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FIAT 500 ブレーキ・マスターシリンダー液漏れ修理

症状:

6月に、ブレーキフルードが減るので、その原因が不良(不適切)素材のホースにあると投稿を書いた。そして実際、使われていた「燃料用ホース」からは汗をかいたように液がにじみ出ていたから、それ「も」液が減る原因の一つには違いなかった。

しかし、ホースを取り替えた後もフルードは減り続けていたので、わずか4ヶ月でリザーバータンクにトップアップする必要になった。もちろんリザーバーの新しいホースは何ともない。となれば、どこかから漏れているに違いない。これだけ漏れていれば車体の下に滴っているはずだが地面にその痕跡は無く、ボンネット内部のマスターシリンダーから床下まわりのブレーキホース、4つのホイールにも滲みすら見られない。

昨年、スレーブシリンダーは全て交換したのでブレーキまわりは大丈夫(のはず)。しかし、ブレーキラインとマスターシリンダーまでは手を入れていなかった。マスターシリンダーがヘタると、たとえ走行中に通常のブレーキ操作をして制動力に問題がなくても、停車中にブレーキペダルを踏み続けるとじんわり沈み込んで床に着いてしまう現象が起きるが、そのようなことも全く無かった。そんなヘタリはシリンダー内部のことで、外部への漏れには直接関係がないはず。

では、リザーバータンク1杯分のブレーキフルードはどこへ行ってしまったのだ?

原因:

手っ取り早く言うと、マスターシリンダからの漏れだった。

汚い!こんな汚れに何ヶ月も気づかなかったのは失態だった。

ブレーキペダルからの押しを伝えるプッシュロッドのラバーブーツが劣化し、そこからブレーキフルードが運転席側に流れ出ていた。しかし、バルクヘッドを流れ下った液はすぐにフロアマットの下に潜り込んでいたため外部からは判らず。ブレーキフルードは塗料を侵すのでよく見ると床の塗膜が凸凹している。慌ててマットを剥がすと液でベトベトになってしまっていた。

処置、修理1:

塗膜保護は急を要するので、とりあえず床を水洗いをして液を除去。さらに、浮き上がってしまった塗膜をマイナスドライバーの先やワイヤブラシで剥離した。

もともと水が溜まりやすい場所だ。悲しいかな漏れた液が流れ、溜まった部分はサビも発生してひどい状態だった。ある程度のサビはワイヤブラシでこそげ取ったが、途中で諦めて錆転換剤で対処することにした。駐車場所が若干運転席側が下がるように傾斜しているので、床面全体に液が広がらなかったのだけが不幸中の幸い。

サビ転換剤でごまかす。。。錆転換剤が硬化した後は錆止めの下塗りとラッカーで塗装しておいた。もちろんマット類もよく水洗いしてある。

浮いた塗膜除去とサビ処理の後、塗装。

処置、修理2:

床とは別に、液漏れを起こしているマスターシリンダーの交換作業も当然行った。

まず、現状ではFIAT 126用のマスターシリンダーが取り付けられているので、これを外す。が、本来の正規部品より倍ほど長く、これを収めるためにバッテリー近辺の壁面に孔を穿ち、そこからシリンダーの頭が飛び出すようにしてあるので簡単には外れてくれない。ペダルを外せばよいのかもしれないが面倒な作業をこれ以上増やしたくない。そこで孔をペンチでコジて少し広げ、シリンダーがプッシュロッドの分だけ前方に移動出来るようにした。それでもブレーキラインの取り回しが不自然だったりフィッティングの取り付け位置が壁面と干渉したりしして外すだけで数時間を要した。(シリンダーの取り付けボルトはわずか2本なのに!)

126用のマスターシリンダーが使われた理由は知る由もないが、おそらく前輪と後輪を別系統で制動するタンデムシリンダーにすることで安全性を向上するためだったと思われる。交換するにあたって126用の安全性を取るか、オリジナルに戻して後々のメンテナンスの容易さを取るか少し悩んだが、点検や整備をし易いし、いつかまた交換が必要になっても作業が楽なオリジナルのマスターシリンダーに戻すことにした。

うちのチンクはマスターシリンダー以外に、ブレーキラインもオリジナルの銅管や鉄チューブではなくメッシュのフレキシブルホースに替えられている。しかも、ブレーキホース先端のフィッティングが126用のタンデムシリンダーに合わせるためにL型になっていたりバンジョーボルトだったりと、いろいろ面倒なことがされている。このままでは自分としてはあまり面白くないのだが、改めてブレーキラインの引き直しとなると、またまた作業日数がかさむことになる。今までのところ、このラインで問題なかったので、とりあえず現行のものを引き継ぐことにした。(早晩交換しなくちゃ)

126用のマスターシリンダーに送られるリザーバータンクからのホースは先端が前輪用、後輪用に二股になっていたので、これを分岐から先を取り去ってシンプルにした。

部品交換の結果、ラインとフィッティング以外はオリジナルに戻り、液漏れもなく、機能ももちろん問題なく、メデタシメデタシ。

ちゃんちゃん!

P.S. ブレーキランプは、オリジナルではマスターシリンダーの先端に取り付けた油圧スイッチで点灯させるが、126用のマスターシリンダーにはこれが無く、ペダル側に機械的なスイッチが付く。ところが、チンク先達のKitaさんによると、油圧スイッチに不具合が出て交換する際にブレーキラインのエア抜きが必要になり面倒だとのこと。

せっかくマスターシリンダーをオリジナルに戻したので勢いで油圧スイッチも取り付けたのだが、ペダル側スイッチも現状で問題なく機能しているのだから、これも残しておくことにし、後日油圧スイッチへの配線をパラレルで延長することにした(が、未実施)。延長配線ができたら、ブレーキランプスイッチの二重化となり、どっちが壊れてもランプは点灯する。(ブレーキラインの二重化をやめた尻拭きには全くならないのだが、、、)


ブレーキフルードリザーバータンクのホース(汗) FIAT500 ATWIKIより

以下は、FIAT 500 Online Manualに投稿した自分の記事「ブレーキフルードリザーブタンクのホース(汗)」を転載したものです。このオンラインマニュアルは旧車チンクエチェントのオーナーにとって貴重な情報が満載のサイトで、興味のある方は是非そちらも参照してください。

注)Online Manualの表題では「リザーブタンク」となっているがこれは誤入力で、正確には「リザーバータンク (reservoir tank)」。(訂正したいが表題はATWIKIの編集できないようなので、、、)
もっと原語(英語/仏語)に忠実なreservoirのカナ表記は「レザヴワ」だが日本では誰もそう発音しない。
リザーバータンク(reserverは「予約者」のニュアンスが強い)と言っても海外では通じにくいと思う。まだリザーブタンク(reserveは「保留, 保存, 予備」という意味の名詞)の方が意味を汲んでもらえる。どうでもいいけど。

問題発生

微妙にブレーキフルードが減る。最近は少しずつその減り方が酷くなりつつあった。ふと見るとリザーバータンクからマスターシリンダーに繋がっているホースが汗をかいている。結露じゃなくブレーキフルードが滲み出しているのだった。

前オーナーから引き継いで10年。足回り、ワイヤリングハーネス、エンジン、トランスミッション、、、、もちろんブレーキ系統も、およそ車体の9割に自分で手を入れてきたが、このホースは見逃していた。ていうか見た目はすっごくきれいだったんで、ま、いっかと。しかし今回、この問題が出てよく見たらホースは「燃料用」のものが流用されていた。

この間に交換したのは何の変哲もないDOT3、DOT4のフルード(攻撃性の高いシリコン系DOT5ではない)なのだが、これまで大丈夫だったのに、何故この1年で急にこんなことになったのかは判らない。しかしホースが如何に「耐油」、「耐ガソリン」であっても「耐ブレーキフルード」とは限らないし、現実に滲み出しているのだから交換するしかない。
この2月にホイールシリンダーを交換したばかりだし、またエア抜きをして新しいフルードを無駄に捨てるのは嫌だったので、ちっと「普通じゃない方法」でリザーバータンクとホースにフルードを満たすことにした。

普通じゃないエア抜き

通常のエア抜きのようにブレーキペダルを踏む必要はない。ペダルがフリーの状態で、リザーバータンク→マスターシリンダー→ホイールシリンダーの経路は素通しになっている。これを利用してホイールシリンダーのニップルからブレーキフルードを逆注入することで、マスターシリンダー上部に繋がっているホース内部のエアをリザーバータンク側に押し出してやろうというもの。
リザーバーバータンクからのホースを外しても口が上を向いているのでマスターシリンダー内にエアが入り込むことはないので、こんないい加減な手法でも十分エアが抜ける。ただし、マスターシリンダー以降のブレーキラインのエア抜きには使えない。あくまでマスターシリンダー⇔リザーバータンク間のホース交換にのみ応用できる。
(いや、できないことはないが、フルードを圧入するときにホイールシリンダーのニップル取り付けネジからの漏れによるロスが大きいし、、、そもそもブレーキライン全部やるとリザーバータンクが溢れそうになるので、いちいちそっちのケアも必要で大変。それに四輪終える前にボトルを絞る手も音を上げるだろう。)
↑図の3と14から5経由でタンクに至る経路(赤青矢印)はブレーキペダルを放した状態で素通しとなる。

用意するもの

  • ブレーキフルード対応のゴムホース(内径6〜7mm、長さ7〜80cm)
  • ホースクランプ(元からあるものを流用)
  • 耐油透明チューブ(内径5mm、長さ30cmほど)
  • ビニールテープ(少々)
  • ブレーキフルード100ccほど
  • 調味料・ソースボトル(ケチャップ等を絞り出す、口の尖った蓋のあるもの)
  • フレアナットレンチ(8mm)

前もって準備すること

調味料ボトルの先に透明ホースを差し込み、抜けないようにビニールテープで固定する。
ボトルにブレーキフルードを入れて蓋を閉じる。

リザーバータンクとホースの準備

  • ジャッキアップし、タイヤ(前後輪のどちら側でもよい)を一つ外す。
  • リザーバータンクの蓋を緩めるか外しておく。
  • リザーバータンクホースのマスターシリンダー側の端に近い部分をロッキングプライヤーで挟み、フルードが漏れないようにした上で、ホースをマスターシリンダーから外す。
  • ロッキングプライヤーを解除し、フルードを適当な容器に排出する。
  • ホースをタンクから引き抜き、車体から外す。
  • 新しいホースをマスターシリンダーとリザーバータンクに繋ぎ、ホースクランプで固定する。

エア抜き作業

  • 1,ホイールシリンダーのニップルの下にウエスやペーパータオルを敷き、フルードが漏れてもタレずに吸収できるようにする。
  • 2,フルードの入ったボトルを逆さにし、軽く押してチューブの先端までフルードを満たす。チューブの先をつまむか開口部を指で押さえて逆流しないようにする。(チューブの先端をボトル内の液面より少し高く保つとやりやすい)
  • 3,ホイールシリンダーのニップルにチューブを差し込む。(泡が入らないように)
  • 4,フレアナットレンチでニップルのナット部分を1/4〜1/3回転ほど緩める。
  • 5,ボトルをゆっくり強く絞るように押してフルードをホイールシリンダーに送り込む。
  • 6,ボトルを押したままレンチで軽くニップルを締め込む。(締め込む前にボトルを押す手を緩めない)
  • 7,ボトルの蓋を緩め、ボトルにかけた圧を下げて空気をボトル内に送り込む。ボトルが元の形状を取り戻したら蓋を締め込む。
  • 8,リザーバータンクまでフルードが逆流していたらOK。来てなければ4以降を繰り返す。
  • 9,ホイールシリンダーのニップルを締め込み、チューブを外し、こぼれたフルードを拭き取り水で洗い流す。
  • 10,ニップル内外をよく拭き、キャップを被せ、ホイールを復旧す。
  • 11,リザーバータンクに規定量のブレーキフルードを注ぎ足して完了。

ホースと交換とフルード追加後

新しいリザーバータンクのホース↑。漏れたブレーキフルードで下部のペイントが剥げているのがわかる。一度錆止めを吹いたがすっかり剥げてしまっている。保護のためのコルゲートチューブは、汗かきや漏れの発見には邪魔かもしれない。後で下部だけにしておこうと思う。


FIAT 500 オイルクーラー取り付け

以下は、FIAT 500 Online Manualに投稿した自分の記事「オイルクーラーとオイルフィルターの取り付け」を転載したものです。このオンラインマニュアルは旧車チンクエチェントのオーナーにとって貴重な情報が満載のサイトで、興味のある方は是非そちらも参照してください。
   
↑汚いファンシュラウドでゴメンナサイ。^^;

はじめに

京都の蒸し暑い夏に向けて、せめてオイルを冷やして油圧警告灯が点灯しないようにしてやろうという魂胆。
 
上り勾配をしばらく走ったら油圧警告灯がチラチラするのは普通だとFIAT社が公式に言ったとか言わなかっとか、、、。アイドル状態からほんの少しエンジンを煽って消灯するようであればまず問題はないのだそうな。ほんまかいな。(注、情報源不明。自分の正常化バイアスが生み出した妄想かも、、、)
現状は、この1年ほど季節に関わらず登り坂が少し続いただけで、車を停止しエンジンをアイドルにすると直ぐに警告灯が灯る。上記のようにアクセルを軽く踏み込むか、走行すれば消えるので差し迫って深刻な状況ではなさそう。それでも以前は夏でもこれほどではなかったので、このままどんどん悪化する前に何か手を売っておこうと思った。それがオイルクーラーという形で頭に浮かんできたというわけ。
 
しかしこれは理論の展開としては無理がある。「以前」は正常かもしくは少なくとも今よりましであったのだから、まず第一に故障を疑うべきである。そもそも油圧警告灯が点灯する理由はいくつもあり、必ずしも油温が異常に上昇してオイル粘度が低下しているとは限らない。それを無視して油温だけ下げても良い結果は期待できない。ていうか、もっと悪い結末を迎えかねない。
(が、まあその辺りの原因追求も作業途中でできるはず。何よりオイルクーラーとフィルターを取り付けるという「魅力的な改造」が、これまで渋っていたオイルポンプ周りの面倒くさい分解・点検作業に手を染めさせたのだし、ネタバレになるが実際に警告灯点灯の原因らしきものも見つかったのだから、これでいいのだ!)
 
あまり整理せずに、やったことをダラダラ書いてあるため、本稿は恐ろしく長いものとなってしまった(ていうか、この「はじめに」ですらこの長さ!)。各項目にはできるだけ写真を添えて解りやすくしたつもりだが、いかんせん読み通すには相当の忍耐が必要だと思われる。ましてこれを参考にして熱対策にオイルクーラーを取り付けてみよという目論見を持ったとしても挫折する可能性大である(もっとも、加工が面倒なフィルターの取り付けをやめ、オイルクーラーだけにすればかなり簡略になるが、、、)。それより手間対効果の観点から「伝説の冷却方法の効果は如何に」や「ヒートシンクをつけよう-2」の方が遥かに簡易で現実的だと思われる。
 
よってオイルクーラー取り付けの実行はあまりお勧めはできない。しかし、そうなると本稿の存在意義は大いに疑問だが、まあ余談として付け加えた「追記」は油圧警告灯の点灯対策の手がかりくらいにはなるかもしれない。
 

目次と概要

概要

  • 中古のバイク用オイルクーラーとオイルフィルターマウントを入手し、オイルクーラーには取り付けステーの切除等の加工をした。
  • 別にマウントを取り付けるためのベースをアルミ合金ブロックで制作した。ベースにはフイルターマウントやホースを取り付けるための切削加工と防錆処理を施した。
  • オイルの取り出しにはタイミングチェーンカバーに穴を開け、ホース用フィッティングアダプターをロウ付けした。
  • クーラー本体はエンジンベイ上部にあるルーバー内部の空間に、オイルフィルターはエンジンベイの天井に設置。

↑設置場所とオイルの経路

目次

はじめに
目次と概要
実際の作業
素材と工法の選定
オイルクーラーを選ぶ
ベース
オイルの取り出し方法
設置場所
オイルクーラー
オイルフィルターマウントとそのベース
材料・工具
本体用
他に
工具
外注
作業内容
オイルクーラーの加工
車体の加工
オイルフィルターマウントのベース加工
オイルフィルターマウントの加工
タイミングチェーンカバーの加工
余談:低温アルミロウ棒HTS-2000について
タイミングチェーンカバーの加工(続き)
オイルポンプの加工
余談:ホースの加工について
取り付け
オイルクーラー本体
オイルフィルターユニット
クランクケースへのオイル戻り
ホースの接合
仕上げ
完成後の心配事
始動と試運転
結果
追記

実際の作業

素材と工法の選定

オイルクーラーを選ぶ

オイルクーラーに加えて、ついでなら通常の車のように濾紙式オイルフィルターも取り付けられるように、バイクのオイルクーラーとフイルターマウントをセットで使用する。(バイクでもフィルターマウントがエンジンと別体になっているものは少ないが、、、)
勿論、ここに示した材料や手法通りに行わなくてもよい}。もしもフィルターが不要であれば面倒なオイルフィルターマウントを取り付けるベースの製作をする必要もなく、エンジンから取り出したホースを直接繋ぐことができるのでオイルクーラーの選択の余地はずっと大きくなり、構造も取り付け作業自体もずっとシンプルになる。

今回は、YAMAHAのXJR400のものがサイズ的にも手頃で、クーラーとフィルターマウントアを繋ぐホースが素直で加工せずに扱いやすそうだった。フィルターマウント内部にはリリーフバルブも付いているので、FIAT 500のような旧車が使用する硬いオイルが低温時にクーラーコアにかける高圧の負荷を減らすことができる。同じ形状のXJR1300のものはホースに付いている金属パイプ部分の形状が違うので使いづらい。

ベース

XJR400の円形フィルターマウントをさらにボディーにマウントし、エンジンからのホースを繋ぐインターフェスとなる「ベース」は自力で用意しないといけない。これはアルミ合金、具体的にはジュラルミン(A2017)のブロックを使う。詳しくは後の「オイルフィルターマウントのベース加工」で。

オイルの取り出し方法

エンジンのタイミングチェーンカバーに孔を開け、オイルポンプからオイルを取り出す。この孔にホースを繋ぐフィッティングアダプターを取り付ける手段はいくつかある。
(参考:http://www2.plala.or.jp/gara/oil.htm
  • ボルトオンのキットが売られているが高価だし、オイル経路以外に取り付けボルト用の孔を余分に穿つ必要があり、取り付けのボルトもオイルポンプと共用になるか、少なくともネジ穴を共有することになるのがあまり面白くない。上のサイトでも書かれている締め付けの不均衡でカバーに歪みが出ても困る。
  • ねじ込みはタイミングチェーンカバーの厚みが十分でないと判断して却下。
  • 溶接はアルミ用に高価なアルゴンガスを用いるTIGや半自動溶接機が必要で、家にそんなものは無い。
  • 採用したのはロウ付け。それも低温(と言ってもハンダよりずっと高い)で融解し、フラックスも要らないという「HTS-2000」。調べてみたところ融点が380℃と、600℃前後のアルミ合金の融点よりかなり差があり、うっかり母材を融かしてしまう心配もなく、そのうえ引張強度も一般的なA5052が200N/mm2台に対して316N/mm2とかなり丈夫。これならシロートでも扱いやすそう。これでアルミのフィッティングアダプターをタイミングチェーンカバーにくっ付けて、ついでに強度を稼ぐために周囲をボタ盛りしてやれば溶接に負けず劣らずになる(はず)。

設置場所

オイルクーラー

  • エンジンフードの上方にあるルーバーの奥(冷却ファンのエアインテイクダクトの開口部がある空間)で、右ハンドル車のドライバー側。ただし、ここが冷却機能上のベストとは言い難い。なぜなら走行中に自然に風が当たることがなく、冷却効率が悪いことと、エンジンの冷却ファンの吸気の一部がクーラーコアを通過するのでその熱をファン、ひいてはキャブが吸い込んでしまうからだ。冷却効率を考えるなら運転席と後部座席の間の床下か、後方から見てエンジンベイの框(かまち=バンパーの付く横桟)の左下が良いと思われる。それでもこの場所を選んだ理由は、完全に「みてくれ」の良さだ。もちろん床下より破損しにくいという利点もある。

オイルフィルターマウントとそのベース

  • エンジンベイ内部の天井(オイルクーラーと同じ側)。XJR400の純正ホースが届く位置はここか、更に奥のバルクヘッドしかない。天井から吊り下げる利点はオイルフィルターの交換時に流れ出る廃油を受けやすいこと。これなら「オイルキャッチャー」なるカップ状の容器も売られているので、それが使える(高価だが、、、)。また、エンジンベイのこの位置は比較的空きスペースが大きく、滴る廃油を受ける洗面器などを置くことも可能。バルクヘッドに設置した場合この点で不利なうえ少し遠いのでフィルター交換作業がしにくくなる。

材料・工具

本体

  • オイルクーラー:YAMAHA XJR400用(純正中古品)
  • オイルフィルターアダプター:同上(ホース付き)
  • オイルフィルターアダプターベース:ジュラルミン(A2017)ブロック 100 x 100 x 30mm
  • ナイロン被覆耐油耐圧ホース:サイズ AN8 1m
  • ホースエンドフィッティング:ストレートx1、L形 x3
  • フィッティングアダプター:アルミ AN8⇔M12-p1.5 x4
  • ドレンボルト:アルミ M12-p1.5 マグネット付き(メクラ蓋用)
  • 耐熱・耐油ゴムマット:CR ペレマット 100 X 100 x 5t
  • シリコーンラバーストリップ:キッチンカウンタートップのギャップカバー 60 x 400 x2(オイルクーラー上下の隙間埋め)
  • シリコーンスポンジ角紐:(同じく隙間埋め)

他に

  • タッピングビス:M6 40mm x4(ベース取り付け用)
  • 六角穴付きボルト:M6 15mm x4(XJR400用ホースフランジ取り付け用)
  • アルミ板:40 x 40 x t1.5 x2(オイルクーラー取り付け座金)、150 x 150 x t1.5 x1(仕切板)
  • ビス;M4 10〜12mm x3(仕切板仮固定用)
  • ボルト、ワッシャー:M6 15mm x1(オイルクーラー上部固定用)
  • ステンレスビス、ワッシャー、ナット:M6 x1(フィッティングアダプターのロウ付け時にアダプターを固定する)
  • イモネジ(ホーローセット):M10-p1.0 15mm(M10ボルトを切断して代用)
  • Pクリップ:ゴムライニング付き(ホース固定用)
  • ジョイント金具とボルト、ナット、ワッシャー:穴あき平形、またはL字形200〜250mm、M6 20mm x5(Pクリップ保持用)
  • アルミ用低温ロウ:HTS-2000 45cm x2
  • 接着剤:シリコーンゴムにも使え、硬化時間の短いスーパーX2、エポキシパテ(仕切板固定用)
  • オイルフィルター:XJR用でなくても、外径φ65mm(Oリング径60mm)程度で取り付けネジがM12-p1.5であればOK

工具

  • フライス用エンドミル:φ6mm
  • ドリルビット:3.3mm、5mm、6mm、9mm、10.5mm、18.5mm
  • ステップドリルビット
  • リーマー
  • 金工ヤスリ、サンドペーパー
  • 電動ドリルとアングルエクステンション
  • ネジ切りタップ:M4、M6、M10-p1.0、M12-p1.5、M20-p1.5
  • ガスバーナー、ステンレスワイヤブラシ、ボール盤、各種レンチその他適宜

