本日の作業:バッテリートレイ撤去、エンジンベイの配線撤去、後部座席周辺の配線・配電盤・リレー撤去
温かい午後の日差しの中でのんびり配線の取り外しを、、、何なら「なんでこうなるの?」って感じでこの奇っ怪な配線の「理由」や「構造」を探ってやろう、、、というのは甘かった。
もの凄い量の電線が、複数ある意味不明の配電盤に繋がっていて、やたらめったらリレーも噛ませてある。譲り受けた時、前のオーナー曰く「配線がよく見えて、何がどう繋がっているか理解しやすい」と。いやいやいや、、、まるで解りまっしぇーん。エンジンベイ内部から始めたけど、途中で解明は諦めた。僕の趣味じゃないし、構造上いかがなものか、とはいえ今の所それなりに「健全に機能しているワイヤリング・ハーネスを切断するのは忍びないが、無数の端子のネジを緩めて外していたら日が暮れてしまう。いや、徹夜しても、明日になっても終わらない。
ニッパーで無慈悲に電線を切断し、ボディーに闇雲に開けた孔にボルト・ナットで締結された配電盤やキルスイッチを外していると”Dave, stop. Stop, will you? Stop, Dave. Will you stop, Dave? Stop, Dave. I’m afraid.” という 2001: A Space OdysseyでAIのHAL 9000が発した台詞が思い浮かんできた。映画の中でHALはストレスから大きな過ちを犯し、宇宙飛行士のDavid Bowman博士に中枢の回路を切断されるのだが、うちのチンク嬢は特段の間違いを犯したわけでもない(あえて言えば、配電盤が火を吹きそうになったことが一度あっただけ)。線を1本切る度に「オカポン、やめて。やめてくれるでしょう?やめてよ、ね、オカポン。やめて、、、私、怖い。」とチンクが訴えてくるのではないか、とさえ思った。
あまりの分量に今日の作業は車体の後ろ半分止まりだった。日が傾いて薄暗くなった車内で “I’m afraid, Okapon. Okapon, my mind is going. I can feel it.”(「怖いわ、オカポン。ねえオカポン、意識が薄れていく。そう感じるの。」)という言葉は聞こえなかった。HAL 9000は宇宙船の乗組員を殺すという間違いを犯し、かろうじて生き残ったBowman博士は怒り狂っていたが、僕のFIAT 500は何も悪いことをしていないし、当然僕は彼女に腹を立ているわけではない。なのに、ただ「理解できない」という理由でその配線を切断しているという後ろめたさはある。黄昏れる車内で、”Daisy, Daisy, give me your answer do. I’m half crazy all for the love of you.”(「デイジー、デイジー、答えてよ。貴方への愛で気が狂いそう。」)と歌っていたのは、なぜか僕だった。
さて、午後からの作業で一気に旧配線を取り去るという目論見は脆くも潰えて、残りは明日に。先日せっかく取り付けたコラムスイッチの配線を外し、運転席から助手席にかけて膝の上でブラブラしている線をとりあえず除去する。さらにはボンネット側の線も。ダッシュボード裏側の配線は燃料タンクの後ろに隠れているから、まずはタンクを取り外さなきゃ。この日のためにここ数日は燃料残量警告灯が点いても給油しないでおいたのだった。欲張らず、古い配線が外れたら良しとしよう。(でもできたらセンタートンネル内に通すバッテリーの「+」ケーブルと燃料ホースくらい敷設したいなあ、、、)
追記:
配電盤やキルスイッチは車体に穿った孔にボルト・ナットで取り付けてあった。ボルトもナットも固定されていないから緩めようとすると供回りしてしまう。しかも、ボルトの頭は車体の裏側、手の届かないところにあるから面倒極まりない。今日、午後の作業で車体前半の配線まで取り外せなかったのはこういうつまらないことで時間を食われてしまったのも理由の一つ。後で孔を塞ぐのを忘れないようにしないと。
FIAT 500の神経を取り替えようとしているのだが、僕自身の頚椎の後ろにある神経の太い束、つまり脊髄が椎間板のヘルニアにより圧迫を受けていて指先の感覚がない。まるでゴム引き作業グローブをはめているような感じ。ネジひとつ摘むのにも苦労する。平たいところに落ちてる薄いワッシャーを拾うのさええらく時間がかかる。おっつけ作業はいままでのようにスムーズに進まない。FIAT 500の配線が酷いと悪態つく以前に、自分の身体も管理できていないんじゃね?と笑われそう。さすがに首の神経をDIYでやっつけるわけにもいかない。来月の手術に備えて、今月中旬に1泊の検査入院がある。それまでになんとかチンクの配線張り替えを終わらさねば。