最近、うちのチンク嬢がまだダダをコネ始め た。
まず、バッテリーを落とし込んであるフロント部分の雨水ドレインがゴミで詰まり、水が溜まっていたところに、ガソリンタンクの吸気ホース (チェックバルブじゃない!昔のオフロードバイクか?W)の先端が浸かって、走るたびにガンガン水を吸い込んでいた 。路上でエンストし、そのまま再スタートできずJAFのお世話になった。燃料系の水抜きは大変だったが、まあ、掃除を怠ったオーナーの自業自得。
次に、エンジンベイからのノイズが異常に大きくなったので、リアフードを開き、運転席のドアも開けたままあれこれチェックしていたら、ルームランプが過熱して おかしくなった。スイッチが壊れ、レンズが溶けた 。その顛末は前回の投稿「FIAT 500 ルームランプ再生 」に詳しく書いたのでここでは省略。
さて、そのエンジンからの異音の原因 だが、水を吸ってエンストしたことと関係が有るのか無いのか、、、。なんかガツガツ、コンコンとく嫌な音とゴロゴロというベアリングの壊れたような音 。
前者はノッキングを疑われる のだが、水は関係なさそげ。以前に電子点火 にしてあり、ポイントのような点火時期のズレは考えにくいのだが、現実にタイミングライトを当ててみたら既定より随分早い時期に火花が飛んでいるようだ。ポイント点火をやめたのに、何で???とも言ってられないので、ディストリビューター (と言っても今は2気筒同時点火なので、単に電子点火のローターだが)を回して点火時期を調整を試みる 。
ところがすでにディストリビューターは目一杯回った状態で それ以上の調整が利かない 。元々の組み込み位置がおかしいようだ。そこで、ディストリビューターを根本から引っこ抜いて、先っぽのギアを一歯ずらして復旧 してみたら、今度は点火時期がメッチャ遅くなってまともにアイドリングすら難しい。どうやらディストリビューターをエンジンに突っ込む際にギアの噛み合いがずれてしまうようだ。ひたすら試行錯誤 で、なんとか解決。これでエンジン音が少しマイルドになった。ふう。。。
(追記:ディストリビューターの駆動歯車はヘリカルギアになってるんで、エンジン内部のギアに抜き差しすれば少し回転するから、これがなかなか難しい)
(追記:それでもまだ、カチカチ音が残っていたので、バルブクリアランスも後に調整 した。バルブクリアランス調整は昨年末にやっている んだけど、、、点火時期と言いタペットと言い、なんで狂うのだろ?)
ここからがやっと今日の本題。後者のゴロゴロいう異音はどうやらオルタネーターのベアリング損傷 らしい。点火時期のズレと同時に起きるから話がややこしい。まあ、なんとか区別がつく程度の知識は持ち合わせているが、、、。
ややこしいと言えば、本来なら古いチンクはダイナモ(直流発電機) が装備されているが、うちのは低回転でも安定して発電するオルタネーター(交流発電機)に換装 してある。オルタネーターは本体と取り付けベースが一体になっており、分割式でストラップで留めてあるだけのダイナモのように簡単にはすんあり脱着できない。つまり冷却ファンシュラウドの一部のネジを外してゆさゆさと浮かせてやらないといけない 。シュラウドにはおっそろしい数のネジ が付いており、どこをどう外せば良いのか、、、マニュアルやネット情報にはダイナモのことしか出てこない。しかたなく闇雲にネジを緩めたのが良くなかった。先ずはしっかりものを考えるべきだった。結局、オルタネーターは外れたが、その脱着に関わるネジはシュラウドをネジはエンジンに固定している10数本だけだったと後から判明。くそ!(頭を使わず、手が先走るとこうなる。)
分解前のオルタネーターの状態。
ファンシュラウドとオルタネーターのネジを外す。ファン周囲(オルタ上方)のネジは外さなくてもよかった、と後で判明)
裏側のエアインテークからアクセスしてファンの固定ナットを外してから、オルタネーターをファンシュラウドごと横へずらし、後方へ引き抜く。横方向に並んだモナカ合わせのネジは仮止めしてあるが、これは間違って外したものを戻してある。
