ・ジブリにも在籍していると初めて知った。徳間書店つながりらしいが、、、やっぱ、かなり仕込みかたがクサイ。。。NHK得意のヤラセドキュメントか?とまで思っちゃうな。。。)

再放送もあるようなので、、、
11月16日(水) 午前0時10分(50分)

http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/46/2586742/


「「終わらない人 宮崎駿」」への2件のフィードバック

  1. この番組、私も興味深く観ておりました。
    件の、キモチわるい動きの映像のシーン、見せたほうは宮崎氏を知らないワケではないだろうに、あえてこの映像を見せたのはなんで?、宮崎氏の反応を予測できないのかな、など考えてしまった。人が驚くような映像、刺激の強い映像、とにかくもっと強い刺激を求める昨今の衝撃映像ブームの一端なのか。宮崎氏がそれを求めるはずもなく。。やっぱりなんかクサイものを感じます。
    レポーターが宮崎氏に「CGに初挑戦」って言葉を使った時も激しく反応されてましたよね。なんか、わかるなぁ、気持ち、って思ったよ。
    「終わらない人」というタイトルも氏が見れば嫌悪しそうだ。自分の作品を完成後に絶対に観ないらしい彼がこの番組を観ることはないだろうけど。

    1. なおおみちゃん、コメありがと。

      宮﨑駿は、純粋無垢な絵描きのおじさん、ってわけじゃないし、ふた癖も三癖もある手練手管の人ですから、清濁併せ呑むという意味で、僕は嫌いではありません。か、濁の方を見ると僕の理解を越えている部分があり、へ?と思うこともままあるのですが、、、例えば、戦争に関するアニメ「風立ちぬ」で三菱という戦争で太ってきた(今も兵器産業として儲けてる)会社を無批判に描いていたり、右まる出しの日テレや徳間書店との深い関係をどう受け止めていいのやら、、、ま、だから清濁なんですがね。

      それはともかく、あのキモいアニメを見せに来たのはドワンゴの川上量生という人ですが、彼は個人的にジブリの一員でもあるそうなんです。だから、少なくとも宮﨑駿は川上のひととなりや何をやっているかの見当くらいはついていたはず。もちろん、あの場面はヤラセではないでしょうが、NHKか鈴木プロデューサーのセットアップだと思います。宮崎もわかっていてそれに乗っかり、予定通りのことを言った、と僕は感じています。

      新しい手法としてのCGに苦しむ宮崎⇒なんとか新境地を開く、というだけではドキュメンタリーとしては淡々としていて、つまらないので、無理にでもあれを突っ込んだんじゃないかな。

      はじめは、そのことに気づかず、ドワンゴがよくまあシャアシャアと出てきて見せたものだ、と思い、また、よくあの「叱られる」場面を曲がりなりにも会長の川上量生がオンエアをOKしたな、とも感心してたんですが、直ぐに、コメントにも書いたように、やっぱ何か変、と気づいたんです。ワガママな宮﨑駿はああ見えてきっとサービス精神たっぷりなんじゃないかな。NHKの望むように演じてやっていると、、、、

      だからと言って宮﨑駿を嫌いになったわけではありませんが。。。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

画像を添付 (JPEG only)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください