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FIAT 500 シリンダーヘッドガスケット吹き抜け?

この夏ごろから冷えたエンジンを始動する際に、スターターモーターの回転と同時に「プシュッ、シュッ」というオナラみたいな変な音がし始めた。寒くなってヒーターをオン(つっても空冷エンジンの冷却空気を室内に導くだけだが)にすると排気ガスの臭いが室内にたちこめるようになった。

これは危険な兆候。一つには人体に直接危害が及ぶCO(一酸化炭素)中毒の問題。これは命に関わる。もう一つはエンジンの不具合。具体的には排気ガスがどこかから漏れてエンジンを覆っているシュラウド内部に入り込んでいる問題。後者を直せば必然的に前者の危険は無くなる。

さて、その漏れがどこに起きているか、、、。以前、排気マニフォールドのガスケットが吹き抜けて、排気ガスが漏れたことがあった。しかしこの場合、騒音は甚だしいが、排気エルボー(マニフォールド)とシリンダーヘッドの結合部はエンジンシュラウド外に露出しているので、外気より内圧の高いシュラウド内部に吸い込まれることはない。

プッシュロッドのチューブとオイルリターンチューブのシール漏れで、にじみ出たエンジンオイルがシリンダーフィンやエンジンブロックに熱せられて煙になるケースも考えたが、室内に充満する臭いは排気ガスのそれなのでこれも除外。

残るはシリンダーヘッドのガスケットが吹き抜けている場合だ。あの「プシュ」はガスケットをすり抜けた高圧の燃焼ガスがシリンダー上面とヘッド下面に掘られた「溝」で捉えられ、ヘッドにねじ込まれた中空ボルトから排出される音だったんではないか?それにしても、その安全機構すらすり抜けてシリンダーヘッドの外側にまで漏れ出ているのだから、状況はあまり良くない。

ガスケットから漏れた排気ガスを、シュラウド内部(ひいては乗員室内)に出ないよう、シュラウド外部へ放出するための中空ボルト(シュラウド固定ボルトも兼ねている)。カーボンで汚れたオイルが滴り落ちそう。

果たして完全にガスケットが変形したり破れたりして本当に「吹き抜け」ているのか、あるいはいつの間にかシリンダーヘッドを締め付けているナットが緩んで隙間から排気ガスが漏れているのか、、、。後者ならヘッドの増し締めで「直ることもある」が、そもそもヘッドを外さないのだから状況の確認すらできないので、傷んでしまったガスケットを上からいくら増し締めしても詮無いことだ。よしんばナットの緩みだとしても、一度できてしまった抜け道にはカーボン等が付着してガスが通り安くなっているから、一旦は漏れが止まってもいずれ再発する可能性は否定できない。早晩漏れが起きるのであればいっそここはシリンダーヘッドを外してガスケットの交換をすることにした。

一般にシリンダーヘッドを外すのはちょっと厄介な作業だが、幸いFIAT 500はエンジンを降ろさなくてもOK。シュラウドすら外さなくてもシリンダーヘッドとその上のロッカー機構(タペット)を上に抜き取ることができる。ただ、エンジンの裏側にある排気エルボーのボルトを抜く作業はやはり面倒。それに加えて、ここ最近は僕自身の首の不調で指先が痺れて箸や鉛筆すらまともに使えないし、右手右腕が満足に動かないので電動工具も片手で持てない。手工具の扱いもあやしいから、小さいとはいえエンジンを抱えるようにして、後ろに隠れたボルトを外すことはほぼ不可能。

そこで、いつも手に余る仕事をお願いしている近所のグッド自動車に頼んでみた。ところが、年末のここに来て明日から暫く寒波が襲来し京都でも雪が積もるという予報で、ただでも忙しい時期に、タイヤ入れ替えが殺到して、とてもFIAT 500まで手が回らない様子。(僕より年上の社長さん、、、いやオヤジさんが自らチンクのようなオールドタイマーを診てくれるのは商売というよりほぼ趣味に近い。商売が忙しい時期に趣味に時間を割いてくれ、とはとても言えない)

今朝も電話をもらって「一旦預かって代車を出すが、合間合間にしか作業ができないから、年内に直せるかどうか、、、」と。儲けにもならないチンクの修理に気を揉んでもらっているのが、こちらとしても申し訳ない。それで決心。シリンダーヘッドの増し締めなら排気系をいじらずに自分でもできる。それで漏れが止まる保証はないし、直ってもまた漏れが再発する可能性もある。それでも、いつも世話になりっぱなしのオヤジさんに心置きなく仕事に専念してもらうためにも、ここは一つ自分でやれることを先ずはやってみるしかない。

やることは簡単。(必ずしも以下の順序でやったわけではないが)

エンジンルームの様子。汚いけど、外からは排気漏れは判らない。(近々、ワイヤリングハーネスを総取っ替え予定なので、変な場所にあるバッテリーもそのうちおさらば。)
シリンダーヘッド増し締め
  1. プラグコード、点火プラグ、タペットカバー(ロッカーカバー)につながるゴムホースを取り外す。(シュラウドのプラグアクセス孔はウエス等で塞いでおく)
  2. タペットカバーを固定するナット、ワッシャー(鉄と樹脂)、パッキンを取り外す。(オイルフィラーキャップは付けたままでOK)
  3. キャブレターのリンケージアームを外し、キャブレター下部のナット、ワッシャーを外して、キャブレターを取り除き、その下のインシュレーター、ガスケットも取り外す。(エアクリーナーからのパイプは外すが、スロットル、チョークのケーブル類、ガソリンホースはキャブレターに付けたままでOK。吸気孔にナット、ワッシャー等を落とさないこと。)
  4. ロッカーシャフトを固定するナット(13mm)を外し、タペット(ロッカーアームAssy)をロッカーシャフトごと上方へ引き抜く。
  5. シリンダーヘッド固定ナットを増し締めする前に、一旦全てのナットを緩める。(すでに締め付けトルクにムラが生じているのは明らかなので、ヘッドの歪を取るためにもいきなり締め込まない)
  6. トルクレンチを用いて指定された順序で、先ず2.5kgf・m(24.52Nm)のトルクセッティングで仮締めをする。
  7. さらにトルクレンチを3.3kgf・m(32.36Nm)にセットして本締め。指定順序で一周してから再度、同じトルクで締め付けを確認。
  8. ロッカーシャフトを元の位置に戻し、ナット(13mm)を2.1kgf・m( 20.59Nm)のトルクで締め付ける。(片方を一気に締めず、均等にトルクを増していくほうが良い)
ロッカーカバー(タペットカバー)を外した状態。オイルは若干黒ずんでいるが、内部の金属にはスラッジ等の汚れ付着がまったくない。
ロッカーシャフトを取り外す。
シリンダーヘッドナットの仮締め(本締めのトルクは3.3kgf・m)
タペット調整
  1. 19mmのレンチをダイナモ(オルタネーター)プーリー軸のナットにかけて時計方向に回し、クランクシャフト側プーリーの合いマークがエンジン側の矢印マークに対向するまで回す。その位置が片方のピストンの上死点。(反時計回りはNo Good!)
  2. 2つのピストン/シリンダーの内、上死点になっている方のロッカーアーム(給排両方)の、タペットアジャストナットを緩める。0.15mmの隙間ゲージ(フィラーゲージ、、、本当はフィーラーゲージ)をバルブのステムエンドとロッカーアームのスリッパーの隙間に差し込み、前後させて動きがシブくなる位置にタペット調整ボルトを回す。ボルトの位置が決定したらボルトの頭をラジオペンチ等でつまむか専用のレンチで固定しながらナット締め付ける。調べてみたがトルク不明のため手の感触、つまり山カンで1kgf・m(9.8Nm)ほど。ナットを締め込むと若干隙間が変化するので、必要に応じて調整を繰り返す。
  3. 一組(給排)のタペット調整が済めば、再度クランクシャフトを時計回りに1回転させ、もう片方のピストンの上死点を出し、上記同様にタペット調整を行う。
  4. キャブレターインシュレーター、ガスケット、キャブレター本体をナット、ワッシャーで取り付け、リンケージ、エアクリーナーからのパイプ、も復旧する。
  5. タペットカバーを復旧し、13mmのナット、ワッシャー(金属と樹脂)で締め付ける。(トルク不明のため山勘で、強すぎない程度に締め付ける)
  6. タペットカバーのブリザーホース、点火プラグ、プラグコード、エアクリーナーのフタ等を復旧する。

FIAT 500のタペット調整はこの↓動画で見れる。イギリス英語は僕でも聞き取りが大変だけど、やってることは同じなので、見るだけでも参考になると思う。

例によって、午後遅くから始めた作業は日が暮れても終わらず、しかも途中で雨が降る始末。それでもなんとか形態的には元に戻った。後は機能が回復しているか、、、

試運転

さあ、おかしな部品が残ってないか?ネジの締め忘れは無いか?(っつっても、もうタペットカバー閉じちゃってるしなあ、、、(笑)

慎重に、ていうか恐る恐るスターター・レバーを引いた。一発始動。「プシュッ」は無い。排気ガス臭くもない。「うをっ! 音が違う!! 「そうそう、前はこうだったなあ(遠い目)」。音は、異状が発現してから症状の悪化がゆっくり進んだもんだから、それに少しずつ慣れてしまい、気にならなくなっていたのだろう。暖気アイドリングの状態で、もうこれは大丈夫という自身が湧いてきた。走り出しても臭くない。わざと普段は避けている原谷へ登る峠の急坂でも、問題なし。あとはこれがいつまで持つか?というのが目下の心配。年が明けたらグッド自動車も少しは落ち着くだろう。それまで持ってくれよ、チンクちゃん!


FIAT 500 右ハンドル仕様のコラムスイッチ取り付け

もうすぐ車検。それまでにワイヤリングハーネスを総入れ替えしたいが、首の脊髄が脊柱管狭窄で圧迫されていて両手先が痺れ、右手が自由に動かせない中、当面は現在絶不調のコラムスイッチだけでも直しておかねば、と取り掛かった。

ウインカレバーもライトのHigh/Low切り替えレバーも、節度がなくなってグダグダ。何度かベアリングの球やノック式ボールペンのスプリングで修理したが限界かも。ウインカーとライト切り替えが頼みもしないのに連動したり、ホーンが鳴らなくなったり、、、かなりヤバい。

以前に購入して、右ハンドル仕様に改造したコラムスイッチを飾っておいても仕方ないので、とりあえずワイヤリングハーネスより先に取り付けることにした。

問題多発! 現在ついているコラムスイッチの配線の色が手元にある資料やネットの情報の配線図のそれと対応しないのだ。現在のコラムスイッチから出ている11本の電線のうち「灰黄」、「水黄」、「紫」、「茶」は新しい方には無い。悩んでいても始まらない。元々、以前のオーナーによって車体側の全ての配線が正規の配色とは異なる、手っ取り早く言えばでたらめな色の線に張り替えられているから、とりあえず切り離す前に対応するものしないもの全てのコネクターに色名を書いたタグをマスキングテープで作って貼り付けておいた。

ハンドルを取り外し、コラムスイッチを抜き出した途端、スイッチはバラバラになってしまった。まあ、それが幸いして、どの色の線がどの接点に繋がっているかが目視確認できたので、「灰黄」は「灰赤」、「水黄」は「青黒」、「紫」は「青」、「茶」は「黄」にそれぞれ対応することが判った。

 

配線について詳しく知りたければFIAT500オンライン・マニュアルatwikiのこのページを参照。

古い方の廻り止めキーの凸がある金属パイプがステアリングコラムの固定金具に食い付いて抜けないので、上からマイナスドライバーで打ち込んで下に落とした。ステアリングポストのパイプにかぶさったまま宙ぶらりんだけど、邪魔にはならないので次回、ポストを抜く時にでも外そう。

また、以前修理したウィンカーキャンセリング機構がうまく働かなかった。原因は新しい方のカムの高さが足りないためで、修理のときに立てたピンを内側に曲げて対応。コラムスイッチの取り付け位置が微妙で、そのピンがウインカーレバーの付け根に干渉してしまう。一旦、コラムスイッチを挟み込んでいるステアリングポストの固定金具を緩め、微調整。そうすると今度は、一旦直っていたホーンがまた鳴らなくなった。コラムスイッチを下げたことでホーンの摺動接点が浮いてしまったためだった。色違いの配線さえ間違えなきゃすぐに終わると思っていたが、アレヤコレヤでスッタモンダ。いつものように、作業中に日が暮れてしまった。

左右ウインカーの点滅、ウインカーキャンセラーの作動、ヘッドライトのオン/オフ、上下、スモールなどの機能確認。ついでに、これまでずっと気になっていたライトレバーの、下からLow、High、Small、という変則ポジションを、下からSmall、Low、Highという自然で直感的な順序の改めた。現在はリレーをかましてあるのでHighとLowの線を差し替えるだけでOK。ワイヤリングハーネス新調の暁には、素直にノーマル接続すれば後者の順序になる。この辺のところはFIAT500オンライン・マニュアルatwikiのこちらを参照。(下の図はノーマル状態のコラムスイッチの機能。今回の右ハンドル仕様はちょっと違うが、参考まで)

ハンドルを戻し、ホーンボタンを取り付けた。どうせすぐに外す配線なので、テープで適当に絶縁して、作業完了。

右ハンドル仕様のウインカーレバーとヘッドライトレバー

少し走って、各機能を実地点検、、、のつもりが、さっきまで点灯していたHighビームが点かない。リレーやランプを確認したが異常がない。。。あ、さっき、ホーンが鳴らなかった時にヒューズの抜き差しをやったんで、、、とチェックしたら、当たり!自分で不具合の原因を作り出しているという、(;´д`)トホホ…な状況。(首や痺れた指先のせいにはしたくないしなあ、、、。単なるアワテモノだな)

ライトの上げ下げ、スモールの状態とライトレバーの位置関係を動画に撮ったつもりが、映ってなかった。(iOS15.2になってからバッテリーは直ぐ減るわ、システムがフリーズしたりぎこちなくなったり、、、特に写真アプリのここぞという撮影の瞬間に酷いことになる、、、OSは戻せないらしい。糞だ)


うちのバスケゴール(追記)

先日、うちの手製バスケゴールにボールがシューターの元へ返ってくるギミックを取り付けた話を書いたけど、今回はその続き、、、

近所の空き地のオーナーは寛大な方で、ここ10年(僕が来てからでも8年以上)の間、この町内(組)の人は自由にクルマを駐車させていただいてきた。ところがその方がなくなって、ある日、チンピラみたいな不動産屋がやってきて、みんなクルマをどかせることに。僕もトレーラーをガレージの奥に突っ込んで、FIAT500は玄関前に青空駐車。

子どもたちが楽しくシュートしているとき、親御さんたちはボールがクルマの上に落ちるのでは、とハラハラしている様子。僕は全然気にしないんだけど、そんな心配を子どもたちが察したら、、、。

5年前、ゴール設置直後の写真。FIAT500のボンネットには防護用のスノコを置いていた。排気ガスが隣の植木にかかるとのことで今はクルマの前後を逆にとめているので、スノコは廃棄してしまった。

そこで、シュートが少々外れてボールがあらぬ方へ飛んでしまわないように、ネットを張ることにした。これなら子どもたちも心置きなくボールを放り上げられる。

クルマを出すときに直ぐどけられるよう、余ってるステン物干し竿をポールベースに突っ込んでネットを張った。

可動式のネットポールはなかなか良いアイデアだと思う。しめしめ
バナーやノボリを立てるポールのベース。しかし所詮は安物、舗装路面を少し引きずっただけで底に孔があき、重しの水が全部漏れてしまった。今はパラスを入れてある。(砂だと水同様に漏れる)
ガレージは物置と化し、クルマが追い出されたから、ネットの登場となる。(バイク3台は多すぎるな!)
昼間見るとこんな感じ。クルマもきっちり保護されている。

GIFアニメ:首の故障で、お箸も使えない、文字も書けない、電動工具も持てない、、、という状況で、バスケットボールのシュートはできる。変なのっ!

Fiat500 リアコンビネーションランプの色合い変更(つか補修)

2年前に無灯火の原チャに当てられて割れたリアコンビネーションランプのレンズを新品に取り替えたが、買った当初からウインカーとブレーキ/夜間灯の色が悲しいほど薄かった。昼間に点灯してないときの外見はそれほどでもないが、夜間に内部のLEDランプが光るとあれ?白色光だったっけ?と思うほど。LEDの白色光はかなり強烈なのも手伝って赤や橙色が飛んでしまう。そこでタミヤのプラモ用透明スプレーで補修することにした。

昼間、ウインカーOff、夜間灯Onの状態。赤ランプが上の橙色とあまり見分けがつかない。しかし、昼間はまだ外部光(反射光)の色濃度が加味されるが、透過光だけの夜間に見るとこんなもんじゃない。

実は3年前にも同じこと(そんときはウインカーの橙色だけの上塗りだったが)をやっている。その丁度一年後に、無灯火、スピード出しすぎ、信号無視、前方確認怠り、とムチャてんこ盛りのアホな原チャリに破壊されてしまったのだった。

前回の補修ではブレーキ/夜間灯の赤の薄さには目をつむったけど、今度のはもっと薄く退色していて無視できない。1月の車検で文句言われないためにも、ここは一つ、奮発して透明の赤スプレー缶も買い足した。(橙色スプレー缶は3年前のがそのまま残ってる)
[追記:昭和48年11月30日以前に製造された車はウインカーに関しては「前面は黄色・橙色・白色または乳白色。後面は黄色、橙色または赤色。側面は黄色または橙色」であればOKとの規定があるらしい。しかしブレーキランプが白っぽかったらアカンて言われるやろな、、、]

プラスチックの縁を適当にマスキングし、ランプの境目は両面テープとその辺の余り紙で仕切りをした。垂れないように3〜4回ほど薄く吹き付け、作業完了。エアコンの吹き出し口の真下に吊るして3時間ほど乾燥させ、元通り取り付けた。

レンズを外した時は明るかったのに、取り付けようと思ったら既に真っ暗。ま、色の透け具合を確かめるにはちょうどよろし。

GIF動画。赤は若干薄いが、これ以上塗り重ねると暗くなるので、これで良しとする。ウインカーも本来は「橙色」と法規で定められているが、橙(オレンジ)色というよりほぼ黄色。古い車はこれでも車検に通る。
GIF動画。リアコンビネーションランプ拡大。
  • 塗装
    Tamiya Color TS-31(ブライトオレンジ)と同TS-74(レッド)のクリアカラーで各4回スプレー塗装する。ブライトオレンジとは言うものの強烈なLEDランプの白色光が透過するとほぼ黄色に見える。レッドは思っていたよりピンクというかローズっぽい。でも、元の赤に塗り重ねたらそれなりに良い感じ。

  • 取り付け
    取り付け後、灯火類を点灯して色が濃くなっていることを確認。

FIAT 500 バッテリー・トレーの製作

ちょっとどうなってるのか解んないっすけど、ウチのチンク嬢の配線はほぼスパゲッティ状態。恐ろしくてうっかり手を出せない。(加熱から発煙し、火事になりそうになったことも、、、)

メドゥーサの髪か? 見たくない!
恐ろしいので、ここはもう神仏に頼るしかない。南無愛宕大権現様〜!

電装関係の問題はそれだけではない。バッテリーが本来あるべきフロントボンネットの下に無いのだ。

本来バッテリーが存在するべき場所がもぬけの殻。画面下が前方。(ここにはバッテリー・トレーが嵌っているはずだが、それも無い。

バッテリーは元のオーナーによってエンジン・ルームに移されている。フロントに置かれたバッテリーからリアエンジンのスターター・モーターまでの長い距離を嫌がって、ほんの数十cmにまで近寄せるというのはアイデアとしては悪くない。ただ、、、空冷エンジンの熱をもろに受けるから、バッテリーにとっては灼熱地獄。バッテリーの健康に良いわけがない。(うちに来た時点で、リアに移さればバッテリーはバイク用の小さなものに替えられていた。熱でダメになることを前提に、どんどん交換する前提だったのだろう)

右奥の銀色の箱がバッテリー。うちに来てからB19サイズに換えて、エンジンからの輻射熱対策でアルミ板とフェルト、断熱材で作った遮蔽板で覆ったが、エンジンベイ内部の気温がどうしようもなく高くなるので、焼け石に水状態。それでも6年もってくれた。今でもスタートに問題はないがエンジン低回転ではワイパーが遅くなったり、LEDライトがちらつく。流石にこの冬は厳しいだろう。。。

この、収拾不能配線の呪縛を解き放ち、灼熱地獄のエンジン・ルームからバッテリーを救い出すには、一度オリジナルのワイヤリング・ハーネスに戻すしか無い。既に電線キットは入手済み。ただ、たとえ配線を替えたとしても、バッテリーの置き場が無いのだ。正確に言うと(先の写真のように)スペースはあるがバッテリー・トレーが欠如している。

バッテリー・トレーがないと困るから、買うか作るかしないと。

ということで、先日のエンジンフード熱遮蔽版につづき、バッテリー・トレーを「ちゃちゃっと」でっち上げることにした。(遮蔽板にしても、バッテリー・トレーにしても、正直言って買うほうが遥かに楽である)

バッテリー・トレー製作過程

注意! ここで紹介するトレーのサイズはウチのFiat 500 の個体固有のもので、おそらくこのまま作っても他のチンクには合わないだろう。特に両端の壁面の高さは正規のものでは左右で違っているが、うちのはほぼ同じ高さである。参考程度に見てほしい。

材料:ダンボール(モックアップ用)、鉄板(200x450xt0.8)1枚、スプレー塗料(下地・錆止め用、上塗り用)、必要ならポップリベット(ブラインド/リベッター)、L金具(或いは折金)

道具・工具:木槌、ハンマー、ドリル(できればボール盤)、ドリルビット、ホルソー、ジグソー(金工刃付き)、ハサミ、バイス、鉄床、金工ヤスリ、1mm厚程度の鉄板を曲げられるベンダー(手製)、必要に応じてリベッター

