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FIAT 500 ワイヤリング・ハーネス全交換(DAY7)

本日の作業:ワイヤリング・ハーネス展開と車体に仮置き、ミラーランプ(ルームランプ)配線、運転席側ミラーランプのドアスイッチ設置と配線、ドアスイッチのプッシュ円盤(当たり板)作成と設置。


昨日、何だかんだでひと通りの下準備ができたけど、作業が終わってから用事にかこつけてブログの文章を端折り、写真を載っけてハイお終いにしたら何故かアクセス数が増えるという皮肉な事になった。で、今日もあまりグダグダ書かないでおこう。

今日やったのはそんなに大したことじゃない。とはいえ新しいワイヤリング・ハーネスを車体の上におっ広げ始めたわけだから、新たな段階に進んだ記念すべき第7日目だ。(7日で作業完了の予定じゃなかったのか?とは言わないで!)

ワイヤリング・ハーネス仮置き(ボンネット下)
ワイヤリング・ハーネス仮置き(後部エンジンベイ)

一番苦労したのは輪っか状に束ねられた電線の束を展開すること。枝線が絡み合い、端子が引っかかり、こっちを解けばあっちが縺れる、もう何がなんだか、、、。でもまあ時間をかけたらなんとかなった。(残念ながら糸もつれの呪文を母から習っておくのを忘れた。残念)

FIAT 500F 後期用のワイヤリング・ハーネス。回路自体は今どきのバイクより簡素だが、そこは間違っても「クルマ」なんで流石にボリュームがある。ちなみに、英語では「loom」(ルーム:織機[おりはた])と呼ばれることもある(ウチのちょっと古い辞書には載ってない)。しかし織機の糸はこんなに絡んじゃいないし、、、。あ、そうか、ちゃんと配線が完了したら車体の中ではきっちり「縦と横」に配線が走ることになるんで、それから想起したのだろうな。

スッタモンダの末にようやっと解けたけど、そこここで枝分かれした電線の束を実地に仮置きするために、フロントボンネットの下から車室、エンジンベイまで、車体に開いた小さな孔に通すのも結構難しい。何より、車体のどの位置から始めるかすら判らない。でかいカプラーやヘッドライトのソケットは孔を通らないから、車体先頭のボンネット下から後ろへ向かって送り込んでいくのだろうと見当をつけてやり始めたが、ヒューズボックス横の孔は小さすぎてグロメットをつけたら分岐部分が通らない。仕方なく当面グロメットを省略して、先に進めることにした。後でコルゲート管か何かで電線を保護しなければ。

ボンネット下から車室内への孔(グロメット未装着)と配線、カプラー。
後部防火壁(者室内側)のグロメットと配線。(こちらは孔が若干横長だった)

仮置きはできたが、問題は僕のチンクは右ハンドル仕様だ。単純に裏返しに配線すればいいというものではない。基本的に左ハンドル仕様と同様に配線し、届かない線は延長する。またライト類のLED化やオリジナルには無いバックアップランプ、トレーラー用のカプラーなど配線の変更や追加に対応する必要がある。具体的には色付きリード線と被覆付きスリーブ、端子などを準備してある。赤黒、青白など多色の電線はなかなか売ってないから線に色をつけるビニール系塗料も用意してある。ところが被覆スリーブなどを噛み潰す工具が無い。昨夜慌ててAmazonでポチったが来るのは明日の昼前だろう。

もう一つハマった。それはルームランプ用ドアスイッチを取り付けるのに、電線を手の届かないボディーの隙間に通すだけに半時間も格闘したこと。ボンネット下からボディーの「袋」の中を通ってドアの付け根に開いたスイッチのネジ孔に至る経路は直線ではない。ネジ孔の方から誘導線を突っ込んでリード線を迎えに行ってやろうとしたが、なかなか出てこない。逆方向からはまず不可能なのでひたすら「正しい隙間」を探るしかなかった。運と確率、要は時間の問題。30分で通ったのはラッキーだったのかアンラッキーだったのか、、、。ま、何であれ、スイッチひとつねじ込むためにえらい時間がかかった。(もっとスマートな方法があるのか、右ハンドル車を作る時に何かを忘れやがったのか、、、知らんけど)

ドアスイッチと防水ラバーカップ。(スイッチのプッシュロッドを押す「出っ張り」がドアに無いのでこのままではスイッチは働かず、防水も効かない))
ミラーの配線。(ワイヤリング・ハーネス側のギボシ端子が両方ともオス!?バイオレット色の方は「+」だよ!)

ルームミラーのランプには電源の線とドアスイッチからのアース線がつながっており、それぞれ左右に振り分けてウインドシールドのゴムに埋め込んだ、ところで時間切れ。用事があって本日の作業終了。

夜、ふと思いついてドアスイッチのプッシュロッドを押し込むための「当たり」板を作った。どういうわけかウチのFIAT 500はドアだけ「左ハンドル仕様」で、この当たりが助手席側に付いている。スポット溶接なんで外して移動するわけにもいかず、こうなりゃデッチ上げるしかない。この円盤状の部品は単にプッシュロッドを押すだけでなく、スイッチを雨から保護する防水ゴムカップの相方でもあるから、適当なサイズ形状では駄目。作業場を漁ってみたら以前、お寺の本堂に置かれたピアノを畳の上で滑らせるのに使った家具スベールの端材が見つかった。これをホルソーで円盤状に切り出し、厚みを整えてドアにくっつけた。プッシュロッドがホルソーのリードドリルの孔に嵌るとまずい、ってのは切り出した後から気が知ついた。そんで、これを皿タッピングビスで取り付ければ、同時に孔も塞げて一石二鳥だと思った。ところがどっこい、大間違い。ネジ孔を穿つにはドアを外さないと。。。こうなりゃ接着剤でくっつけて、孔は後からエポキシパテで埋める、と。(エポキシが化学反応するのか?と思うくらいここ数日の冷え込み、特に日が落ちてからはキビシイが、心配をよそに普通に固まってくれた)

 

ドアスイッチ、ラバーカップ、当たり板の位置関係。ドアを閉じる家庭でスイッチのプッシュロッドが当り板の表面を横に滑ることになるので、表面が固くツルッとした家具スベールの流用は正解だった。ゴムむき出しだと柔らかく滑りが悪いのでスイッチをコジることになる。

さて、正月元旦に始めて今日で7日。3が日も七草も明けたのに今日やっとワイヤリング・ハーネスに手を付けたばかり、、、。1週間で完了できればとの目論見は虚しく、はて、いつになったら終わるのやら。ふう、、、

(ヲイヲイ、ダラダラ書かないて言うたん、誰やつ!WWW)


FIAT 500 ワイヤリング・ハーネス全交換(DAY5)

本日の作業:「カット」したグロメットにコーキングで補強、燃料ホースとチョークワイヤー干渉を排除、チョークワイヤー固定ボルト製作、車体底部の燃料ホースとバッテリーケーブルを車体に固定。


手のしびれ(脊柱管狭窄とヘルニアによる)で来月手術なのでその説明を受けに朝から病院へ。おかげで作業開始は午後に。車を手術してるばやいか?(笑)

それはさておき、昨日やり残した変な場所にあるブレーキラインにグロメットをはめる。今からブレーキラインを外してグロメットを入れ、再度接続するのは体調を考えると現実的じゃない。他と同様にグロメットに切れ目を入れ、そこからブレーキラインを通して孔にはめた。これでコーキングを打てる。ボディーの下に潜って外側からコーキングガンで封をし、室内に戻ってセンタートンネルのグロメットにさらに仕上げのコーキングを施す。

後部座席下の胴体底面。グロメット補強にコーキングを打つ。しかしこのニョロニョロ生えたケーブルやチューブはちょっと映画 “Brazil”(未来世紀ブラジル)を想起させる。(ないか?w)
者室内のセンタートンネル後部(上の写真の裏側)にもグロメットにコーキングを施す。

先にセンタートンネルに通してあった燃料ホースがうっかりチョークワイヤーの上に乗っかってることが発覚。チョークワイヤをキャブレターから外して室内に引き抜き、燃料ホースに絡んでいるのを解消して、またアウターケーブルに送り込んだ。ワイヤーをチョークのアームに締め付けるボルトにトルクをかけすぎて、ワイヤーを通す孔からボルトが折れてしまった。仕方なく有りもののボルトに1.5mmの孔を穿ち、即席で固定ボルト作成。明日一番に復旧しなければ。

昨日敷設した車体後部底面のバッテリーケーブルと燃料ホースを車体作り付けのクランプにか固定してあったが、薄い鉄板なので折れたり錆びたりしていてちょっと心もとない。タイラップで補強。コーキングもタイラップも車体下に潜り込んでの作業は首に負担があり、しびれた手がさらに動きにくくなるのでメチャメチャ時間がかかる。(写真と撮る余裕もない)