外したオルタネーターを手で回すとゴロゴロした感じ がする。やはりベアリングの摩耗 に間違いない(って、間違っていたらどうすんねん!)。分解自体はスムーズに行ったが、回転子の軸のプーリー側のキーが舐めている ことが判明!ベルト駆動で軽い負荷のオルタネーターとファンを回すだけだから一発でこんな舐め方をすることはまずない。おそらくキー(スピール)の嵌合が悪いか何かで、少しずつ削れて行ったのだろう。
FIAT 500のオルタネーターは国内でも買えるが10万円もするのでとても手が出ない。ていうか、中古エンジンが買えそうな。。。海外のサイトではリビルト品が3万前後。でも、遠い異国から届くのを待ってはいられない。とりあえずキーの代わりにM6のイモネジをぶち込んでおく。長年の擦れで軸とスリーブの間にガタも出ているから、モンゴルで習ったアルミテープを巻いて誤魔化す方法をやってみた(W)。(ちなみに海外では新品、リビルトの本体だけでなく、ステーターやローターなどの部品も売っている。新品ローターは1万円ほどだから買っておこうかな)
(追記:20年以上前、モンゴルのベテランドライバーは、無人の大草原の真ん中で自動車が故障しても、ありあわせの材料で修理してしまった。例えばUAZのオイルパッキンが傷んでオイル漏れが発生したら、ダンボールの切れ端で代用していた。しかもその型を取るのに、端面にダンボールを当てがい周囲を石で叩いて切り抜くという信じられないような方法で!また別の時には、舐めたボルトを固定するためにタバコの箱のアルミ箔と一緒にねじ込んだり、、、。)
閑話休題。ベアリングの抜き出しと打ち替え自体は難なく終了。オルタネーターを再組み立てし、新しいブラシも奢ってやった。これであと10年は行けるだろう。いや、スピッル代わりのイモネジとアルミテープがどこまで持つか、、、。
ファンの固定フランジはプーリー抜きで外す。
オルタネーター前方(ファン側)のカバーも抜く。
前方(ファン側)ベアリング押さえは裏返しに付けられていた。これでは押さえにならない。
後方(プーリー側)のベアリングごと引き抜いたローター。
前方(ファン側)のプーリーをベアリング「外径」に合うソケットレンチの大きいやつと木槌でアウタースリーブを叩き出す。油圧プレスは不要。軸に着いたまま抜けた後方ベアリングはプーリー抜きで。
抜いた古い前方ベアリングを利用して新しいベアリングを打ち込み、ベアリング押さえプレートを「正しい向きに」復旧。後方のベアリングは同じ様に打ち込めないのでベアリング「内径」に合うディープソケットレンチで。
新旧ブラシ。古いのもまだまだ使えそう。(予備に残しておこう)
再組み立て後に舐めたキーとすり減ったフランジ穴の工作。
気休めだが、M6のイモネジとアルミテープで間に合わせ補修。
さてさて、オルタネーターの再取り付け。オルタを据え付け、ファンがシュラウドに干渉していないか確認するにはある程度のネジでシュラウドをエンジンに仮固定する必要がある。ファンとオルタネーターの間のフランジにシムを噛ませてこの調整をするのだが、うっかりシムをシュラウド内に落とすと大変なのでできれば使いたくないのだが、結局、何度かの試行錯誤で元通りの位置にシムを入れることに。
その間、ネジを何回脱着したことだろうか、、、中でも、最終の組付けで苦労したのが、ファンシュラウドをエンジンに固定しているM8のボルトのうちエンジンの後方から見て裏側にある2本。直接見えないので手探りで入れる。しかしシュラウドの穴とエンジンのネジ穴がズレているので、抜くのは簡単でも組み付けるとなると困難甚だしい。こういうことは本来ならエンジンを下ろしてやるべき仕事なのだ。ていうか、オリジナルのダイナモであればシュラウドは一切触る必要がない。オルタネーターの効用を考えたら痛し痒しといったところか。(分解して解ったのだが、裏側のネジは外さなくてもよかった。とんだ無駄骨だった)
何だかんだで修理が完了したのは作業を初めて二日目の日が落ちてからだった。(まあ上記の「見えない」ネジの取り付けは日が暮れようが関係なかったけどね)