『デルス・ウザーラ』

国立民族学博物館で「映画で知る中央・北アジア」第一回上映の『デルス・ウザーラ』を観てきた。(これで3日連続、映画を観た。。。)

Scan
配られた解説の表紙

ナーナイ人の主人公デルス・ウザーラを演じるマクシム・ムンズクはシベリアでももっと西のトゥバ出身で民族も言語も違うのだけれど、あのあたり(シベリアやロシア沿海州)の民族とその文化に疎い僕には、もうまるで本当にナーナイの猟師を連れてきたのではないかと思えた。そのことを随分前から知っていたけど、今回また映画を見なおしてもなおその感は拭えない。素晴らしい。

デルス・ウザーラが天然痘で失った家族を偲び、独り焚き火の傍で小枝を削り、アイヌのイナウのような捧げ物(削掛:けずりかけ)を作っていたのが印象的だった。アイヌ文様とシベリア諸民族の文様の類似性と同じく、山丹交易やそれ以前の北方文化の源流で北海道と沿海州から東シベリア地域とのつながりがあったことを示すものだろうな。。。ったって、まあ映画のことだからフィクションかもしれないけれど。(余談だけど、僕が昔住んでいた京都北山の花背別所という集落があって、正式な名前は知らないがかつて「おんべ(御幣?)」のお祭があり、削掛を作って奉納していた、と土地の人から聞いたことがある。何の関係もないかもしれないが、、、京都の山里がシベリアまでつながっていたかも、と空想してしまう。)

僕は、たまに他人から指摘されるけど、普段は意識しないで「物」に「この人」という代名詞を使うことがある(ていうかよく思い返してみるとしょっちゅう)。デルスが森の動植物を「人」と呼ぶことに親近感を覚える。いつのころからそうなのか思い出せないけど、若いころにこの映画を観るよりもっと前から使っていたような気がする。ひょっとしてデルスと親戚か?(笑) だったらええなあ。

ところで、昔の連れ合いが、結婚してあまり経ってないころだったと思うが、デルス・ウザーラを先に観に行って「デルスー・ウザラーと発音してたよ」と言ったのを思い出した。今日、家に帰ってから調べてみたら、それ(Дерсу Узала)はロシア語化された発音のようで、デルチュー・オヂャール(Дэрчу Очжал)のほうがナーナイの名前に近いらしいと知った。日本語題名の長音の場所について長らく疑問に思っていたが、どうやらロシア語とナーナイ語の発音が混ざったものらしい。しかし、なんでまた。。。

黒澤の映画は大きい画面で観るに限る。今回は公開時と同じ35ミリフィルムでの上映だった。ビデオじゃこうはいかん。(ただ、オリジナルは70ミリで撮ったらしい。いつかそれをIMAXみたいな超どデカスクリーンで観てみたい!)


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

画像を添付 (JPEG only)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください