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Fiat 500 の難儀

昨日、あまり走りたくない雨の中、街からの帰途を急いでいたら、谷底の千束を抜けてクマ、シカ、イノシシが闊歩する薄暗い府立大の演習林に差し掛かった時、突然「バンッ!」と大きな音がした。

直ぐに停車して、音が聞こえたエンジンルームを覗いてみた。「あ〜あ・・・」。ケモノたちもびっくりするような声が出てしまった。原因は一目瞭然。

切れたファン/オルタネータベルトが暴れて電気配線とか傷つけなくて良かった。

旧車に乗る以上こんなこともあろうかと予備のVベルトも工具も積んでいたが、削れたゴムの粉で手を真っ黒にして、心も辺りもタソガレる森の中で藪蚊に刺されながら小糠雨に濡れてまでやりたい作業じゃない。

幸い家まではあと数分。一か八かこのまま走らせようか一瞬迷ったが、エンジンかけてアイドリングしてみたら、油圧警告灯が点いてないから何とか帰り着けると踏んだ。冷却ファンも発電機も働かないまま走り出した。やや暫くは平坦で、家まであと200mのところから胸突き八丁ならぬ胸突き二丁の急坂。エンジンの音や臭を気にしながら登りきった。

家に辿り着いたが、ファンが回ってないからアイドリングでもエンジンはどんどん熱くなる一方で、まして坂を駆け上らせたのだからすぐにも止めたいのだけど、少しオイルを回らせてからの方が良いかも、、、とか、優柔不断で1分ほど様子見。

いつもの暑い夏なら街なかから帰ると、ファンベルトがあっても熱でオイルがシャバシャバになり油圧警告灯が点くときもあるけど、何故か今は、手負いのエンジンなのに警告も出ず、涼しい顔(は無いけど)でフツーに回ってる。今年の長雨のおかげで気温が低いせいか?それとも、切れたベルトが飛び散った弾みで警告灯の配線が外れているのかも、、、

とか何とか考えていたら、ふと我に返り、このまま回しておいたら確実に焼け付くわけで、いかんいかんとエンジンを切った。もう暗いし、雨降ってるし、もういいや、とエンジンフード開けずに家に入た。

夜のうちにVベルトの予備の予備を発注しておいた。明けて、(といっても夕方だけど、、、)さっき、まだベルトは届かないけど、いつ緊急でチンクに働いてもらわないとも限らないので取って置きの予備ベルトを取り付けた。

元々、Fiat 500 のファンベルトは10×800という欧州の規格(巾10mm、周長800mm。今回、切れたやつもそれ。

巾10mmは、日本ではM型というVベルトで、何故か(ていうか、まあ文化的植民地なんで)アメリカ的なインチ表示になっている。周長800mmはほぼ31.5inch。さっき取り付けた予備のも表示が「MPMF1315」だから最後の3桁からこれに当たる。

ところが、これ、ちょっと高かったような記憶があるので、スタンダードな安いのを探したが昨夜は寝ぼけ眼でこれを見つけることができず。三ツ星とバンドー化学というベルト専業メーカーのカタログにも、M型がほとんど出てこない。。。仕方ないので、なんとか行き当たった少し短めのM型31インチをとりあえず確保。結局、安いのはヤメにして、切れにくいちょっと上位品を買ったので元の予備のよりもっと高価に。(つっても送料込みで2000円しないんだけど、スタンダードのは500円くらいだからねえ、、、ちなみに、どうもM型というのは専ら自動車用らしく、汎用Vベルトカタログには出てこないのかもしれない)

気を取り直して、今日もう一度調べてみたら、「MPMF1315」そのものもあるし、他にもコグ(歯状の凸凹)付き省エネ型もあるし、、、何や、選び放題やん。でも、まあ『コグ付ベルトは切れやすい』という評価コメントを見つけて、高くても、省エネじゃなくても、長持ちしてくれりゃエエ、と自分を納得させた。(でもね、Vベルトの構造って、特に強度を保ってるのはゴムの部分じゃなく、背の部分の繊維レイヤーだから、ゴムに切り欠きがあろうがなかろうが、強度や耐久性には関係無いんだけどね、、、)

そんなことまるで無関心に、当のチンク嬢はいつもの通りノホホンと微笑んでいるのであった。。。


Fiat 500 の点火系を更新

まず、コイルの交換。以前、2気筒同時点火のためにハーレー用のコイルに取り替えて、ディストリビューターによる失火が無くなり、以後、快調だった。ポイント点火用のコイルは一次側抵抗が5Ω前後あるのが一般的で、その時入手したのも5Ωのものだった。

が、最近になって、ヘインズのマニュアルで1次コイルの抵抗は3.2Ω以下はダメ、となっているのを見てしまった。てことは5Ωだとダメじゃないけど、抵抗大きすぎじゃね?と。抵抗が大きいと発熱しないのでコイルには良いんだけど、点火するための電磁エネルギーを溜めるのに時間がかかるから、高速回転では追いつかなくなる。エネルギーが溜まりきらないまま点火すれば、当然点火プラグのスパークは弱まる。普段、高速道路とか走らないからあまり気にはならなかった。むしろ、低速走行では機嫌よくエンジンが回ってくれる。

問題はコイルじゃなく、このコイルに溜めたエネルギーで一気に高電圧を発生させるために、ポイント(コンタクトブレーカー=一種のスイッチ)を開放するのだけど、このポイントが発生する火花で表面が荒れたり減ったりするし、またポイントを開閉するためのカムのヒールが摩耗したりして、数千キロごとにメンテナンスが必要になること。まあ、火花吸収のコンデンサがいかれたとかじゃない限り、ポイント自体は1万キロやそこらでは寿命にならないから、コマメな調整は苦にはならないんだけど、、、

先日もドエル角(ポイントが閉じて通電し、コイルに電磁エネルギーを溜めるための、カムの回転角度)やポイントのギャップの調整をやった。ポイント摩耗により点火時期も狂ってくるので、エンジンの回転に違和感が出るのだけど、少しずつ進行するから気が付きにくい。もともと、低速走行中にアクセルを踏み込むと少し息つきする傾向があったのだけど、踏み込み具合を微妙に調整することで回避できた。というか、症状が進行してもそれに慣れてくると、自然に足が対応してしまう。ただ、それも限界がある。

話が逸れてしまった。ポイントに不満や不安があったわけじゃないし、ポイントやドエル角の調整が嫌いではないけど、もっと効率の良いものがあれば試してみたい「性分」なので、電子式の点火機構を導入することにした。同時に、コイルも電子点火に適合した3Ω(2気筒同時点火)のものに変更する必要がある。

Fiat 500(に限らず、ポイント点火の古い車)を電子式の点火にするには大きく別けて、(ここではCDIは除外して)セミトランジスタとフルトランジスタがある。前者はポイント(コンタクトブレーカー)の機構を残して、その開閉で点火のタイミングを取るので、ポイントのメンテが必要になる。一方、後者は物理的な接触を伴うポイントを廃して、回転する磁石やLEDの光でタイミングを測るから、物理的な接触がなく、ポイントそのものが必要なくなる。また進角を元のディストリビューター内にあった遠心力やバキュームを使う原始的(だがシンプルな)ものから、電子回路を備えて単純な進角だけでなく、ドエル角の調整まで行うものもある。

トランジスタ点火を導入するにあたって、アンプと呼ばれる大掛かりな装置をディストリビューターの外に設置するものは高価で始めから除外したが、始めに検討したのはIgnition 123というものだった。これはディストリビューターの中身(ローターとコンタクトブレーカー、それに進角機構の一切合切)を全て取り払い、エンジンの回転数から点火に関すること全般をコントロールしてくれるので、たしかに効率は良くなるはず。ただ、少し高価なのと、出先でぶっ壊れた時に一時的にポイント点火に戻すには、ディストリビューターの主要部品をすべて元に戻さなきゃならないので、ちょと手間がかかる。