  • 型紙とダンボール・モックアップ
    トレーの大まかな形をネットで調べ、車体固有のサイズを実測して図面(型紙)を作図。実物大にプリントアウトし、ダンボールに貼り付けて切り抜き、折り曲げ、実際にフィットするか確かめた。(この時点で大きな間違いを犯していたが、それは後述)
  • 鉄の薄板切り出し
    モックアップのフィッティングが上手くいったので、厚さ0.8mmの鉄板に貼り付ける。金工用の刃を着けたジグソーで周囲を切り抜き、ホルソーで肉抜き孔を穿つ。ジグソーの切り跡の粗い断面やバリを金工ヤスリで取る。
  • 折り曲げ
    ポリカボネート用に作ったベンダーで無理っくり曲げたら最後の最後にベンダーが折れた。ベンダーでは深く折りきれなかったので、鉄床、バイス、木槌などで折り目の角度を付ける。
  • 実地検証
    実際にFIAT 500のフロントベイの中に組み込んで見る。サイズに間違いは無く、うまく嵌った(ように見えるが、、、)
    組み込んでみて、折り目の強度が若干不足してるように感じたので、有り物の分厚いL金具をポップリベットで留めた(写真5枚目)。これで強度的には問題無くなったが、しかしリベットの出っ張りが組み込みのときに左右の梁(写真1枚目の両側の梁)に干渉するので、折り目(「まち」)の屈曲部をロウ付けにすれば良かった。後の祭り。
  • 塗装
    脱脂スプレー(シリコンオフなど)が無かったので、ラッカーシンナーとパーツクリーナーで洗浄し、乾いてから金属下地スプレーを吹く。その後、アクリルラッカーの黒を2回塗装。いい艶になった。乾かしたら完成か?・・・と思いきや、ここでやっと「板の折り方が全て裏返しだった」ことに気づく。遅かりし。この手当は次に、、、
  • 恐ろしい勘違いとその修正
    不注意による手違いはダンボールのモックアップを折り曲げた時点で発生していた。バッテリー・トレーにある固定ネジの引っ掛け孔は「前方側にあるべきなのに、裏折りをしてしまったのだ。そのために急遽、孔をもう一つ付けるための「タブ」を端材ででっちあげ、ポップリベットで取り付け。リベットの補助に接着剤Super X併用。隙間内部の錆止めになる。(ところが、慌てて作ったこのタブがまた間違っているという、二重の失態!(;´д`)トホホ… ただ、これはペンチで曲げたら済むことなので、詳細は省く)
  • 組み込み
    出来上がってまだ塗料も生乾きなのに待ちきれず、とりあえずFIAT 500のフロントに落とし込んでみる。ポップリベットの出っ張りが少々ひっかかるが、構わず押し込んだら大成功。実際にバッテリーを入れる前に、ポップリベットの頭が擦れないよう、何かゴム板のようなものを敷いてやらねば。(と書いてから、幅1cm、厚さ数mmほどのゴムのストリップを貼っつけた)
  • 反省
    「裏折り」という失態を防ぐには、型紙図面にも完成予想図でも入れておけば良かった。
    複雑な四方を折り曲げるのではなく、サイドの補強「マチ」は既製の細いアングルをロウ付けすれば良かった(或いは、最近の高性能な接着剤のほうがスッキリする)。

とんだ勘違い2連発ですったもんだしたけど、まあ、一応ちゃんと機能するものができたので、終わりよければ全てよし。後はいつ、ここにバッテリを入れられるか、、、だ。トレーができたので、それ以外のバッテリー用大容量ケーブルも、ルーム(ワイヤリングハーネス)も、多色のリード線も、端子類も、そしてステアリングのコラムスイッチも、全て揃っているから「やる気」さえあれば、配線の総入れ替えはいつでもできる状況が整ったことになる。

あ、いあ、まだバッテリーを買ってなかった。

今のエンジンベイに入ってるのは40B19L。本来のバッテリー端子配置はRでないといけない。 5千円以下で買える同じサイズのB19R にしようかな、でもチンクのバッテリー・トレーは元々が欧州車用バッテリーサイズに合わせて大きいのでB24Rでもすっぽり入るし、、、でも1万円を越えるのはなあ、、、とネットを漁っていたら楽天フリマに「間違って2個買ったんで助けて」と新品未開封の「Panasonic Caos N-80B24R/C7」っつう、やたら容量の多いのが送料込み9,500円で出ていた(普通は1万以上する)。貯めるつもりもなくチェックしてなかった楽天ポイントと、なぜかもらえたクーポン合わせたら、8,700円ほどになっちゃうんで、こりゃ買いだな、とポチ。

いよいよワイヤリングハーネス総取っ替えが間近に迫った感、ありあり。


追記:
B24バッテリーが来たので仮積みしてみた。(デカ!重っ!)

追記2:
出来たはいいが、ワイヤリングハーネスを交換しないことにはバッテリの移動ができないので、大工事にとりかかる意を決するまでにあとひと月がかかった。しかも、その間に頚椎の障害が悪化して、指先の感覚がなくなってしまった。シャツのボタン掛けもままならず、ましてボルト・ナットのねじ込みには困難を極めた。追い打ちをかけるように寒さと雪が作業を遅らせたので恐ろしく日数がかかってしまった。。。とほほ
(一連の作業は以下の記事から始まる)

FIAT 500 ワイヤリング・ハーネス全交換(•••の前哨戦)