カイトゥムヤウレ→スィンギ
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途中、歩けないどころか立ってもいられないほどの強風が吹いて、岩陰に避難。。。
テウサヤウレ、カイトゥムヤウレと同宿だった犬連れのおばさんについてはDay 24 Textを。
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途中、歩けないどころか立ってもいられないほどの強風が吹いて、岩陰に避難。。。
テウサヤウレ、カイトゥムヤウレと同宿だった犬連れのおばさんについてはDay 24 Textを。
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目を覚ましたらちょうど管理人のレナさんが今日の天候についてみんなに知らせているところだった。強い西風と時々雨。昨夜の強風よりずっとましな今朝の風。このまま行って欲しい。
ここの管理人さんは、夜ガスの栓の確認に来たり、明朝7時に天気の情報が入ると説明してくれて、今朝そのとおり、きっちり7時に西風強く、にわか雨少々と伝えてくれる。それから、次の山小屋シンギストゥガンには食品を売るショップがないと教えてもらう。そのついでに聞いた話。以前彼女が今日これから行くスィンギにいたとき、ある日本人がケブネカイセ(スウェーデン最高峰)山麓の山岳ステーションにヘリコプターで飛んできて、歩いてスィンギの山小屋にたどり着き、言った言葉が「レストランはどこですか?」だったそうだ。。。でも、人のことを笑えない。僕もスィンギにショップが無いをの知らなかったんだから、、、。
昨日のよくしゃべるおじさんは、今日もこの小屋泊まりらしく、あさからずっとしゃべっている。とても物知りで、親切に教えてくれるのだけれど、こちらの都合は御構い無しに、説明が延々と続く。まあ、僕は時間があるからいいのだけど、、。急ぐ人は困るだろうな。(でも、実は自分の胸に手を当ててかんがえてみると、僕自身の振る舞いを鏡に映したようなところでもある。心しておかないと、、、)
年配のカップルは早めに出て行ったが、僕は今日の距離が13kmほどなので、おしゃべりおじさんの話しを聞いたりして、ぐずぐずのんびりして10時過ぎに出発。
緩やかな登りだが、沢を越えるたびに起伏があるので、登っている感じはしない。吊り橋を渡り、大きな谷の反対側を歩く。川の水は白く濁った薄い灰緑色をしている。氷河を水源とする川の色だ。雨は大したことはなく、パラパラ。
行く手にU字谷が見える。ふと気がつくと目の前3方がU字谷。この辺で氷河が合流してたのか、、、。この辺りで向かい風がめちゃめちゃ強くなる。夜中の風に相当する強さでないか。バックパックカバーが剥がれて飛ばされそうになるわ、オイルジャケットのフードはめくり上げられるわ、もう立ってもいられない。なんとか大きな岩の陰に身を屈めて風を避ける。15分ほどひたすらじっと風が収まるのを待つ。台風のときみたい。
まだまだ強いがなんとか歩けそうになったので、前へ進むが、よろよろ。。。風が息をつくように強さが変わるので、この旅2度目の大転びをやらかす。今回は横風にあおられて、倒れ、膝を打ったが、幸いブルーベリーの生えてる場所で自然のクッションの上。軍手が青く染まった。
スィンギの小屋が数km先に点のように見え始める。あれだけ遠いと見えてる方が、歩いても歩いても着かないので余計に遠く感じる。
今日は大した登りも下りもなかったのに、小屋についたとき、桁外れの向かい風のおかげでやたら疲れてる。早いとこ飯を食って眠りたい。
管理人さんから犬のアレルギーはあるか?と訊かれる。そう、あの犬連れのおばさんと同室。ここスィンギはどうやら犬用の別棟が無いらしい。なんか、気難しい人と一緒は嫌だなあ。
はたして、当てがわれた棟につくと、窓から見慣れた3人が手を振っている。老カップルは別部屋だが、犬のおばさんは同じ部屋。オーストリア、ドイツ、スウェーデンの若者が3人と僕は同じバンクになる。おばさんと犬は隣のバンク。
薪を取りに行き、夕食の準備をしていると、おばさんから話しかけてきた。人嫌いというわけではなさそう。ていうか、よくしゃべる。この辺りは何度も来ているし、冬はスキーやソリで犬と一緒にハイキングをするのだとか。カメラの写真で真冬のKungsledenの景色を見せてもらう。彼女はイェリヴァーレという町が本拠だけど、今はストックホルムに住んでいるそうだ。話を聞くうちに、この辺にも居たことがあるとか、、、この辺って、、、?スィンギの小屋から少し離れたところにサーミの小屋が幾つか見えるが、かつてここには学校もあり、住んでいる人はみな親戚だとも聞かされる、、、。あ、おばさん、サーミ。。。
このトレッキングの後はイェリヴァーレに居る家族のところでこの冬用にトナカイやムースの肉を調理してストックホルムに持って帰るそうだ。
先日のボート騒ぎのときに、おばさんのやたら口汚く罵るその口調がどうもアメリカ臭いと思っていたが、シカゴに住んでいたことがあるという。子供のころは、日本やドイツにペンフレンドがいたとも。ペンフレンド、、、なんと懐かしい!どんな日本人がサーミの女の子と文通をしていたんだろう。。。アラスカでトレッキングした事もあるとか、犬たちはアラスカンハスキーとシベリアンハスキーの混血で、今までいろんな犬と一緒だったが「ハスキーこそ私の犬」とか、、、話が終わらない。
彼女の名前はシェルスティン(Kerstin)といい、英語のクリスティンに相当するとのこと。不動産を持っているのでストックホルムに居るが、家にいると「何か」に呼ばれてじっとしていられなくなり、年に何度も犬たちとトレッキングに出かけるのだとか。いま69歳(げ!僕よりずっと年上)だが、16の頃までは、サーミの人は今のようにヘリコプターや電子機器を使わないで、彼女も家族と一緒に季節ごとに草を求めトナカイを追いながら移動する生活だったそうだ。その時に両親や祖父母から自然の中で生きていく術を習ったのだとか。僕が生木に近い湿った薪をストーブで燃やせるのに感心してくれた。
モーターボートの時間が変わったことや、ルールについても実はシェルスティンさんは知っていて、そのうえ、出かける前に時間外のサービスについても確かめてから来たのだとか。バスで到着するのとは違う時間帯にヴァッコタヴァーレを出て早めに湖に着くことを、STFに問い合わせて、以前同様白いポリタンクを掲げたら迎えが来る、との返事をもらっていたとのこと。
小屋の管理人さんと、STFと、シェルスティンさんと、どこかでボタンのかけ違いが起きてしまっている。もう怒っている風はないが、STFの上層部に報告するとは言っていた。
それより、彼女をルールも知らず情報も持たないで、勝手に自分の経験をふりかざす老人たち、とか思い込んでいた僕が思考硬直して一番老化していたという、情けないオチ。トホホ。恥ずかし。。。
クマのこと、野イチゴのこと、トナカイ肉の処理方法のこと、、、ケルスティンさんの話は食事の後も止まらないが、どれも面白く、ずっと聞いていたい。昨夜、おしゃべりおじさんが教えてくれたブルーベリーとクローベリー以外に、同じように青黒い実があって、それは食べられないとのこと。毒があるの?食べたらどうなるの、と聞いたら、死なないけど、食べてみたら判る、、、って、笑って教えてくれない。。。でも、夜が更けてきたので、残念ながら、この辺でおやすみなさい。