Fiat-500
123 ignition for FIAT 500 123ignition.comより

次に検討したのは、進角に関しては元々の物理的な機構をそのまま利用するタイプなので、上記の123のような至れり尽くせりの機能は期待できないが、その分だけ電子回路も単純だろうから故障しにくそうだし、なにしろ値段が安い。このタイプはいろんな会社からたくさん種類が売られているが、なんか、どれも同じものに見える。多分、中のICかLSIか知らんけど、ほぼどれも中国製のワンチップで後は磁力センサー付けただけだろうからどれでも同じじゃね?と比較的安いものを買うことにした。(でも最安値はよう手をださん)。トレーラー牽引の登録で陸運局にエンジン諸元の提出を求められたときに、Italosportエンジンの資料を提供いただいた kitaさんに、苦しい時の神頼みで色々うかがった。が最終的に比較した2つのイギリス製、AccuSparkとPowerSparkは、やはり同じものだろうというご意見だった。

手に入れたのはPower SparkK35で、2気筒のFiat 500 用のもの。値段は£39.95、約6100円ほど(VAT抜き)。で、何故か1割引クーポンがあって、そこに送料が£9ほど。計£42.19、約6450円。他にも色々と似たようなものが売られているが、あれこれ比較の上、これをポチった。高いのか安いのか、ようわからんけど、とりあえずポイント周りをあれこれ調整したり、メンテしたりからは開放される。

K35 - Powerspark Electronic Ignition Kit for Magneti Marelli 2 Cyl Distributor
PowerSpark for FIAT 500 with Magneti Marelli distributor

コイルは上述のように従前のハーレー旧タイプ用5Ωではダメなので、同じくハーレー用のトランジスタ点火対応の3Ωのものを新古品をヤフオクで安く入手して取り付けた。ハイテンションコードはあまり安物を使うと電子回路に影響が出るらしいが、既にそこそこのシリコン皮膜にカーボンコアのものをおごってあるからこれで良さそげ。

ハーレー スポーツスター XLH883 1200
ハーレースポーツスター XLH883 1200cc 用点火コイル

この手の電子点火装置は、物理的スイッチであるポイントのみ電子スイッチに置き換えるだけなので、進角機構はオリジナルの遠心力/バキュームのコントロールを残している。取り外した部品を携行していれば、出先で故障の際にはすぐに元のポイント式に戻せる利点がある。ただし点火時期は簡易的な合わせ方しかできないし、コイルの抵抗が規定の3.2Ωより僅かに下回っていて、電流が多く流れ過熱するのであまり長くは走れない。それでも応急的に家まで乗って帰るくらいは可能だから安心感がある。

PowerSparkはイギリスから半月で届いた。取り付けは、ディストリビュータキャップを外し、コンデンサ(キャパシタ)とポイント(コンタクトブレーカー)を取り除いたあとに、何の加工も不要のポン付け。点火時期を調べたが、狂ってなかったので無調整。うちのチンク嬢は元々、エンジンのかかりがとても良い人だったので、始動性が変わった感じはないが、走らせてみると、最初に同時点火コイルに換えた時のように、エンジンの回転がまた一段とスムーズになったのが体感できた。高速走行からの加速も、登坂も力が増したように感じた。これで6500円でお釣りが来るのだから安い。あ、コイルは3500円。じゃ、計10000円か。。。それでも悪くない。

これで、ポイントギャップやらドエル角やら、それらの調整不足による不具合の心配はなくなった。調整サボリによる不調はともかく、旧式であればあるほど目視で故障箇所が確認し易く、修理対応も比較的簡単。しかし電子的な機構に頼る今度の点火システムは、物理的に壊れたり機械的摩耗による不調は起こりにくいが、半導体は熱に弱いかもしれないし、そうでなくてもICなどはポックリと突然死することもままあり、しかも外見からは何がなんだか判らないので修理のしようもないから、どちらが良いかは判らない。

ま、そんな「かもしれない」をいちいち気にしていたらFiat 500には乗れない。とりあえずエンジンは快調になったのだから、これでひとまず正解なんだと思う。


Fiat 500 トランスミッション・ディファレンシャル ギアオイル交換実施

昨日、ギアオイルの交換準備で加圧式の給油缶を作った。なかなかうまく出来てるんじゃね?(笑)

