Day 13 text / 0901

ウメオの駅で下車し、一緒のコンパートメントだったスウェーデン人とインド系イギリス人のコンビと同じバスに乗る。少し旅の情報の交換をしているうちに、彼らの下車地につく。僕はまだ数時間先の終点まで。

朝7時半から午後1時過ぎまで、思いの外長いバス。列車の窓から見える景色が朝起きたら一変していたが、バスの長い乗車の間にもいねむりからさめるたびに変化するのがわかる。地図で見ると熊の爪痕のような、氷河湖の横をと通り過ぎる。アメリカのアップステイト・ニューヨークにあるフィンガーレイクス同じようだが両手の指でも足りないくらいたくさんの湖が並んでいる。遠くに雪もみえる。いよいよスカンジナビア半島の中央、奥深くまでやって来たのを実感する。

Kungsledenの南の起点、ヘマヴァン着。直ぐにスウェーン・ツーリスト協会STFの山岳ステーションに行く。予想通りの綺麗さ、、、あまり僕向きじゃないかも。。。でも、雨も降ってきたし、地図や情報の入手、それにガソリンストーブ用に燃料も調達しないといけないので、今日はトレッキングを開始せずに、ここで泊まる。

立派な山岳ステーションはともかく、トレッキング途中で利用するかもしれない山小屋や避難小屋もSTFの管理なので、割引が受けられるよう、前もって入会してある。会員証を送ってもらう代わりに入会確認メールをスマホで見せるだけでOK。時代が変わったな。。。そういえば、フェリーもシベリア鉄道も同じようにスマホでことが済むEチケットだった。ただ、僕はいつ壊れるかわからないもちろん電気機器は信じられないので、念のためにプリントアウトして持ち歩いているが、、、。話はそれるが、旅に出る時にトラベラーズチェックが日本では発行されなくなっていると知った。殆どクレジットカード決済かカードによる現地通貨のキャッシングになっている。

山岳ステーションのスタッフは皆親切で知識も経験も豊富のようだ。しつこくいろいろ質問しても丁寧に的確に答えてくれる。コースの予定を立てるにはスマホやタブレット用にダウンロードして使う電車地図が便利だと勧められた。早速入手するが、実際に歩く時に使うのはやはり紙の地図ででないと、、、。

一階の広間でのんびりしていると、Kungsleden全コースを歩き終えた人達が三々五々やってくる。泊まらないけど、雨に濡れた衣類を乾かし、体を休めてからバスに乗って帰るためだが、その中でボーイッシュな一人の女性(始め男の子だと思った、スンマセン)は雨の中外でテントを張って寝るそう。猛者やな。

彼女、ケイロンという名のイギリス人で明日はヒッチハイクでドイツにある家に帰るとか。。。全然お金が無いと言う。トレッキング中は豆とパスタとサラミばかり食べていたというので、夕食をおごってあげることに。あれこれ話し込んでから近くのレストラン行ったらもう閉める時間なので、ピッツァしかできないと言われた。いや、もともとピッツァくらいしか食べる予定はなかったからいいんだけど。ケイロンちゃんにとっては久しぶりの、僕にとってはしばらくおさらばの「文明的」な食事。お互い食事の相手がいて楽しい時間になる。

ともかく、ケイロンちゃんは若いのに面白い娘で、インドやネパールが大好きで、行ったことある場所が僕と重なっていたり、またチベット仏教にも興味があり、いくらでも話が合う。しかも彼女もアーティストで油絵を描いていると作品の写真を見せてくれる。ちょっとイギリス人画家フランシス・ベーコンのキモい感触を持った人物画だが、僕は嫌いじゃない(でも、うーん、なかなかドロドロしたものを秘めてるね、この子)。人の作品を評するときに「誰々の絵に似てる」ってのは失礼なんで謝ったら、ベーコンは好きなので光栄です、って。僕も、電動マニ車、五体投地人形など彼女の好きそうな作品をYoutubeで見せびらかす。まるでアメリカの大学に居た学生時代戻っている気分。

ヘマヴァンで出会うまで、違う種類だけど、お互い長旅をしてきたので疲れている。これからも先が長い。話し足りないけど早く寝ることに。また明日、出かける前に。

追記:
ちょっと前に、Kungsledenの孤独な山歩きに向かって、自分の心も人から距離を置き始めている、と書いた。が、ヘルシンキでフェリーに乗る時に、何百人いる乗客の中からものすごく低い確率なのに日本人とぶつかって、旅好きの榊原さんたちと楽しく食事が出来たり、今日も「文明」最後の夜にめっちゃ濃い話題を、それも同じ土俵で共有できる人と出逢ったり、、、

前回、2年前の「オシラサマ馬頭琴」製作の長旅も、最初は意気込んで山中漂泊の民を気取り孤独な彷徨をするつもりが、次から次に人と出会い、お世話になり、想定外の旅になった。

どうやら、僕の旅は自分の意図とは別に「そういうこと」になっているらしいな。