外注

  • ジュラルミン表面処理:無電解ニッケル処理(無色)
↑ジュラルミンブロックと無電解ニッケル処理の表面

作業内容

オイルクーラーの加工

  • 上部固定用のアルミ丸棒を25mm程度に切り詰め、端面にM5の穴を開けM6タップでネジを切る。
  • ラバーマウント用のフランジ2つをディスクグラインダーで削り落とす。
  • 上下にシリコーンゴムのストリップを貼り付ける。
  • 両サイドの保護カバーとコアの隙間をシリコーンスポンジで埋める。
  • 40 x 40 x t1.5のアルミ板に孔を開けてワッシャーを作る。(孔はフレアコネクターのネジサイズに合わせる)

車体の加工

  • オイルクーラーを仕込むために、エンジンカバー上方のルーバーを外し、右ハンドル車ドライバー側のエアインテイク開口部を一部切り取り、切断部分の出っ張りにヤスリがけし内側に曲げて、錆止めを施す。
  • エンジンベイの天井にオイルクーラーとホースを結合するネジが通る孔を2ヶ所開け、錆止めを施す。(狭い場所なのでホルソーやステップドリルビットを使う場合、電動ドリルにアングルエクステンションなどが要る。あるいはリーマでコツコツ孔を拡大するか、、、)
  • 室内のリアウインドウ直下、リアシートバック後方の鉄板に6〜7mmの孔を開ける。(オイルクーラー上部を固定するための孔)
  • アルミの仕切り版をエアインテイク開口部がある空間に合わせて整形し、オイルクーラーの端に接する位置にエポキシパテで固定する。
  • オイルフィルターマウントのベースを取り付けるネジ孔は現物合わせのため、ここではまだ開けない。
  • ホースを固定するためのPクリップを留める孔はホースの取り付けが終わってから適宜穿つ。

オイルフィルターマウントのベース加工

注意!

今回はフライス盤の代用にボール盤を使用したが、チャックがぶっ飛んだり、エンドミルが折れて怪我をする危険性がある。後先を考えなければチャックを溶接する方法が確実だが、私の場合は後々チャックを交換できるようにネジ固定剤を使用した。(ヒートガンやバーナーで百数十度に加熱すれば外れる)
また、本来フライス盤にはワーク(加工対象)を固定しつつ、切削場所を正確に移動させるクロステーブルか回転テーブルを使うが、ボール盤にはそのようなものが無いので、余りの木板の裏側に回転中心となる円柱を取り付けてテーブルの孔に差し込み、表にはワークをネジで固定して代用とする。インスタント回転テーブルは手で回すが、切削送り速度や深さは山カン。刃を折ったりキックバックの危険性もあるので自分が何をやっているのか解らない人は切削加工を外注するべきだ。
↑ボール盤にエンドミルをセットして
ワークを切削するための「回転送り台」
↑ワークを木の台ごと回転させて切削中
↑上図は上下が逆に描画されていることに注意
  • ジュラルミンブロックにM6タッピングビス取り付けネジ孔φ6.3mmを四隅に一つずつ開ける。
  • フィッティングアダプターやメクラ蓋用にM12-p1.5の下穴φ10.5mmを4ヶ所開け、そのうち側面の3ヶ所にタップを立てる。
  • オイルフィルターマウントアダプターのセンターボルトをねじ込むための下穴φ18.5mmを上面中央にできる限り深く(貫通してはいけない)開け、M20-p1.5のタップを立てる。
  • オイルフィルターマウントのリリーフバルブがベースの上面に近すぎるので、エンドミルを使ってベース上面に逃げ溝を切る。
  • 全体図面はこの項の最後に表示。
  • 切削加工が済んだら防錆加工に出す。
↑切削加工+無電解ニッケル防錆処理
を施したジュラルミンブロック

オイルフィルターマウントの加工

  • 外周部の廻り止めとおぼしき突起を削り落とす。(ベースへの組み込みを上手くやれば必要ない)
  • センターボルトのフィルターとは反対側の下部をディスクグラインダーで削り、ベース内部でのオイルの流路を確保する。削る場所は、Oリングを装着した状態で十分ねじ込んだ位置で、メクラ蓋を着ける穴からペン等を差し込んでマークを入れて位置を決める。横穴はφ12mmだが誤差を考えて削る幅は少し余裕を持たせておくこと。
↑写真を取り忘れたのでこの画像は合成です。
(AIじゃなく手仕事 ^^;)
  • 防錆加工の終わったベースのブロックにオイルフィルターマウントのM20のセンターボルトをねじ込む。上記の流路が確保されているか再確認。(下の写真は茶色の保護シートが付いたままで、防錆未加工時に仮組みした状態)
  • ネジ固定剤を付けたAN8フィッティングアダプターをねじ込む。オーバートルクで捩じ切らないように注意。
  • ドレンボルトを流用したメクラ蓋を装着。(この孔は油温計のセンサーとかに利用できるかも、、、)

タイミングチェーンカバーの加工

カバーの取り外しは、ベルトプーリーの遠心式オイル分離器の分解も伴うが、ここでは詳しく書かない。(オイルフィルターの清掃を参照)
  • オイルポンプを取り外す。(取り付けボルトが一部見えないので、まずサークリップを抜いてリリーフバルブを外す。しかしマニュアルでは親指で押さえてスプリングを縮めるとあるが、反発が強くとてもできないのでFクランプを使用する)
  • φ5mmの下穴を開け、M6のタップで雌ネジを切る。
  • M6のビスをねじ込む。(フィッティングアダプターの位置決めとロウ付け時の固定用)
  • AN8⇔M12-p1.5フィッティングアダプターのM12側のネジを切り落とす。

余談:低温アルミロウ棒HTS-2000について

先のYoutube動画でも紹介されているが、HTS-2000はフラックスが要らないかわりに、ロウが溶けている間にステンレスワイヤブラシで表面を擦って酸化被膜を除去することで母材への「濡れ」を確保している。アルミロウ一般に言えることだが、ロウ棒にバーナーの炎を当てて溶かすより、母材をロウ棒の融解温度まで加熱して、そこへ棒をこすりつけて溶かす方が確実。

タイミングチェーンカバーの加工(続き)

  • 予めフィッティングアダプターの底面(ネジを切断した跡)とタイミングチェーンカバーそれぞれにロウを溶かしつけ、接合面を突き合わせた状態で加熱して確実にろうが廻るように溶着する。(1次ロウ付け)
  • 気密性は1次ロウ付けで確保できるが、せっかく着けたフィッティングアダプターが肉盛するときの追加の加熱で外れないよう、予め立てておいたM6のステンレスビスにワッシャーとナットをねじ込んで仮固定する。(下の写真はロウ付け開始前の仮合わせ)
  • ホースの重さとエンジンの振動で疲労破断が心配なので、さらに強度を上げるために、フィッティングアダプターの周囲にアルミロウをコッテリ肉盛りをする(2次ロウ付け)。
  • アルミロウを盛り上げるためにステンレスでクッキー型のような囲いを作ったが、底部の隙間からロウが流れ出てしまった。耐熱性のある粘土や石膏で埋めておくべきであったが手持ちがなく、ロウ付け作業中に泥縄で買いに走っても、せっかく温めた母材が冷めるので別の方法を採る。
  • 酷く難しいが、ロウが流れてしまわないように加熱具合を微妙に調整しながら盛り上げる(比熱が大きく冷めにくいステンレスワイヤで融けたロウを均しながら盛り上げるが、ステンレスのヘラ状のものの方が熱を保持するので更に良いかも)。うっかりすると全てが一度に溶けてしまうので火力や距離、加熱時間に気を使う。また、この方法だと「ス」が入るおそれがあるが、第1段階の面突き合わせロウ付けで気密性は確保されており、追加で盛り上げた外周に少々隙間があっても問題はない。
  • ステンレスビス、ナット、ワッシャーを取り除き、ドリルで孔をφ9〜10mmに拡大する。(次の整形作業と順序が逆になっているが、どちらが先でもよい)
  • 肉盛りしすぎた余分なロウをリューターや金工ヤスリ、サンドペーパー等で整形する。(見た目を気にしないなら不要)
  • L字形のホースエンドフィッティングを仮留めして、手荒に捻ってみる。これでモゲてしまうようであれば使用に耐えられない。
  • ロウ付けしたフィッティングアダプターにホースを取り付け、裏側には栓をして、タイミングチェーンカバーを水に浸ける。ポンプ等でロウ付け部分に空気圧をかけて気密性の確認。漏れがあれば1次ロウ付けからやり直す。(幸い泡は出てこなかった。)

オイルポンプの加工

オイルポンプの分解手順については別に「オイルポンプとリリーフバルブの分解」に書くのでそちらを見てほしい。

  • M10ボルトの六角頭を切断し、中心にドリルでφ2.5mmの孔を貫通させる。(近い長さの既成ホーローセットが入手できればこの作業は不要)
  • M10ボルトを切断し 15mmのイモネジを作り、マイナスドライバーで回せるように端に金ノコ等で溝を入れる。(近い長さの既成ホーローセットが入手できればこの作業は不要)
  • 内部の2つのギアの内、長い中空軸が付いている方の内径が丁度φ9mmで、ギア側の穴にM10のタップで深さ17mmほどの雌ネジを切る。(近い長さの既成ホーローセットが入手できればこの作業は不要)
  • ロックタイトのネジ固定剤を着けてM10 のイモネジをねじ込む。
  • オイルポンプをタイミングチェーンカバーに組み込む。
  • タイミングチェーンカバーをクランクケースに復旧。

余談:ホースの加工について

NA8のホースをホースエンドフィッティングに組み付ける専用工具があるらしいが、テープを巻いて養生したホースをバイス等でしっかり固定して、薄手の切断砥石を着けたディスクグラインダーで切断し、被覆がバラけないよう丁寧にテープを外したら、ホースの端を被覆ごとナットに数ミリ食い込ませる。ホースを手で握って木の板などにナットごと思いっきり力を入れて、何度も打ち付けると問題なく着底する。そのホース+ナットをフィッティング本体にねじ込むときには薄くオイルを施しておくとスムーズに入る。ナットは最後まで締め込まず、2〜3mmの隙間を残す。

取り付け

オイルクーラー本体

  • 密閉用のラバーやスポンジを付けたオイルクーラーを先の「車体の加工」の項で口を広げておいたエアインテークから差し込んで、ホース接続ネジがエンジンベイ天井の穴に通るように内部で所定の位置に立てる。
  • クーラー上部の丸棒のネジ穴を後部座席のシートバック後方に開けた孔に合わせ、室内からM6 15mmのネジの半分ほどをねじ込んで仮止め。
  • オイルクーラーの上部と天井の隙間が大きいので、その隙間を塞ぐようにクーラーに貼り付けてあるシリコーンゴムのストリップを捲くり上げて天井に接着する。シリコーンゴムにも使えて効果時間の短いスーパーX2を使用。

オイルフィルターユニット

  • オイルフィルターのマウントとベース、XJR400のホースが一体化したユニットにAN8のホースを取り付ける。ホースエンドフィッティングのナットを締め込むときにフィッティングアダプターが供回りして捩じ切らないようオーバートルクに注意。
  • XJR400のホースエンドフランジをオイルフィルターマウントに取り付ける。小さいOリングを忘れないように。

  • 耐熱・耐油性のスポンジマットをベースに接着剤で貼り付ける。
  • ホースの付いたオイルフィルターのユニットを装着場所に仮置き(-天井なので手で支える)して四つ角の孔にプラスドライバーを差し込んで傷をつけ、ネジ位置決めのマークをつける。
  • 位置決めの印に従ってエンジンベイの天井にφ4.5〜 5mmの下穴を開ける。
  • M6タッピングビス4本をスポンジマットにねじ込んで仮止め。
  • タッピングビスを締め込んでユニットをエンジンベイの天井に固定。

クランクケースへのオイル戻り

  • ディストリビューターのすぐ手前にM12−p1.5のホーローセットでメクラ蓋がしてある。これを取り除いてAN8⇔M12-p1.5のフィッティングアダプターを取り付ける。
  • アダプターのM12雄ネジは当然中空でオーバートルクで容易にネジ切れる。本来ここはテーパーネジのようで、念のためにシールテープを巻いておく。(フィッティングアダプターにはシーリング用のワッシャーが付いていて、これも使用する)

ホースの接合

  • XJR400用ホースの先端をオイルクーラーのフレアフィッティングネジに締め付ける。フレアで圧着しているだけなので油漏れが起きないように、少しきつい目に。(正規の締め付けトルクは不明。心配なので邪道かもしれないが若干の液体パッキンを塗っておいた)このとき、手製のアルミ角ワッシャーを共締めする。
  • オイルクーラー下部が固定できたら上部の丸棒に仮留めしておいたM6ボルトを室内から本締めする。
  • M8ホースのうちL字型ホースエンドフィッティングはタイミングチェーンカバーにロウ付けしたフィッティングアダプターへ、直線形のホースエンドはクランクケースのディストリビューター手前にあるオイル戻りのフィッティングアダプターへ、それぞれねじ込んで結合する。
  • 忘れない内に市販のオイルフィルターをオイルフィルターマウントにねじ込んで装着。

仕上げ

  • エンジンベイの框を復旧。(ホースフィッティングとのクリアランスは数ミリ。フィッティングの種類は500の個体によっては干渉するかもしれない。その場合は、框の内側をプラハンマーや木槌で凹まさないといけない。実際、エンジンのスプリングマウントを復旧する以前に框を当ててみたら隙間はほぼゼロ。しかし、スプリングマウントでエンジンを吊り上げて框を取り付けたら、1cm程も隙間が広がっていた。)
  • 壁面や部品との摩擦が起こりそうな部分はホースにコルゲートチューブを巻いて保護。
  • ホースはブラブラするとよろしくないので、Pクリップでエンジンベイ内部の側面に取り付ける。(たまたま以前のオーナーがバッテリーをエンジンベイに移設するために開けた孔が2つあったのでそれらを使用)
  • さらにホースとエンジンの接合部の負担を減らすために追加のPクリップとその支えをホームセンターで売っているジョイント金具を折り曲げて作り、取り付ける。

完成後の心配事

設置場所の項でも少し触れたが、オイルクーラーの取り付け位置はルーバーの後ろに隠れて見た目上スッキリはしている。しかしここは冷却ファンがガンガン空気を吸い込んでいる場所だから、当然クーラーのコアを通過して温められた外気がエアインテークのダクトに送り込まれることになる。ダクトの開口部に近い反対側にも取り入れ口があるので全部の空気が加熱されるわけではないけど、エンジンの冷却に使われるはずの空気の一部はエンジンの熱で温められるという熱の悪循環が起きてします。さらに、ファンシュラウド内の空気はエアクリーナーを経由してキャブレターにも行くから、結果的に密度の低い薄い空気で混合気が作られてしまう(夏季の熱対策のはずが、夏のように熱い空気を冷却と燃焼に使うという本末転倒!W)。これらがどの程度の悪さをし、出力低下を招くのかは判らない。電動ファンで強制的に吸い出す手も考えたが、下手をするとエアインテークダクトと電動ファンの空気の吸引合戦になり、オイルクーラーを通過する空気が返って減ったり完全に停滞してしまう恐れもあるので、当面は手を付けないで静観することにした。どうなることやら。

始動と試運転

オイルクーラーとオイルフィルターを取り付けた直後は、スターターモーターを回してエンジンがかかってから油圧警告灯が点灯するまで10秒ほどかかるので、かなりドキドキする。
私の場合、オイルクーラーとホースの結合に不具合があり、初回始動時にはオイルがダダ漏れでひどいことに、、、。エンジンがかかったら何をおいても直ぐ下車してエンジンを見に行くこと。それが遅れるともしも漏れていた場合、オイルを失うのと地面に流れたオイルの拭き取りで大変な目に遭う。
締め付けを増したら少し漏れが減ったのでフレアからの漏れだと勘違いして、更に強く締め付けたらネジが舐めるどころか根元からモゲてしまった。あっという間にオイルクーラーコア内部のオイルがダダーっと流れ落ちた。万事休す。
修理部品が来るまでオイルクーラーをバイパスするように、XJR400のホースエンドのフレア部分を、短く切った水道ホースの両側に差し込み、ナイロンタイラップで締め上げてオイルの循環を確保した。長距離は恐ろしくて出られないが、漏れたオイルの清掃で車をどかすくらいはこれで何とかしのげる。その後、新しい部品で漏れは無くなったのでめでたしめでたし。

結果

一応の作業が完了し、思わぬオイル漏れに気が動転し、力まかせのゴリ押し増し締めによる破損で、恥ならぬオイルの上塗りというアクシデントもあったが、近所の試運転から徐々に距離を延ばしている最中の今日このごろ、、、。今のところは問題なし。油圧警告灯も全く点かず好調である。
シロート作業でやっつけたロウ付け部分も、見たところびくともしていない。もちろん漏れどころか滲みもない。
それでも、もしもオイルクーラー周辺からのオイル漏れがあった場合に備えて、短絡用のホースとライラップ、モンキーレンチを携帯しているが、、、そこじゃなくロウ付け部分がぶっ飛んで、それに気づくのが遅れたらあっという間にオイルが空になり、エンジンもオシャカを免れない。しばらくは警告灯とバックミラーに注意しながら運転する日々が続きそう。
さて、これでオイルクーラーがどれだけ油温低下に効果があるか、梅雨が明けて本格的な夏にならないと判らない。何かあれば、またこちらで報告する。

by Okapon

追記:

元々は、さしたる負荷もかけてないのに油圧警告灯が点いてしまうことから、いきなりオイルクーラーという禁じ手に飛びついたのだが、冷静に考えれば以前はそれほどでもなかったのだから、もっと別の場所を調べて原因を突き止めるのが先であるはずだった。

オイルクーラーどうのこうの以前に、この症状の原因で考えられるのは:

  • 1,オイルの粘度不足(ここ1年ほどは、オイル交換してもしばらくすると警告灯が点くようになった)
  • 2,油圧センサーの異常(わりと最近、不注意で壊してしまったので新品に取り替えた。が症状は同じ)
  • 3,オイルポンプの異常
  • 4,カムシャフトのメタル摩耗(シャフトは中空で、ここを通ったオイルがカムの潤滑と、ヘッド上部のタペットカバー内部の潤滑を担っている。警告灯のセンサーにも繋がっているから、シャフトエンドのメタルに隙間ができると油圧が逃げてしまうので警告灯が点灯すると思われる)
  • 5,オイルリリーフバルブの異常
1は、様々な理由でエンジンが高熱になっていてオーバーヒート寸前のはずで、これが怖くてオイルクーラーを、ということになった。しかし、点火時期や混合気などは正常だし、実際のオイルの状態(粘度や色、におい等)も悪くないから除外。(なら何でクーラーなのか、は答えられない。てか、やってみたかっただけW)
2は、交換した新しいセンサーの異常も無いでもないが可能性としては低いし、高粘度オイルを入れた直後は症状が収まるので一応は機能していると思われるから消去。(しばらくしてオイルが「こなれて」少し粘度が低下したら発症するが、、、)
3は、今回の作業でオイルポンプを分解したが、ギアなどに異常な摩耗などは見つからなかったのでまず無い。
4は、エンジンの腰下をバラさなきゃならないので当面は排除(ていうか目をそらした)。
で、5だが、リリーフバルブはオイルポンプにくっついているのでチェックしてみたら、いくつか気になることを発見。
  • まず、刀の鍔(つば)のような円盤状の部分の外周に妙な欠けか噛りのような傷がある。
  • 別の場所にはクラックにも見える線がうっすら、、、。
  • またその部分は本来円筒形のはずが、どうも太鼓状に変形しているような感じがする。
  • 更には鍔の表面に段差がある。ここは回転しないが、常に回転しているカムシャフトの後端フランジ部分に常に押し付けられていて、オイルが介在するとはいえ摩耗する消耗部品と考えられる。
  • (上記に加えて、スプリングの自由長も予備の物と比較したがヘタリや歪みは無かった。)
これらのどれか、あるいは全部が原因で、油温が正常範囲でも少し熱くなってちょっとでもオイル粘度が下がると、規定の上限油圧に達しなくなってバルブがオイルをリリーフしてしまっていたのだろう。(正体見つけたり!?)
早速、新しいリリーフバルブに交換したが、そうするとオイルクーラーを取り付けた効果が判らなくなるし、、、でも、エンジンが健全でいてくれたらそれで良しとしよう。
      • って、じゃあこの間、他の用事を投げうってやってきたオイルクーラー取り付け作業は何だったん?ってことに、、、(;´д`)トホホ…
そういえば、オイルクーラーとオイルフィルター、そのマウント、ホース等を満たすために不足したオイルに追い打ちをかけてオイルがたっぷり漏れたものだから、都合1リッターほどの20W50の鉱物油を注ぎ足した。これでしばらく使った漏れ残りオイルの粘度もまた少し上がっただろうから、ますますオイルクーラーの効用が見えにくくなってしまった。まあ、オイルは早晩くたびれるし、これから気温は増々上昇するから、この夏にはしっかり結果を見届けることができよう。

Ciao バリエーターVベルト、汎用品に交換 その後

バリエーター付きに改造したCiaoのベルトのコスパを上げるために、安い汎用品を装着してみようといろいろやってみたが、ちょうどよいベルトは汎用でもあまり安くなかった。

まあ、それでも「いつでも入手できる」という安心感から、ためにし使い続けてみようと。

前回の投稿では、ベルトの張り具合(ていうか前後プーリーのバランス)の塩梅を探りながら、最終的にエンジン位置を中間にして終わった。ところが、しばらく走ってみて、時速30kmを少し超えたら何か「ガガガガガガ~ッ」って異音がして、ベルトが滑るというよりエンジンブレーキが掛かったように減速してしまう減少が出始めた。まあ、原付一種なんで法定速度で走れば問題ない、っちゃあ問題ないんだけど、、、。

でも、やはり何か異常があるわけで、せっかく新しくしたベルトが切れても嫌だし、少し手を加えてみることにした。

まず、新しい三ツ星のベルトはコグ付きだけど、ロープロファイルとはいえDaycoやMarossiのより高さ(厚み)がある。そこで、コグの凸歯をカッターナイフで切り取った。これで「底づき」はなくなるはず。

で、試運転したが、それでも症状は収まらない。

さらに、中間にしていたエンジン位置をDaycoやMarossiを装着したときと同じ最後部に戻してみた。ベルトが後プーリーの外周部で回るようになり最高速は伸びなくなるが、高速回転での後プーリーでの底づきはなくなるはず。

はたして、アクセル全開でも件の症状は出なくなった。ちょっとマズイので何km/hだったかは書けないけど、ともかく高速運転でも思いの外頭打ちは早くなく、心地よく回ってくれる。しかも上り坂でのトルク感も悪くない。(コグの切り落としは不要だったかも、、、先にエンジン位置をもっとしっかり見極めておけばよかった。次回はいつになるか判らないけど、ベルト素のままで試してみよう)

以上、その後でした。ちゃんちゃん。


いつの間にか春爛漫

FIAT500とCiaoの整備をしているうちに気がつくとサクラとツツジの咲く季節。

チンクのトランスミッションと格闘中に雪が積もって困ったのはついこのあいだだと思ったらもうひと月になるにのか!

これだけ手を掛けたのに両車ともまだ本調子じゃない。トホホ

雪雨ばかりじゃなくて部品不足や来客などなど中断も多かった。遠来の友人が明日京都を発つので、見送ったらチンクの仕上げに取り掛かろう。足りなかったパーツを組み込むために今一度トランスミッションを降ろさねば。ふう、、、