ホースをつなぐまえの給油缶

今日はそれを使う。自転車用空気入れで加圧できることは確認済み。いよいよ缶にオイルを入れて、、、ていうか、気の早い僕は昨日のうちにオイルを給油缶に移し替えてあるから、、、後はギアボックスに入れるだけ。

水平面に駐車した状態でないといけないので、家から50mほど離れた場所で作業開始。オイルを入れるには、ジャッキアップして傾けられないので、ちっさいチンクチェントのケツの下に潜るのがとても面倒くさい。地べたにダンボール敷いて、ズリズリと滑り込む。

Fiat 500 のトランスミッション・ディファレンシャルギアオイルはゲージがないから、給油口から溢れ始めたらそこが適正レベル。まず、クルマの下で給油口のプラグボルトを外し、ドレーンボルトを外して古いオイルを抜くのだが、そこでレンチを取っ替え引っ替えして作業するのは本当に疲れる。しかも梅雨の晴れ間は暑いし、蚊も飛んでくる。

ドレーンから出てきたギアおいるは、、、なんと500ccもないかもしれない。どこにいっちゃったんだろ?下からダダ―っと漏れてる風でもないが、よく見ると、ドレーンプラグに僅かにしずくが付いていた。滴下してないので一日置いても1滴あるかないか、、、1年半でこんなに無くなるのか?しかし、危ないところだった。このところはコロナのご時世で遠出をしてないから、壊れずに済んだが、、、。それと、プラグボルトには鉄粉回収用に磁石が付いているはずなのに、外したのには何もない。当然鉄粉もついてないが、幸いオイルは減ってはいたがキラキラ鉄粉が浮遊してる様子はない。とりあえず潤滑性能の高いオイルを規定量(1.1リッター)入れてやらねば。

何とか古オイルが抜けたのでドレーンボルトを元に戻し、ホースを給油口に差し込んで、外に出た。いよいよオイル缶に空気入れをつないでポンピングしてみたら、、、軽い!これなら潜り込んでやる面倒なネジ外し作業を補って余りある楽チンさだ。これでギアオイル(80W90 LG-5)を1缶、1リッター、それでは少し足りないのでさらに100cc+αを注入し、プラグボルトを戻して、作業完了。ご丁寧に緩み防止のワイヤリングが施されているので、一応その脱着も含めて、作業は15分もかからない。いや、10分だったかも。

ポンピングの様子↓

復旧がすべて終わり、下から滑り出ようとした瞬間に、車体の下からはみ出した下半身の半ズボンとスリッパの素足にポツリポツリと雨が落ちてきた。工具を濡らしたくないので、とりあえずダダ―っとかたしてガレージに運び込み、運びきれなかったダンボールその他を取りに行く頃には土砂降りで、びしょ濡れになってしまった。あと数十秒、作業が長引いていたら、、、。チンクの下で雨宿りになったかも。あ、でも、工具は濡らしたくないから、やっぱ出ただろうな。


Fiat 500 トランスミッション・ディファレンシャル ギアオイル交換の準備

どうも、今、Fiat 500 のトランスミッションとディファレンシャルギアのオイルはFiat指定のSAE 90 S EPゃないような気がする。

現在このSAE 90 SEは通販サイトでも品切れ、というか販売終了で、手に入らない。前回の交換時にクルマの整備工場でも入手できず、よく解らないまま「同じ粘度なら何でも良い」と言ってしまったような気がする、、、。自己責任じゃん、、、。

以来、ギアをシフトする時にどうも渋い感じがして、それまでシフトアップでは必要なかったダブルクラッチを踏まないとギア鳴きが起きることも。また、症状はでていないがトランスミッションと同じオイルバスを共用しているディファレンシャル機構もやばいかも。

というのは、このSAE 90 EPの「EP」っていうのが「極圧」(Extreme Pressure)のことで、このタイプのオイルにはリンや硫黄の添加剤が配合されていて、ギアの表面に高圧に耐えて潤滑性能を保つ皮膜を作って摩耗を防ぐのだとか。

