「自動車・バイク」カテゴリーアーカイブ

FIAT 500 ワイヤリング・ハーネス全交換(Day3)

本日の作業:車体前半の電線撤去、燃料ホース撤去、バッテリー「+」ケーブル撤去、センタートンネル前部及び後部のカバーを取り外して内部配線/配管のチェック、


古いケーブルのボリュームは昨日撤去した後ろ半分よりずっと少ないが、せっかく新調したコラムスイッチの線を丁寧に外したりしてたら結構時間を食ってしまった。その他はにっぱーでバチバチ切断しながらの作業だったので難しいことは何一つなかった。(もう慣れたもんで、HAL 9000のような哀願の声も聞こえず、淡々と、、、)

ところが、やはり一筋縄ではいかない。本来ならセンタートンネル内を通っているはずの燃料ホースとバッテリー「+」ケーブルだが、前者は助手席の右足元を這って、在るべきはずのない孔からエンジンベイへ入っていっていた。しかもその孔にはグロメットがついてない!(恐ろしや、、、)。後者は、バッテリーがエンジンベイに移設されていたためにセンタートンネル後部のカバーに無理やり切り込んだ隙間から後部座席足元のキルスイッチに至り、再びエンジンベイへと戻っていた。これらを撤去する時に、いままであえて見ないようにしてきた現実に向き合わなければならなくなった。

燃料ホース(白いタラップ付き)とバッテリーケーブル(黒いプレートから生えてる)の状況。

まず、燃料ホースとバッテリーケーブルが正規のルートを通ってないだけでなく、センタートンネルトンネル内のチョーク、スターター、ハンドブレーキ、スピードメーターなどのケーブルが車体後部へ出る孔の位置が正常と違っているものがあり、本来はここを通らないはずのブレーキラインもなぜか這っている、という状況。それらをちゃんとした位置の孔に戻してやりたいのだが、、、エア抜きの手間とか考えるとブレーキラインは外したくないし、、、でも、燃料ホースとバッテリーケーブルは室内をウロウロ這い廻ってほしくないからそれらの孔をなんとかやりくりして通さないといけないし、、、。しかも、どの孔にもやはりグロメットは無く、シリコンラバーのコーキングでごm化してある。(それも恐ろしい量で、モリモリと打ち込んであるため除去に苦労する)あ

一番下のワイヤーはスターター用(ここはバッテリーケーブルの通る孔で、スターターワイヤー本来はその右下の孔に在るべき)。銀色の管はブレーキライン(本来はここではなく、車体下面に在るべき)。

さらに、センタートンネルの前方カバーを外して判ったのはバッテリーケーブルの孔がコーキング塞がれていて、そこにスピードメーターとブレーキラインが通してあり、太いケーブルを通す余裕が無さそげななこと。もちろんグロメットを入れる余裕も無い。

本当ならできる限りオリジナルの配線・配管に忠実でありたいと思っていたが、これらの「間違い」を全て正そうとしたら無限の手間と時間が必要になるので、今回はなんとかセンタートンネル内の現状変更を最小限にし、そこへ上手く燃料ホースとバッテリーケーブルを潜り込ませる方向でやってみようと思う。明日はどこまで進めるか、見当もつかない。


FIAT 500 ワイヤリング・ハーネス全交換(Day2)

本日の作業:バッテリートレイ撤去、エンジンベイの配線撤去、後部座席周辺の配線・配電盤・リレー撤去


温かい午後の日差しの中でのんびり配線の取り外しを、、、何なら「なんでこうなるの?」って感じでこの奇っ怪な配線の「理由」や「構造」を探ってやろう、、、というのは甘かった。

この景色も見納め。しかし、凄いですねえ~!

もの凄い量の電線が、複数ある意味不明の配電盤に繋がっていて、やたらめったらリレーも噛ませてある。譲り受けた時、前のオーナー曰く「配線がよく見えて、何がどう繋がっているか理解しやすい」と。いやいやいや、、、まるで解りまっしぇーん。エンジンベイ内部から始めたけど、途中で解明は諦めた。僕の趣味じゃないし、構造上いかがなものか、とはいえ今の所それなりに「健全に機能しているワイヤリング・ハーネスを切断するのは忍びないが、無数の端子のネジを緩めて外していたら日が暮れてしまう。いや、徹夜しても、明日になっても終わらない。

切っても、切っても、とめどなく生えてる電線、、、

ニッパーで無慈悲に電線を切断し、ボディーに闇雲に開けた孔にボルト・ナットで締結された配電盤やキルスイッチを外していると”Dave, stop. Stop, will you? Stop, Dave. Will you stop, Dave? Stop, Dave. I’m afraid.” という 2001: A Space OdysseyでAIのHAL 9000が発した台詞が思い浮かんできた。映画の中でHALはストレスから大きな過ちを犯し、宇宙飛行士のDavid Bowman博士に中枢の回路を切断されるのだが、うちのチンク嬢は特段の間違いを犯したわけでもない(あえて言えば、配電盤が火を吹きそうになったことが一度あっただけ)。線を1本切る度に「オカポン、やめて。やめてくれるでしょう?やめてよ、ね、オカポン。やめて、、、私、怖い。」とチンクが訴えてくるのではないか、とさえ思った。

あまりの分量に今日の作業は車体の後ろ半分止まりだった。日が傾いて薄暗くなった車内で “I’m afraid, Okapon. Okapon, my mind is going. I can feel it.”(「怖いわ、オカポン。ねえオカポン、意識が薄れていく。そう感じるの。」)という言葉は聞こえなかった。HAL 9000は宇宙船の乗組員を殺すという間違いを犯し、かろうじて生き残ったBowman博士は怒り狂っていたが、僕のFIAT 500は何も悪いことをしていないし、当然僕は彼女に腹を立ているわけではない。なのに、ただ「理解できない」という理由でその配線を切断しているという後ろめたさはある。黄昏れる車内で、”Daisy, Daisy, give me your answer do. I’m half crazy all for the love of you.”(「デイジー、デイジー、答えてよ。貴方への愛で気が狂いそう。」)と歌っていたのは、なぜか僕だった。

さて、午後からの作業で一気に旧配線を取り去るという目論見は脆くも潰えて、残りは明日に。先日せっかく取り付けたコラムスイッチの配線を外し、運転席から助手席にかけて膝の上でブラブラしている線をとりあえず除去する。さらにはボンネット側の線も。ダッシュボード裏側の配線は燃料タンクの後ろに隠れているから、まずはタンクを取り外さなきゃ。この日のためにここ数日は燃料残量警告灯が点いても給油しないでおいたのだった。欲張らず、古い配線が外れたら良しとしよう。(でもできたらセンタートンネル内に通すバッテリーの「+」ケーブルと燃料ホースくらい敷設したいなあ、、、)


追記:
配電盤やキルスイッチは車体に穿った孔にボルト・ナットで取り付けてあった。ボルトもナットも固定されていないから緩めようとすると供回りしてしまう。しかも、ボルトの頭は車体の裏側、手の届かないところにあるから面倒極まりない。今日、午後の作業で車体前半の配線まで取り外せなかったのはこういうつまらないことで時間を食われてしまったのも理由の一つ。後で孔を塞ぐのを忘れないようにしないと。

FIAT 500の神経を取り替えようとしているのだが、僕自身の頚椎の後ろにある神経の太い束、つまり脊髄が椎間板のヘルニアにより圧迫を受けていて指先の感覚がない。まるでゴム引き作業グローブをはめているような感じ。ネジひとつ摘むのにも苦労する。平たいところに落ちてる薄いワッシャーを拾うのさええらく時間がかかる。おっつけ作業はいままでのようにスムーズに進まない。FIAT 500の配線が酷いと悪態つく以前に、自分の身体も管理できていないんじゃね?と笑われそう。さすがに首の神経をDIYでやっつけるわけにもいかない。来月の手術に備えて、今月中旬に1泊の検査入院がある。それまでになんとかチンクの配線張り替えを終わらさねば。


FIAT 500 ワイヤリング・ハーネス全交換(Day 1)

本日の作業:車載物の撤去、バッテリーのマイナス線を車体に取り付け、エンジン(オルタネーター)のアース線を車体に取り付け


さて、年も明けて、いよいよFiat 500の全神経(血管かも、、、)の交換作業にとりかかった。つっても、クルマの中には積年のゴミやら何やらが載っている。もちろんスペアタイヤや、変な場所に移設されているバッテリーも取り外さなきゃ、、、。と、なかなか新しい配線どころか旧の配線を撤去するまでにも至らない。

正月の午後、雪の止むのを待って取り掛かったが、できたのは車載物の撤去と新調したバッテリートレイの固定、それにバッテリーとエンジンのアース線取り付けだけ。また途中で日が暮れたので、正月早々ヘッドランプ作業はせずに撤収。

今日は報告するような工作や作業もない。。。 アース線の写真を添付しておく。

明日は新しくフロント(正規の位置)に積むバッテリーのプラス線を、車体を縦断してリアのエンジンベイまで通す予定。センタートンネルを開けるついでに同じく車体を縦通している燃料ホースも取り替えるつもり。(現状では燃料ホースが本来のセンタートンネル内ではなく、車内の助手席の足元の床を這っている。しかもシート下には燃料フィルターが割り込ませてある。僕が購入後、電磁式燃料ポンプに交換したので、このフィルターとその接続部分には走行中常に圧がかかる状態になる。もしも何かの拍子にホースの固定バンドが緩んだり外れたりしたら、室内に燃料が吹き出すことになる。怪しい配線同様に燃料ホースも懸念材料だった。

それにしても先が思いやられる、、、。さっさとこれら忌まわしい配線・配管をなんとかしてしまいたいから、ひょっとしたら配線撤去を先にやっつけるかも。

 


FIAT 500 ワイヤリング・ハーネス全交換(•••の前哨戦)

何が何だか解らない、僕のFIAT 500の配線。ただわからないだけなじゃない。バッテリーもヒューズボックスもオリジナルの場所に無く、その間にキルスイッチとこれまた移動されたメインスイッチが挟まっていて、それらをつなぐ無数の電線が車体のあちこちを剥き出しのまま這い回っている。場所によってはグロメットすら省略されていてから、いつ火がでてもおかしくない。おっそろしいっ!

自分の力の及ばぬ領域は神仏に頼るしかない。。。(都合の良いときだけ、、、w)

ずーっと昔、このチンク嬢がウチに来てくれたときからこの問題はあからさまで、早晩ワイヤリング・ハーネス総取っ替えが必要になることは判っていた。が、いろいろあって、、、ていうか、面倒い、、、ていうか、FIAT 500の配線は比較的簡素であるにもかかわらず、ちょっと怖気づいて、今の今まで明日延ばしにしてきた。

希少な右ハンドル車であるがために実にうちのお嬢は手間がかかるのだ。右専用のワイヤリング・ハーネスは市販されておらず、左用配線にそれなりに手を加える必要がある。さらに、弱い電装を補うために施したライト類のLED化で追加した整流ダイオードや電子リレー、他にもいきあたりばったりで後付けした補機類が配線の混乱に拍車をかけ、それらを正す邪魔くささを思うとつい現実逃避に走ってしまうのだった。

FIAT 500F 後期用のワイヤリング・ハーネス。回路自体は今どきのバイクより簡素だが、そこは間違っても「クルマ」なんで流石にボリュームがある。

もちろんいつでも作業に取りかかれるように、ワイヤリング・ハーネスの新品はもちろん、グロメット、ギボシ端子その他の細々とした配線部品、それに右ハンドル仕様に改造したウインカー/ヘッドライトのコラムスイッチはバッチシ用意してあった。新しく入手したバッテリーをオリジナルの位置(フロントフード下)に戻すべくバッテリートレイも製作。(それでも部品や配線図を眺めては白昼夢の中を彷徨いながら「作業のイメージトレーニング」に耽るだけで、現実は一向にお尻が上がらなかった)

ところが先日、ついに耐えかねた古いコラムスイッチが悲鳴を上げ始め、本格的な改修を待たずにこれを取り替えるハメに。傷んだコラムスイッチはレバーの節度が無くなり、ホーンも鳴らないグダグダ状態だったが、このまま手を拱いていては他の電装部品や配線にトラブルが起きるのも時間の問題だ、と危機感を覚えた。いよいよ年貢の納め時か!

さて、いつもどおりダラ長い前置きだったが、これ以降は本題をちゃちゃっと手短に記す。要するに、ワイヤリング・ハーネスの引き直しに着手、、、の前段階(ん?まだ前段階かい!と怒られそうw)、第二弾(第一弾はコラムスイッチだった)としてヒューズボックスを製作した、という話。(さっさと書けよ!ってか?)


現状、オリジナルのヒューズボックスは失われていて、訳の分らない配電盤にてんこ盛りのブレードヒューズが刺さっている(ブレードヒューズってとこだけ、唯一の褒められる点)。今でも下図のようなオリジナルのヒューズボックスは入手可能だが、いまさら溶融線が露出してる芋虫みたいな旧式のヒューズを敢えて使う理由もないので、「今風」のブレードヒューズを差し込むヒューズボックを使うことにした。

オリジナルのヒューズボックス (”FIAT 500 Instruction Book” より)

FIAT 500の配線図によるとヒューズボックスには6系統のヒューズが置かれているが、どうせ新たなブレードヒューズ用に切り替えるのならもう2系統増やして計8系統のものを選んだ。これで、電磁燃料ポンプと後付けアクセサリー用の個別回路を確保できる。(都合よく、配線図と同じ配列で両サイドにアルファベットと数字が振ってある)

購入した8系統ブレードヒューズボックス(Amazonより)ヒューズボックスをポチったときから気づいていたんだけど、買ったものは底面から平型コネクターを差し込むタイプ。オリジナルのように両サイドから差し込むのではない。ってことは、ボディーに孔を開けるか、ヒューズボックスを持ち上げて固定するベースを作るしかない。同然、僕のチョイスは後者。

平型コネクターの「柄」の部分と絶縁スリーブ、電線の曲がり代を考えると、15mm~20mmほど持ち上げないといけない。また、差し替えなどのメンテを考えたらヒューズボックスはベースから取り外しもできないとね。

そんで、ベースは3mm厚の発泡硬質塩ビ板ででっちあげた。両サイドの高台部分は6枚重ねで18mmの高さがある。ベースとボックスを固定するのは高ナットとローレットビス。全体を車体に固定するのは強力なマグネットシート。配線の付け替えが必要になってもすぐに取り外し可能となる。これですべての材料と部品が揃った。

発泡塩ビ板は、アクリルやポリカーボネートと比べると、ある程度柔らかくて加工がしやすい。剛性はそんなにないがフニャフニャという程でもなく、底からネジを通しておけば高ナットがグラグラすることもない。ヒューズボックスなら強度に問題はない。裏に貼り付けたマグネットシートは何かをバラしたときの遺物だけど、十分な磁力でボディーに吸着するから走行の振動でズレたりコケたりすることもないだろう。

 

さて、明日から本格的に配線作業を始めよう!(大晦日だけど、、、w)


FIAT 500 シリンダーヘッドガスケット吹き抜け?

この夏ごろから冷えたエンジンを始動する際に、スターターモーターの回転と同時に「プシュッ、シュッ」というオナラみたいな変な音がし始めた。寒くなってヒーターをオン(つっても空冷エンジンの冷却空気を室内に導くだけだが)にすると排気ガスの臭いが室内にたちこめるようになった。

これは危険な兆候。一つには人体に直接危害が及ぶCO(一酸化炭素)中毒の問題。これは命に関わる。もう一つはエンジンの不具合。具体的には排気ガスがどこかから漏れてエンジンを覆っているシュラウド内部に入り込んでいる問題。後者を直せば必然的に前者の危険は無くなる。

さて、その漏れがどこに起きているか、、、。以前、排気マニフォールドのガスケットが吹き抜けて、排気ガスが漏れたことがあった。しかしこの場合、騒音は甚だしいが、排気エルボー(マニフォールド)とシリンダーヘッドの結合部はエンジンシュラウド外に露出しているので、外気より内圧の高いシュラウド内部に吸い込まれることはない。

プッシュロッドのチューブとオイルリターンチューブのシール漏れで、にじみ出たエンジンオイルがシリンダーフィンやエンジンブロックに熱せられて煙になるケースも考えたが、室内に充満する臭いは排気ガスのそれなのでこれも除外。

残るはシリンダーヘッドのガスケットが吹き抜けている場合だ。あの「プシュ」はガスケットをすり抜けた高圧の燃焼ガスがシリンダー上面とヘッド下面に掘られた「溝」で捉えられ、ヘッドにねじ込まれた中空ボルトから排出される音だったんではないか?それにしても、その安全機構すらすり抜けてシリンダーヘッドの外側にまで漏れ出ているのだから、状況はあまり良くない。

ガスケットから漏れた排気ガスを、シュラウド内部(ひいては乗員室内)に出ないよう、シュラウド外部へ放出するための中空ボルト(シュラウド固定ボルトも兼ねている)。カーボンで汚れたオイルが滴り落ちそう。

果たして完全にガスケットが変形したり破れたりして本当に「吹き抜け」ているのか、あるいはいつの間にかシリンダーヘッドを締め付けているナットが緩んで隙間から排気ガスが漏れているのか、、、。後者ならヘッドの増し締めで「直ることもある」が、そもそもヘッドを外さないのだから状況の確認すらできないので、傷んでしまったガスケットを上からいくら増し締めしても詮無いことだ。よしんばナットの緩みだとしても、一度できてしまった抜け道にはカーボン等が付着してガスが通り安くなっているから、一旦は漏れが止まってもいずれ再発する可能性は否定できない。早晩漏れが起きるのであればいっそここはシリンダーヘッドを外してガスケットの交換をすることにした。

一般にシリンダーヘッドを外すのはちょっと厄介な作業だが、幸いFIAT 500はエンジンを降ろさなくてもOK。シュラウドすら外さなくてもシリンダーヘッドとその上のロッカー機構(タペット)を上に抜き取ることができる。ただ、エンジンの裏側にある排気エルボーのボルトを抜く作業はやはり面倒。それに加えて、ここ最近は僕自身の首の不調で指先が痺れて箸や鉛筆すらまともに使えないし、右手右腕が満足に動かないので電動工具も片手で持てない。手工具の扱いもあやしいから、小さいとはいえエンジンを抱えるようにして、後ろに隠れたボルトを外すことはほぼ不可能。

そこで、いつも手に余る仕事をお願いしている近所のグッド自動車に頼んでみた。ところが、年末のここに来て明日から暫く寒波が襲来し京都でも雪が積もるという予報で、ただでも忙しい時期に、タイヤ入れ替えが殺到して、とてもFIAT 500まで手が回らない様子。(僕より年上の社長さん、、、いやオヤジさんが自らチンクのようなオールドタイマーを診てくれるのは商売というよりほぼ趣味に近い。商売が忙しい時期に趣味に時間を割いてくれ、とはとても言えない)

今朝も電話をもらって「一旦預かって代車を出すが、合間合間にしか作業ができないから、年内に直せるかどうか、、、」と。儲けにもならないチンクの修理に気を揉んでもらっているのが、こちらとしても申し訳ない。それで決心。シリンダーヘッドの増し締めなら排気系をいじらずに自分でもできる。それで漏れが止まる保証はないし、直ってもまた漏れが再発する可能性もある。それでも、いつも世話になりっぱなしのオヤジさんに心置きなく仕事に専念してもらうためにも、ここは一つ自分でやれることを先ずはやってみるしかない。

やることは簡単。(必ずしも以下の順序でやったわけではないが)

