「自動車・バイク」カテゴリーアーカイブ


Ciaoの部品製作(その2:スタータークラッチ補強)

チャオのパーツをもう一個作る。今回は木ではなく鉄製。

スタータークラッチには毎度頭が痛い。クラッチシューのアームが弱すぎて、ペダルを漕いでエンジンをスタートするときの衝撃に耐えられないから、ほんの数回始動操作をしただけでまっさらのクラッチが負けて動かなくなる。

下が新品。上が変形したクラッチ。(以前の投稿より)

圧縮応力がかかったら変形して元に戻らないのなら、こんなん鋼材ちゃう、ナマ鉄じゃん。(曲がったらクラッチベルのカーブに合うようにライニングを削ってやれば、なんとか作動するが、削った分だけ寿命が短くなる)。下の写真、左側を見たら古いシューアーム(銀色)が未使用(黄色っぽい)と比べてどんだけ曲がったかわかると思う。(右側は補強済みのもの)

左側の黄色っぽい方が未使用、銀色が曲がったもの。右側は補強入り。

アームを補強するために、鉄板から切り出したサポート鉄片を作って、エポキシパテとリベットで、この面倒くさいアームに固定してやった。(このリベットは、ちなみに、普通の釘ででっち上げた)。

鉄板の切り出しと整形

エポキシパテ充填とリベット打ち込み固定

組付け

以前からCiaoのクラッチについては何度も書いてきた。たとえばこの記事ではライニングを削ることについて述べている。しかし、どれも根本解決にはならなかった。今回、補強をすることのヒントになったのは、他のサイトのこの記事。あちらではネジを突っかい棒にしてパテで固定している。パテが露出しているのと、パテが割れたりネジが外れた場合にどうなるか、ちょっと心配。(この著者はしばらく乗ってみたが大丈夫とのこと)


Ciaoの部品製作(その1:スイッチボタン)

イタリア娘のチャオはしょっちゅうトラブルを起こす。そんで、それを解決してやったら、なんもなかったかのように振る舞う気まぐれにさんだ。道端で、ガレージの前で、ともかくどこでも、彼女の横でまるで下僕みたいに膝まづく…なんちゅう恥ずかしい瞬間!

それでもガソリン、オイル、部品、労力をあるったけ彼女にプレゼントしてきたのに!世の中にはお金で買えないものがある。正確には、チャオの部品はほぼすべて購入可能だけど、物によってはアッセンブリーになっている。そのため、スイッチボタンみたく小さい部品が必要な時、不要な部品とセットで購入するはめになり面倒。
おおっ、ハイ/ロービームのスイッチボタンが割れて半分なくなっているじゃん。ボタンだけってのは買えないんで、自分で作ることに。ま、言い換えれば、またもう一個、プレゼントをあげちゃうってこと。。。増長させそう、、、

じゃじゃ~ん♪ 右手にローズウッドのオーナメントを装着っ完了!


FIAT 500 ブレーキ・マスターシリンダー液漏れ修理

症状:

6月に、ブレーキフルードが減るので、その原因が不良(不適切)素材のホースにあると投稿を書いた。そして実際、使われていた「燃料用ホース」からは汗をかいたように液がにじみ出ていたから、それ「も」液が減る原因の一つには違いなかった。

しかし、ホースを取り替えた後もフルードは減り続けていたので、わずか4ヶ月でリザーバータンクにトップアップする必要になった。もちろんリザーバーの新しいホースは何ともない。となれば、どこかから漏れているに違いない。これだけ漏れていれば車体の下に滴っているはずだが地面にその痕跡は無く、ボンネット内部のマスターシリンダーから床下まわりのブレーキホース、4つのホイールにも滲みすら見られない。

昨年、スレーブシリンダーは全て交換したのでブレーキまわりは大丈夫(のはず)。しかし、ブレーキラインとマスターシリンダーまでは手を入れていなかった。マスターシリンダーがヘタると、たとえ走行中に通常のブレーキ操作をして制動力に問題がなくても、停車中にブレーキペダルを踏み続けるとじんわり沈み込んで床に着いてしまう現象が起きるが、そのようなことも全く無かった。そんなヘタリはシリンダー内部のことで、外部への漏れには直接関係がないはず。

では、リザーバータンク1杯分のブレーキフルードはどこへ行ってしまったのだ?

原因:

手っ取り早く言うと、マスターシリンダからの漏れだった。

汚い!こんな汚れに何ヶ月も気づかなかったのは失態だった。

ブレーキペダルからの押しを伝えるプッシュロッドのラバーブーツが劣化し、そこからブレーキフルードが運転席側に流れ出ていた。しかし、バルクヘッドを流れ下った液はすぐにフロアマットの下に潜り込んでいたため外部からは判らず。ブレーキフルードは塗料を侵すのでよく見ると床の塗膜が凸凹している。慌ててマットを剥がすと液でベトベトになってしまっていた。

処置、修理1:

塗膜保護は急を要するので、とりあえず床を水洗いをして液を除去。さらに、浮き上がってしまった塗膜をマイナスドライバーの先やワイヤブラシで剥離した。

もともと水が溜まりやすい場所だ。悲しいかな漏れた液が流れ、溜まった部分はサビも発生してひどい状態だった。ある程度のサビはワイヤブラシでこそげ取ったが、途中で諦めて錆転換剤で対処することにした。駐車場所が若干運転席側が下がるように傾斜しているので、床面全体に液が広がらなかったのだけが不幸中の幸い。

サビ転換剤でごまかす。。。錆転換剤が硬化した後は錆止めの下塗りとラッカーで塗装しておいた。もちろんマット類もよく水洗いしてある。

浮いた塗膜除去とサビ処理の後、塗装。

処置、修理2:

床とは別に、液漏れを起こしているマスターシリンダーの交換作業も当然行った。

まず、現状ではFIAT 126用のマスターシリンダーが取り付けられているので、これを外す。が、本来の正規部品より倍ほど長く、これを収めるためにバッテリー近辺の壁面に孔を穿ち、そこからシリンダーの頭が飛び出すようにしてあるので簡単には外れてくれない。ペダルを外せばよいのかもしれないが面倒な作業をこれ以上増やしたくない。そこで孔をペンチでコジて少し広げ、シリンダーがプッシュロッドの分だけ前方に移動出来るようにした。それでもブレーキラインの取り回しが不自然だったりフィッティングの取り付け位置が壁面と干渉したりしして外すだけで数時間を要した。(シリンダーの取り付けボルトはわずか2本なのに!)

126用のマスターシリンダーが使われた理由は知る由もないが、おそらく前輪と後輪を別系統で制動するタンデムシリンダーにすることで安全性を向上するためだったと思われる。交換するにあたって126用の安全性を取るか、オリジナルに戻して後々のメンテナンスの容易さを取るか少し悩んだが、点検や整備をし易いし、いつかまた交換が必要になっても作業が楽なオリジナルのマスターシリンダーに戻すことにした。

うちのチンクはマスターシリンダー以外に、ブレーキラインもオリジナルの銅管や鉄チューブではなくメッシュのフレキシブルホースに替えられている。しかも、ブレーキホース先端のフィッティングが126用のタンデムシリンダーに合わせるためにL型になっていたりバンジョーボルトだったりと、いろいろ面倒なことがされている。このままでは自分としてはあまり面白くないのだが、改めてブレーキラインの引き直しとなると、またまた作業日数がかさむことになる。今までのところ、このラインで問題なかったので、とりあえず現行のものを引き継ぐことにした。(早晩交換しなくちゃ)

126用のマスターシリンダーに送られるリザーバータンクからのホースは先端が前輪用、後輪用に二股になっていたので、これを分岐から先を取り去ってシンプルにした。

部品交換の結果、ラインとフィッティング以外はオリジナルに戻り、液漏れもなく、機能ももちろん問題なく、メデタシメデタシ。

ちゃんちゃん!

P.S. ブレーキランプは、オリジナルではマスターシリンダーの先端に取り付けた油圧スイッチで点灯させるが、126用のマスターシリンダーにはこれが無く、ペダル側に機械的なスイッチが付く。ところが、チンク先達のKitaさんによると、油圧スイッチに不具合が出て交換する際にブレーキラインのエア抜きが必要になり面倒だとのこと。

せっかくマスターシリンダーをオリジナルに戻したので勢いで油圧スイッチも取り付けたのだが、ペダル側スイッチも現状で問題なく機能しているのだから、これも残しておくことにし、後日油圧スイッチへの配線をパラレルで延長することにした(が、未実施)。延長配線ができたら、ブレーキランプスイッチの二重化となり、どっちが壊れてもランプは点灯する。(ブレーキラインの二重化をやめた尻拭きには全くならないのだが、、、)


ブレーキフルードリザーバータンクのホース(汗) FIAT500 ATWIKIより

以下は、FIAT 500 Online Manualに投稿した自分の記事「ブレーキフルードリザーブタンクのホース(汗)」を転載したものです。このオンラインマニュアルは旧車チンクエチェントのオーナーにとって貴重な情報が満載のサイトで、興味のある方は是非そちらも参照してください。

注)Online Manualの表題では「リザーブタンク」となっているがこれは誤入力で、正確には「リザーバータンク (reservoir tank)」。(訂正したいが表題はATWIKIの編集できないようなので、、、)
もっと原語(英語/仏語)に忠実なreservoirのカナ表記は「レザヴワ」だが日本では誰もそう発音しない。
リザーバータンク(reserverは「予約者」のニュアンスが強い)と言っても海外では通じにくいと思う。まだリザーブタンク(reserveは「保留, 保存, 予備」という意味の名詞)の方が意味を汲んでもらえる。どうでもいいけど。

問題発生

微妙にブレーキフルードが減る。最近は少しずつその減り方が酷くなりつつあった。ふと見るとリザーバータンクからマスターシリンダーに繋がっているホースが汗をかいている。結露じゃなくブレーキフルードが滲み出しているのだった。

前オーナーから引き継いで10年。足回り、ワイヤリングハーネス、エンジン、トランスミッション、、、、もちろんブレーキ系統も、およそ車体の9割に自分で手を入れてきたが、このホースは見逃していた。ていうか見た目はすっごくきれいだったんで、ま、いっかと。しかし今回、この問題が出てよく見たらホースは「燃料用」のものが流用されていた。

この間に交換したのは何の変哲もないDOT3、DOT4のフルード(攻撃性の高いシリコン系DOT5ではない)なのだが、これまで大丈夫だったのに、何故この1年で急にこんなことになったのかは判らない。しかしホースが如何に「耐油」、「耐ガソリン」であっても「耐ブレーキフルード」とは限らないし、現実に滲み出しているのだから交換するしかない。
この2月にホイールシリンダーを交換したばかりだし、またエア抜きをして新しいフルードを無駄に捨てるのは嫌だったので、ちっと「普通じゃない方法」でリザーバータンクとホースにフルードを満たすことにした。

普通じゃないエア抜き

通常のエア抜きのようにブレーキペダルを踏む必要はない。ペダルがフリーの状態で、リザーバータンク→マスターシリンダー→ホイールシリンダーの経路は素通しになっている。これを利用してホイールシリンダーのニップルからブレーキフルードを逆注入することで、マスターシリンダー上部に繋がっているホース内部のエアをリザーバータンク側に押し出してやろうというもの。
リザーバーバータンクからのホースを外しても口が上を向いているのでマスターシリンダー内にエアが入り込むことはないので、こんないい加減な手法でも十分エアが抜ける。ただし、マスターシリンダー以降のブレーキラインのエア抜きには使えない。あくまでマスターシリンダー⇔リザーバータンク間のホース交換にのみ応用できる。
(いや、できないことはないが、フルードを圧入するときにホイールシリンダーのニップル取り付けネジからの漏れによるロスが大きいし、、、そもそもブレーキライン全部やるとリザーバータンクが溢れそうになるので、いちいちそっちのケアも必要で大変。それに四輪終える前にボトルを絞る手も音を上げるだろう。)
↑図の3と14から5経由でタンクに至る経路(赤青矢印)はブレーキペダルを放した状態で素通しとなる。

用意するもの

  • ブレーキフルード対応のゴムホース(内径6〜7mm、長さ7〜80cm)
  • ホースクランプ(元からあるものを流用)
  • 耐油透明チューブ(内径5mm、長さ30cmほど)
  • ビニールテープ(少々)
  • ブレーキフルード100ccほど
  • 調味料・ソースボトル(ケチャップ等を絞り出す、口の尖った蓋のあるもの)
  • フレアナットレンチ(8mm)

前もって準備すること

調味料ボトルの先に透明ホースを差し込み、抜けないようにビニールテープで固定する。
ボトルにブレーキフルードを入れて蓋を閉じる。

リザーバータンクとホースの準備

  • ジャッキアップし、タイヤ(前後輪のどちら側でもよい)を一つ外す。
  • リザーバータンクの蓋を緩めるか外しておく。
  • リザーバータンクホースのマスターシリンダー側の端に近い部分をロッキングプライヤーで挟み、フルードが漏れないようにした上で、ホースをマスターシリンダーから外す。
  • ロッキングプライヤーを解除し、フルードを適当な容器に排出する。
  • ホースをタンクから引き抜き、車体から外す。
  • 新しいホースをマスターシリンダーとリザーバータンクに繋ぎ、ホースクランプで固定する。

エア抜き作業

  • 1,ホイールシリンダーのニップルの下にウエスやペーパータオルを敷き、フルードが漏れてもタレずに吸収できるようにする。
  • 2,フルードの入ったボトルを逆さにし、軽く押してチューブの先端までフルードを満たす。チューブの先をつまむか開口部を指で押さえて逆流しないようにする。(チューブの先端をボトル内の液面より少し高く保つとやりやすい)
  • 3,ホイールシリンダーのニップルにチューブを差し込む。(泡が入らないように)
  • 4,フレアナットレンチでニップルのナット部分を1/4〜1/3回転ほど緩める。
  • 5,ボトルをゆっくり強く絞るように押してフルードをホイールシリンダーに送り込む。
  • 6,ボトルを押したままレンチで軽くニップルを締め込む。(締め込む前にボトルを押す手を緩めない)
  • 7,ボトルの蓋を緩め、ボトルにかけた圧を下げて空気をボトル内に送り込む。ボトルが元の形状を取り戻したら蓋を締め込む。
  • 8,リザーバータンクまでフルードが逆流していたらOK。来てなければ4以降を繰り返す。
  • 9,ホイールシリンダーのニップルを締め込み、チューブを外し、こぼれたフルードを拭き取り水で洗い流す。
  • 10,ニップル内外をよく拭き、キャップを被せ、ホイールを復旧す。
  • 11,リザーバータンクに規定量のブレーキフルードを注ぎ足して完了。

ホースと交換とフルード追加後

新しいリザーバータンクのホース↑。漏れたブレーキフルードで下部のペイントが剥げているのがわかる。一度錆止めを吹いたがすっかり剥げてしまっている。保護のためのコルゲートチューブは、汗かきや漏れの発見には邪魔かもしれない。後で下部だけにしておこうと思う。