やり残していたエンジンベイ内の燃料ホースにコルゲート管を装着し、キャブレターに接続。オリジナルの機械式ポンプから電磁ポンプに替えてあるのでホースの経路が変わっているので、エンジンの振動などで他の部分に擦れないように工夫が必要。

今日も大して仕事が進まなかった。多分に体調のせいがあるが、チンク自体もあちこち、次々とボロが出てくる。それに輪をかけて自分のドジも。。。燃料ホースとチョークワイヤーの絡みと、チョークワイヤー固定ボルト折損は完全に自分の責任。特に前者は下手すると燃料漏れにつながる、命に関わるドジだ。入院までまだひと月以上あるので焦ることはない。どうせ1週間では仕上がらないと考えていたんで、明日からちょっと落ち着いて作業しよう。

 

 


FIAT 500 ワイヤリング・ハーネス全交換(DAY4)

本日の作業:燃料ホースとバッテリー「+」ケーブルのためのグロメット取り付け、燃料ホースふせバッテリーケーブル敷設(車室内と電磁燃料ポンプとタンクに燃料ホースとフィルター取り付け。


朝から冷たい雨が降ったり止んだり。北の方は雪なんだろうな、、、。頸部の脊柱管狭窄とヘルニアで、ただでも動きが悪く感覚も鈍くなってる手指がかじかんで言うことをきかない。しかも今日は燃料ホースとバッテリーケーブルを敷設するつもりだったからジャッキアップしてクルマの下に潜ったが、両手とも使い物にならなかった。首の爆弾が暴発しないようかばいながらやるからますます作業が進まなかった。

昨日発見した(ていうか判ってたんだけど目を背けていた)グロメットの欠如と間違った孔に通されたワイヤー類をどう尻拭きするか、、、。ワイヤーやブレーキホースを一旦外して、グロメットを入れてから正しい孔へ通し直すのが王道だけど、めんどくさがりの僕は手抜きの方法を採ってしまった。

調べてみると「後から入れる」グロメットやブッシングはあるにはあるが、特注なので結構な値段。また、始めから切れてる自在グロメットとというのもあるが、、、あまりクルマには向いてなさそげ。そんで、あんまりやっちゃいけないんだけど、グロメットをカットしてワイヤーや管を通して、そのまま孔にハメちゃうっての。ワイヤーを通してからカットした部分を強力な接着剤でつなぎ直す方法と、そのまま知らんふりする方法。当然後者はグロメットがすぐに外れてしまう危険があり、それじゃあ入ってないのと同じじゃん、と突っ込まれそうなので、いや、突っ込まれなくても自分の身がかわいいし、命には代えられないから、そのグロメットの孔とカットしてできた隙間をコーキングで埋めて固定してしまおうという寸法。

結局コーキングかい!それじゃあ元とあまり変わんなくね?という声も聞こえてきそう。でも切れてるとはいえ、電線や管、ケーブルなどが触れているのはゴムのグロメットの内側だけだから、頼りないコーキングよりずっとマシ。それに車体に直接コーキングがべっとり、モリモリくっ着くこともないし、コーキングとグロメットの組み合わせは膜付きグロメット並みかそれ以上の気密性も期待できる。何より、グロメットが外れにくくなるからコーキングだけの処理よりはるかに安全だと思う。。。と自分を納得させる

で、燃料ホースは敷設完了。ボンネット下の燃料タンク容量から始まり、電磁ポンプから助手席(注:右ハンドル)の膝上辺りから室内に入り、センタートンネルを通って、床下、さらにはエンジンベイへという流れ。表面保護のためにコルゲート管を被せてあるから微妙なグロメットが外れないようにするのに一苦労。床下とエンジンベイを仕切る防火壁の孔は小さく、コルゲート管を通せない。この部分だけ燃料ホースとグロメット(これは切っていない)が直に触れることになる。明日はここにテープでも巻いて動かない、擦れないようにしようかな。

写真ではフィルターは未装着だが、現在装着済み。Mitsubaの電磁ポンプはフィルター内蔵なのでタンクとポンプの間にフィルターを入れる必要はないのだが、、、せっかく買っちゃったんで。てへ。それに加圧されるポンプ⇔キャブレターの中間にフィルターを入れたくないし、、、。

バッテリーケーブルは室内から先ずエンジンベイへ出し、スターターモーターのスイッチまでの長さ確保。次にセンタートンネル後部の開口部から前方の開口部へ、他のワイヤー類に干渉しないよう注意して引っ張り出す。燃料ホースは下に這わすように通したが、バッテリーケーブルはその上にあるベロのような可撓フックで吊り下げるように取り付ける。コルゲート管もケーブル自体も曲がり癖が付いてるので、いきなり突っ込んでも通らないし、通っても他のワイヤーに乗っかっちゃったりするから、危険極まりない。先ずは硬い単線の電線などを通し、その後端に件のケーブルをテープで繋いで後方から前方へ通し、さらに前方から引き出せばスムーズに通せる。(先の燃料ホースも同じ要領でやった)

途中、何度も雨に降られ、その度に中断したので、ここまでが精一杯。作業は遅々として進まない。でも、まあ、そんなもんでしょ?

なわけで写真も少ししか撮る余裕がなかった。明日、上手く行ったら新しいワイヤリング・ハーネスを持ち出して「アタリ」をつけてみよう。(あくまで希望)

今朝までの状況。
その後の状況。グロメット(画面に向かって右手側のコルゲート管下部は燃料ホース、上段はバッテリー「+」ケーブル。グロメットに切れ目が見えるが、これらはコーキングを盛る予定。銀色の管はブレーキライン。ここにもグロメット装着予定。

 

 


FIAT 500 ワイヤリング・ハーネス全交換(Day3)

本日の作業:車体前半の電線撤去、燃料ホース撤去、バッテリー「+」ケーブル撤去、センタートンネル前部及び後部のカバーを取り外して内部配線/配管のチェック、


古いケーブルのボリュームは昨日撤去した後ろ半分よりずっと少ないが、せっかく新調したコラムスイッチの線を丁寧に外したりしてたら結構時間を食ってしまった。その他はにっぱーでバチバチ切断しながらの作業だったので難しいことは何一つなかった。(もう慣れたもんで、HAL 9000のような哀願の声も聞こえず、淡々と、、、)

ところが、やはり一筋縄ではいかない。本来ならセンタートンネル内を通っているはずの燃料ホースとバッテリー「+」ケーブルだが、前者は助手席の右足元を這って、在るべきはずのない孔からエンジンベイへ入っていっていた。しかもその孔にはグロメットがついてない!(恐ろしや、、、)。後者は、バッテリーがエンジンベイに移設されていたためにセンタートンネル後部のカバーに無理やり切り込んだ隙間から後部座席足元のキルスイッチに至り、再びエンジンベイへと戻っていた。これらを撤去する時に、いままであえて見ないようにしてきた現実に向き合わなければならなくなった。

燃料ホース(白いタラップ付き)とバッテリーケーブル(黒いプレートから生えてる)の状況。

まず、燃料ホースとバッテリーケーブルが正規のルートを通ってないだけでなく、センタートンネルトンネル内のチョーク、スターター、ハンドブレーキ、スピードメーターなどのケーブルが車体後部へ出る孔の位置が正常と違っているものがあり、本来はここを通らないはずのブレーキラインもなぜか這っている、という状況。それらをちゃんとした位置の孔に戻してやりたいのだが、、、エア抜きの手間とか考えるとブレーキラインは外したくないし、、、でも、燃料ホースとバッテリーケーブルは室内をウロウロ這い廻ってほしくないからそれらの孔をなんとかやりくりして通さないといけないし、、、。しかも、どの孔にもやはりグロメットは無く、シリコンラバーのコーキングでごm化してある。(それも恐ろしい量で、モリモリと打ち込んであるため除去に苦労する)あ

一番下のワイヤーはスターター用(ここはバッテリーケーブルの通る孔で、スターターワイヤー本来はその右下の孔に在るべき)。銀色の管はブレーキライン(本来はここではなく、車体下面に在るべき)。

さらに、センタートンネルの前方カバーを外して判ったのはバッテリーケーブルの孔がコーキング塞がれていて、そこにスピードメーターとブレーキラインが通してあり、太いケーブルを通す余裕が無さそげななこと。もちろんグロメットを入れる余裕も無い。

本当ならできる限りオリジナルの配線・配管に忠実でありたいと思っていたが、これらの「間違い」を全て正そうとしたら無限の手間と時間が必要になるので、今回はなんとかセンタートンネル内の現状変更を最小限にし、そこへ上手く燃料ホースとバッテリーケーブルを潜り込ませる方向でやってみようと思う。明日はどこまで進めるか、見当もつかない。


FIAT 500 ワイヤリング・ハーネス全交換(Day2)

本日の作業:バッテリートレイ撤去、エンジンベイの配線撤去、後部座席周辺の配線・配電盤・リレー撤去


温かい午後の日差しの中でのんびり配線の取り外しを、、、何なら「なんでこうなるの?」って感じでこの奇っ怪な配線の「理由」や「構造」を探ってやろう、、、というのは甘かった。

この景色も見納め。しかし、凄いですねえ~!

もの凄い量の電線が、複数ある意味不明の配電盤に繋がっていて、やたらめったらリレーも噛ませてある。譲り受けた時、前のオーナー曰く「配線がよく見えて、何がどう繋がっているか理解しやすい」と。いやいやいや、、、まるで解りまっしぇーん。エンジンベイ内部から始めたけど、途中で解明は諦めた。僕の趣味じゃないし、構造上いかがなものか、とはいえ今の所それなりに「健全に機能しているワイヤリング・ハーネスを切断するのは忍びないが、無数の端子のネジを緩めて外していたら日が暮れてしまう。いや、徹夜しても、明日になっても終わらない。

切っても、切っても、とめどなく生えてる電線、、、

ニッパーで無慈悲に電線を切断し、ボディーに闇雲に開けた孔にボルト・ナットで締結された配電盤やキルスイッチを外していると”Dave, stop. Stop, will you? Stop, Dave. Will you stop, Dave? Stop, Dave. I’m afraid.” という 2001: A Space OdysseyでAIのHAL 9000が発した台詞が思い浮かんできた。映画の中でHALはストレスから大きな過ちを犯し、宇宙飛行士のDavid Bowman博士に中枢の回路を切断されるのだが、うちのチンク嬢は特段の間違いを犯したわけでもない(あえて言えば、配電盤が火を吹きそうになったことが一度あっただけ)。線を1本切る度に「オカポン、やめて。やめてくれるでしょう?やめてよ、ね、オカポン。やめて、、、私、怖い。」とチンクが訴えてくるのではないか、とさえ思った。

あまりの分量に今日の作業は車体の後ろ半分止まりだった。日が傾いて薄暗くなった車内で “I’m afraid, Okapon. Okapon, my mind is going. I can feel it.”(「怖いわ、オカポン。ねえオカポン、意識が薄れていく。そう感じるの。」)という言葉は聞こえなかった。HAL 9000は宇宙船の乗組員を殺すという間違いを犯し、かろうじて生き残ったBowman博士は怒り狂っていたが、僕のFIAT 500は何も悪いことをしていないし、当然僕は彼女に腹を立ているわけではない。なのに、ただ「理解できない」という理由でその配線を切断しているという後ろめたさはある。黄昏れる車内で、”Daisy, Daisy, give me your answer do. I’m half crazy all for the love of you.”(「デイジー、デイジー、答えてよ。貴方への愛で気が狂いそう。」)と歌っていたのは、なぜか僕だった。

さて、午後からの作業で一気に旧配線を取り去るという目論見は脆くも潰えて、残りは明日に。先日せっかく取り付けたコラムスイッチの配線を外し、運転席から助手席にかけて膝の上でブラブラしている線をとりあえず除去する。さらにはボンネット側の線も。ダッシュボード裏側の配線は燃料タンクの後ろに隠れているから、まずはタンクを取り外さなきゃ。この日のためにここ数日は燃料残量警告灯が点いても給油しないでおいたのだった。欲張らず、古い配線が外れたら良しとしよう。(でもできたらセンタートンネル内に通すバッテリーの「+」ケーブルと燃料ホースくらい敷設したいなあ、、、)


追記:
配電盤やキルスイッチは車体に穿った孔にボルト・ナットで取り付けてあった。ボルトもナットも固定されていないから緩めようとすると供回りしてしまう。しかも、ボルトの頭は車体の裏側、手の届かないところにあるから面倒極まりない。今日、午後の作業で車体前半の配線まで取り外せなかったのはこういうつまらないことで時間を食われてしまったのも理由の一つ。後で孔を塞ぐのを忘れないようにしないと。

FIAT 500の神経を取り替えようとしているのだが、僕自身の頚椎の後ろにある神経の太い束、つまり脊髄が椎間板のヘルニアにより圧迫を受けていて指先の感覚がない。まるでゴム引き作業グローブをはめているような感じ。ネジひとつ摘むのにも苦労する。平たいところに落ちてる薄いワッシャーを拾うのさええらく時間がかかる。おっつけ作業はいままでのようにスムーズに進まない。FIAT 500の配線が酷いと悪態つく以前に、自分の身体も管理できていないんじゃね?と笑われそう。さすがに首の神経をDIYでやっつけるわけにもいかない。来月の手術に備えて、今月中旬に1泊の検査入院がある。それまでになんとかチンクの配線張り替えを終わらさねば。