しかし、上に書いたようにもう売ってないので、代替品をさがした。どうやら同じような添加剤が入っているギアオイルはGL-4あるいはGL-5というグレードらしい。少々高いが、せいぜい1.1リッターしか必要ないので良しとしよう。(GL-4より5のほうが添加剤の配合が多かったり内容がちがってたりで、潤滑性能は上ということだが、シンクロの真鍮部品を溶かすとか、、、500と同系統のエンジンだけどシンクロの付いた126やそのエンジンのお下がりをいただいた500RにはEPを使わないと聞いたことがある。逆に言うとノンシンクロの並の500なら4でも5でも良いんじゃね?てんで、GL-5にした)

古オイルを抜いたあと、新しいオイルは車体を水平に保ったまま給油しないといけないので、ジャッキアップせずに潜り込むことになるが、これはかなりきつい。SAE 90というオイルは硬い(粘度が高い)ので、漏斗とかじゃなかなか落ちてくれない。そもそも、地面にへばりついて、クルマの下でにっちもさっちもいかない状態で漏斗をどうせえ、というのか、、、。

トランスミッション・ディファレンシャルギアボックスを下から見たところ。右の矢印がドレーンボルト。左のが注油口兼油面レベル確認孔。ここまでオイルを入れて、溢れたらプラグボルトを締める。

そこで、先達の残してくれた情報を当たってみると、数千円もする専用のポンプを使う以外にも、オイルをシャンプーの容器に入れて押し込む、ペットボトルにポンプとホースをつないで空気圧で圧送する、醤油チュルチュル(灯油ポンプ)でも間に合う等々が書かれている。数千円の専用ポンプは論外として、以前、アメリカにいるときにMG Midgetのトランスミッションオイル交換で、手押しポンプを使ったら、めっちゃ硬くて、手が辛かったり、圧力に耐えかねたホースの継ぎ目から漏れたオイルで手が滑り、ますますやりづらかったのを思い出したので、チュルチュルはパス。空気圧で楽する方法を取ることに。

バルブキャップを外し、自転車用の空域レをつないで、いつでも給油準備OK.

ペットボトルでもいいんだけど、うちには1リットルのオイル缶が転がっているので、それにXL250Sのリアショック改造用(蘇生)に買ったけど使わなかったホイール用空気バルブをねじ込んで、こいつにタイヤの空気入れをつなげばOK。缶の蓋にパイプを取り付けて、エポキシパテで固定、気密化して、パイプにホースを挿し込んで取り付けて完成。(ホースは耐油じゃないけど、一回こっきりなんでこれもOK・・・ いや、また使うかな?)

はたして、給油缶の性能やいかに?

次回、オイル交換実施に続く


Fiat 500 キコキコ異音とバッテリーケーブル断線

以前、フロントサスの異常で、段差を越える度に「ガシャ」とか「グシャ」という異音が出ていたことがある。それだけにとどまらず、フロントフェンダーに上から体重かけて上下に揺すると「キコキコ」という金属の擦れる音もした。

サスの異常はアッパーアームのゴムブッシュのカラーが何故か完全に隙間が開くほど摩耗していたのが原因だった。これで恐ろしいような音は出なくなった。けど、まだ車が揺れる度に出るキコキコは消えなかった。走りながら耳を澄ますと、どうも前ではなく後ろの方から聞こえてくるようだった。

エンジンマウントのスプリングやラバーを取り替えるためにジャッキアップしたとき、ついでに下回りをチェックしようと馬をかませて潜り込んだ。そしたらヒーターダクトの中間部がリアのスイングアームに干渉しているように見えた。以前のオーナーは何故かヒーターを取り外していて、この部品が無かったから僕が後から追加したものだ。ラバーダクトとの兼ね合いでボディーの底に上手くネジ止めできずに適当にぶら下げておいたものだから、だんだん垂れ下がってきたのだろうと、今度は固定した。また、チョークかスロットルか何かのケーブルがボディーに当たっている部分を見つけたので、適当なチューブをかぶせてタイラップで留めて置いた。これで変な音は出なくなった。

ところが、それからほんの数日後にはまた、例のキコキコ音が始まった。実は先般の潜り込みで、サイドブレーキのケーブルもボディーに干渉しているのを見ていたけど、アウターケーブルには樹脂の分厚いコートがあるのであんな金属の擦れる音はするはずがないと、放ったらかしにしてあった。でも、ひょっとしたら樹脂コートが摩滅してアウターケーブルの中の金属チューブが直にボディーと接触しているかもしれないと思い、またジャッキアップして調べてみた。

まず目についたのは、ヒーターダクトが本来なら2本のネジで留まっているはずのところを、先日は手を抜いてやり易い方の1本だけで固定していたこと。そのためラバーダクトに押されて傾いている。これをちゃんと正式な固定方法に直した。その時、バッテリーのケーブルと思しき太い電線が本来の経路じゃないところに通してあるのが発覚。ヒーターダクトに挟まって邪魔くさい。また、そのダクトの固定ネジに共留めしなければならないので、クランプを引っ張って移動させるのに結構な力が必要だった。車の底の下の狭い空間ではやりづらいこと甚だしい。

さらに、サイドブレーキのケーブルはボディー中央付近で後方に向かって二股に分岐していて、その両方ともが後輪の手前でボディーに当たっていたから、前回と同じようにチューブをかぶせてタイラップを巻いてやった。ついでに、一時しのぎかもしれないけど接触部分にグリスを塗ってやった。

日も傾き始めた頃、作業を終えてジャッキを下ろし、試運転しようとスターターレバーを引いた。「・・・」あれ?もう一度「・・・」(汗)。

ヘッドライトも補器の照明も点くし、電磁ポンプもいつもどおりカタカタと鳴っている。なのに、セルだけがウンともスンとも言わない。ああ、何てこったい!明日は友人から荷物運びに車を出して欲しいと頼まれているから、何としても今日中になんとかしなくちゃ。。。慌ててフューズを全部調べたけど切れてるものはない。前のオーナーのおかげでスパゲッティみたいに縺れ絡み合ってるワイヤリングハーネスを辿らなきゃなんないのか?もう日が暮れるというのに、、、。

まずはエンジンの裏側にあるスターターモーターを、iPhoneのカメラで覗いてみる。端子が抜けている様子はないな。そんで、次に大もとのバッテリー。エンジンフードを開け、アース(マイナス)ターミナル揺すって緩みを調べるが何ともない。ケーブルもしっかりしている。。。が、プラスのケーブルが赤いショート防止カバーの下で何か変。引っ張ったらスポッと抜けた。ありゃりゃ、、、?

メガネ端子のカシメが緩く、さっきヒーターダクトを固定するときに引っ張ったので抜けてしまったのだろう。ていうか、これ、スターターモーターに直結されている専用ケーブルのはずなのに、何でヒーターダクトの方まで回ってるの?(前のオーナーによってバッテリーはオリジナルのフロントフードの下から後部のエンジンルームに移設されているし、また後付けされたキルスイッチとスターターは別回路なので、意味が解らん)

それに、本来ならプラスの線には赤いケーブルが使われているはずが、マイナスと見分けがつかない黒線になっている。ったく!でもまあ、それを承知で買ってもうかれこれ7、8年経つんだから、いまさら文句言っても始まらない。バッテリーケーブルが手で引っ張ったくらいで抜けるような状況なら走行中に振動で外れてもおかしくはない。今で良かったと思わないと。。。

良かったと言えば、明るいうちから作業を興味津々見ていたお隣の子どもたち姉弟も晩ごはんに帰る時間になったとき、お姉ちゃんが家から小豆アイスバーを持ってきてくれた。有難う。ごちそうさま。

もうあたりは薄暗くなっているし、謎の電気ケーブル取り回しを詮索するより、まずは断線を修理して明日に備えなきゃ。アイスも食って元気回復したし。てんで、ケーブルを端子に挿し込んで、バイスグリップで思い切り噛み潰して、めでたく修理完了。今の所、キコキコは解消し、もちろんスターターも快調。さて、これがいつまで持つか?(笑)