エンジンルームの様子。汚いけど、外からは排気漏れは判らない。(近々、ワイヤリングハーネスを総取っ替え予定なので、変な場所にあるバッテリーもそのうちおさらば。)
シリンダーヘッド増し締め
  1. プラグコード、点火プラグ、タペットカバー(ロッカーカバー)につながるゴムホースを取り外す。(シュラウドのプラグアクセス孔はウエス等で塞いでおく)
  2. タペットカバーを固定するナット、ワッシャー(鉄と樹脂)、パッキンを取り外す。(オイルフィラーキャップは付けたままでOK)
  3. キャブレターのリンケージアームを外し、キャブレター下部のナット、ワッシャーを外して、キャブレターを取り除き、その下のインシュレーター、ガスケットも取り外す。(エアクリーナーからのパイプは外すが、スロットル、チョークのケーブル類、ガソリンホースはキャブレターに付けたままでOK。吸気孔にナット、ワッシャー等を落とさないこと。)
  4. ロッカーシャフトを固定するナット(13mm)を外し、タペット(ロッカーアームAssy)をロッカーシャフトごと上方へ引き抜く。
  5. シリンダーヘッド固定ナットを増し締めする前に、一旦全てのナットを緩める。(すでに締め付けトルクにムラが生じているのは明らかなので、ヘッドの歪を取るためにもいきなり締め込まない)
  6. トルクレンチを用いて指定された順序で、先ず2.5kgf・m(24.52Nm)のトルクセッティングで仮締めをする。
  7. さらにトルクレンチを3.3kgf・m(32.36Nm)にセットして本締め。指定順序で一周してから再度、同じトルクで締め付けを確認。
  8. ロッカーシャフトを元の位置に戻し、ナット(13mm)を2.1kgf・m( 20.59Nm)のトルクで締め付ける。(片方を一気に締めず、均等にトルクを増していくほうが良い)
ロッカーカバー(タペットカバー)を外した状態。オイルは若干黒ずんでいるが、内部の金属にはスラッジ等の汚れ付着がまったくない。
ロッカーシャフトを取り外す。
シリンダーヘッドナットの仮締め(本締めのトルクは3.3kgf・m)
タペット調整
  1. 19mmのレンチをダイナモ(オルタネーター)プーリー軸のナットにかけて時計方向に回し、クランクシャフト側プーリーの合いマークがエンジン側の矢印マークに対向するまで回す。その位置が片方のピストンの上死点。(反時計回りはNo Good!)
  2. 2つのピストン/シリンダーの内、上死点になっている方のロッカーアーム(給排両方)の、タペットアジャストナットを緩める。0.15mmの隙間ゲージ(フィラーゲージ、、、本当はフィーラーゲージ)をバルブのステムエンドとロッカーアームのスリッパーの隙間に差し込み、前後させて動きがシブくなる位置にタペット調整ボルトを回す。ボルトの位置が決定したらボルトの頭をラジオペンチ等でつまむか専用のレンチで固定しながらナット締め付ける。調べてみたがトルク不明のため手の感触、つまり山カンで1kgf・m(9.8Nm)ほど。ナットを締め込むと若干隙間が変化するので、必要に応じて調整を繰り返す。
  3. 一組(給排)のタペット調整が済めば、再度クランクシャフトを時計回りに1回転させ、もう片方のピストンの上死点を出し、上記同様にタペット調整を行う。
  4. キャブレターインシュレーター、ガスケット、キャブレター本体をナット、ワッシャーで取り付け、リンケージ、エアクリーナーからのパイプ、も復旧する。
  5. タペットカバーを復旧し、13mmのナット、ワッシャー(金属と樹脂)で締め付ける。(トルク不明のため山勘で、強すぎない程度に締め付ける)
  6. タペットカバーのブリザーホース、点火プラグ、プラグコード、エアクリーナーのフタ等を復旧する。

FIAT 500のタペット調整はこの↓動画で見れる。イギリス英語は僕でも聞き取りが大変だけど、やってることは同じなので、見るだけでも参考になると思う。

例によって、午後遅くから始めた作業は日が暮れても終わらず、しかも途中で雨が降る始末。それでもなんとか形態的には元に戻った。後は機能が回復しているか、、、

試運転

さあ、おかしな部品が残ってないか?ネジの締め忘れは無いか?(っつっても、もうタペットカバー閉じちゃってるしなあ、、、(笑)

慎重に、ていうか恐る恐るスターター・レバーを引いた。一発始動。「プシュッ」は無い。排気ガス臭くもない。「うをっ! 音が違う!! 「そうそう、前はこうだったなあ(遠い目)」。音は、異状が発現してから症状の悪化がゆっくり進んだもんだから、それに少しずつ慣れてしまい、気にならなくなっていたのだろう。暖気アイドリングの状態で、もうこれは大丈夫という自身が湧いてきた。走り出しても臭くない。わざと普段は避けている原谷へ登る峠の急坂でも、問題なし。あとはこれがいつまで持つか?というのが目下の心配。年が明けたらグッド自動車も少しは落ち着くだろう。それまで持ってくれよ、チンクちゃん!